私のセンセイ

足音もなく気配を感じると含み笑いか照れ笑いのセンセイがベッドの脇に立っています。「どうですか」と問われて困っていると、そばにあったケイタイを見つけて「撮って見ましょう」と頭の傷口をそれで見せてくれました。「どうしょうかなあ」「決断力がないなあ」と言って行ってしまいました。看護婦さんは「センセイは忙しくてナースセンターに寄らずに病室に行ってそのまま寄らずに別のところに行ってしまったり、ニンジャみたいになかなか捕まらない」と言っています。手術の数日後から何回か廊下で出会うと「…さん、歩いて見せてください」と私の右足の回復を点検して「いいですね」と確認していました。手術して今日で27日ですが、センセイが私の傷口を見に来なかったのは1日だけです。「手術痕のわずか2ミリの傷口にぐずぐずしてるけど、頭の中はもうバッチリですからね」それは当の本人も完璧だとその頭でバッチリ確認しています、センセイ。