ここ数年、多数の著書を刊行している赤松利市さんの書いたものですが、自伝的な小説は読み応えのあるものが多い一方、
それ以外はイマイチなものが多いです。
本作は一代でパチンコ屋チェーンを築いた父親から全てを奪おうとする、息子を主人公にしたものです。
作中、父親が息子の言うことを疑わないところや、自分の部下以外に、助言してくれる相手が居ず、
あっさり全てを奪われるところが、不自然に感じました。
やはり著者が学者の息子で、在日韓国人の実業家たちや、闇社会に深く関わったことがないことから、
このような小説になったのでしょう。
自伝的小説との落差が大きく、才能がある小説家でも、生育歴からくる向き不向きがあるのだろうと
思いました。
生育歴による限界というものを感じさせる一冊でした。