マチンガのノート

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「ブラックウォーター  世界最強の傭兵企業」 ジェレミー・スケイヒル

2014-10-08 01:02:29 | 日記
バクダッドのニスール広場での乱射事件などを起こしたブラックウォーター社に
ついて、様々な点から取材して書かれているが、その前段階として、
P.W.シンガーが「戦争請負会社」で紹介しているように、コソヴォ紛争などで、
米軍兵士や難民の居住施設建設、生活物資輸送、食事の調理、クリーニングなどで
民営化して対応できたなどの前段階があり、その後、米軍がアルカイダとの繋がりもなく、大量破壊兵器もないイラクへ侵攻して、イラク軍の解体、行政からのバース党員の
追放などで、大量の戦闘員になりうる失業者を生み出し、イラク軍武器庫から
武器弾薬が持ち去られ、侵攻に際してインフラが破壊され、地元の有力勢力が
政府に参加させられずに、さらに米兵がテロリストの捜索として荒っぽいことを民間人にして不満とフラストレーションが高まっている処に、
(「そして戦争は終わらない ~「テロとの戦い」の現場から」デクスター・フィルキンス)、要人警護、輸送隊警護に軽装備の民間軍事企業警備員 (自動小銃、軽機関銃、簡易装甲のSUV等)を付けたため、警備員たちも警戒心から荒っぽく振る舞い、
むやみに発砲するなどの事に繋がり、更にそれによって米国人、米軍、外国人への
反感、テロが増加し、更に荒っぽく振る舞うなどの事が起きてきたのだろう。
また、P.W.シンガーが前掲書で取り上げているように、シェラレオネで南アフリカの
エグゼクティブ・アウトカム社が、あっさり反政府勢力を撃退したことも
途上国の反政府勢力は、先進国の軍隊出身者からすると、簡単に撃退できるだろうとの
見込みを生み出し、警護にも使おうということの素地となったのだろう。
その様に考えると、粗暴で好戦的なブラックウォーター社の警備員が様々の事の原因となったかのような本書の描き方は、単純化しすぎているのではないだろうか?


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