向かったのは、国立民族博物館という施設で、ストックホルムのホテルからバスで約20分ぐらいのところにありました。北欧らしい色遣いの建物で、木々の中に囲まれた素朴な建物でのんびりムードが漂っているところです。
そして一行は到着するやいなや、約2時間後に始まる茶道デモンストレーションに向けて着々と準備を始めました。2回目参加の私たちも、今回は要領を得ているので、無駄なく準備を進め、受付のデスクもばっちり完成。
「準備万端、さぁ~どっからでもいらっしゃい」となったのですが、スペインの時と違うことが一つありました。それは、前回のスペインでは準備段階から、客が列を作って待ってくれていたのですが、今回はあたりを見回しても客らしき人がいないのです。「まだ早いからこれからかなぁ~」と思っていたのですが、待てど暮らせど客らしき人がやってこない。これはどうも変だと思っていたら、添乗員さんが、「今日は天気がこんなに良くなっちゃった上に、マザーズディだから、みんな出かけてしまって、人が集まらないかもしれないですね」と、心配そうな顔でポツリ。
スェーデンは冬が長く、冬の間はほとんど日光を見ることがないので、太陽がひとたび出ると、「それ~」とばかりに、みんな屋外に飛び出して行ってしまうらしいです。
よって、この会場がある公園内の風景はこんな感じ。
みんなピクニックをしたり、ボートに乗ったり日光浴をしたりで、こんな天気がいい日に室内でお茶会に参加しようという人がいないのも、うなずける光景。
ま、ま、まずい。。。
何とかせねばと受付を飛び出して、急遽呼び込みに走り回り、得意(?)の英語を使って、「私たちは日本から来て、今そこの会場でお茶のデモンストレーションをやっているから、来ませんか?」と声をかけて歩いてみたところ、好意的な返事は返ってくるものの、さっぱりこちらに向かってくる気配なし。スェーデンにも社交辞令ってあるんですね。
それでも何人かはリクルートに成功し、会場に来てもらったのですが、そもそも興味があまりない人は途中で飽きてしまって退席してしまったりで、なかなか思うようにいかず、気持ちは焦るばかり。あ~あ。。。
そんなわけで、成功というには程遠い客足になってしまったのですが、たとえ少人数でも日本文化に触れてもらえて、日本を紹介できたことは成果だし、次回はスェーデン大使館が全面的にサポートして広報活動をしてくれるという約束も取り付けたので、初めの第一歩にはなったようです。
お客さんが少なくても、精一杯、手を抜かずにやるという、皆様のプロ意識には感服しました。みなさん、お疲れ様でした。
そして、もう一つ特筆すべきことは、この民族博物館構内には、「瑞暉亭」という正真正銘本物の茶室があるのです。手入れの行き届いた茶室の景観と茶庭は見事で、この場所だけは完全に小宇宙日本になっていました。古くは1935年に日本から寄贈され、その後火事で焼失し、1990年に再度寄贈されたそうです。設計は茶室建築の権威者である、中村昌生氏によるもので、スェーデンにとっても大変な財産になっているようです。
どうです、見事でしょう。こんな素晴らしい茶室がスェーデンにあるとはビックリです。日本の茶室は美しいですね。この美学こそは日本独自のものであるし、日本が世界に誇れる思想、価値観だと思います。
スェーデンでの今後のお茶文化の発展を祈念し、みんなで記念撮影です。
さて、この後も旅は続きます