本書に出て来る、インドにあるアメリカ人向けのコールセンターの話では、
アメリカ人の客によりよく「応対する」ために、アメリカ人のアクセントで話し、
アメリカの時事ネタや、テレビドラマの話を知っておくように、
自らの名前もアメリカ風のものを名乗るように、など「人的資源」として振る舞うように強制させているとのこと。
昔の植民地支配なら銃や権力で行っていたのだろうが、現代の企業なら、さまざまな
「インセンティブ」を用いて行うのだろう。
インドのコールセンターならまだ勤務が終われば本来の振る舞いに戻れるが、
実店舗など通常のサービス産業なら、勤務時間以外でも企業イメージを壊さないように、
ずっとよりよく振る舞わねばならないとのこと。
昔の終身雇用制の日本なら、まだ本人にとってもある程度は”採算”が
採れていたのかもしれないが、現在ではとても無理だろう。
若者の保守化が言われて久しいが、アルバイトや社員として働き始めるのが
サービス産業である割合が大きくなったというのも、大きな影響を与えているのだろう。
客に対してキレて、「こんな所でやってられるか」などと言って辞めても
それからの様々な周囲の反応も、ネットなどで見える化されたというのも
大きいのだろう。