大雪の空

46歳から始めて嵌ってしまった山歩きの記録と野球などの雑記帳。時々帰郷中の島暮らしの日常。

思い出の山 大雪山 ① (黒岳~トムラウシ~天人峡)

2010年04月03日 | 北海道
46才から始めた山も足掛け16年になるがその中で特に印象に残るのを書いていこう。
まず始めに大雪から。
今までに4回行ったがトムラウシまで歩いた07年7月7日から10日の山行。
この時はまだ現役だった会社の同僚M氏と歩いた。

1.初日 
層雲峡から黒岳石室まで

朝6時台の飛行機で新千歳に降り、旭川までJR。バスで層雲峡に入った。
ロープウェイとゴンドラで高度を稼ぐが何故かコースタイム通りには歩けない。
2時間かけてやっとこ黒岳に登りつき素泊まりのみの黒岳石室で寝た。
満杯だったのでもう一棟の小屋に2人だけの貸切状態で寝せてもらった。
黒岳までは観光客でも歩ける道だが、ウコンウツギやチシマノキンバイソウなど
花が多くけっこう楽しい。
黒岳からの眺望はいつもながら緑と白のまだら模様が素晴らしい。
雪が大量に残る7月が一番大雪らしいのでないか。
石室の水はあまり旨くない。トイレはバイオトイレで自転車漕ぎが必要。

2.二日目
黒岳石室から忠別岳避難小屋まで


高根が原を行くM氏

5時に出て16時30分到着。白雲からが意外と時間がかかる。
小屋を出ての沢への下りではチングルマやエゾコザクラが楽しませてくれる。
北海岳に着けばトムラウシや十勝連峰が目に飛び込んでくる。
イワウメやチングルマを見ながら白雲岳避難小屋まで歩き、昼食。
1時間15分の大休止をとり、10時半出発して忠別岳に15時着。
15分休んで小屋に着いたのは16時30分だった。
この白雲周辺から高根が原越しのトムラウシを見ると大雪のど真ん中に
いるのが実感できるし、ドドーンとでかい風景の中を歩く爽快さは
他の山では味わえない。極論すればここで遊べば他の山には行かなくても
いいと思っているくらい。
高根が原ではチシマキンレイカの瑞々しい黄色や、ホソバウルップソウの
紫など色とりどり。クモマユキノシタやミヤマオグルマなどもいい。
あちこちにあるコマクサは好きでないので感激もない。
忠別の小屋下の水場周辺は2000年の時はチシマクモマグサや
チングルマ、エゾコザクラが咲き乱れていたが今回は雪の下だった。

3.三日目
忠別岳避難小屋からヒサゴ沼避難小屋まで(トムラウシをピストン)


化雲岳手前の雪渓を行く俺


神遊びの庭

忠別の小屋は小さいがぎゅうぎゅう詰めにはならないので重宝する。
ヒサゴ沼の小屋は更に小さく本当に混み合うのでテントを持てる体力があれば
必ず持参すべし。
さて五色岳までは2000年に前年の秋山で雨飾山で知り合ったY氏と歩いた時に
閉口した這い松の林が楽に歩けたのには拍子抜けした。
這い松が成長した為かもしれないし、人が歩いたせいで道が広がったのかも。
五色が原まで散歩としゃれ込んだが期待に反して目立った花がない。
時期的にもっと後のほうが良いのだろう。
しかしその後の歩きで充分楽しませてもらって万々歳。
左手にあのトムラウシの独特の山頂部を見ながら雪渓を歩いたり、百花繚乱の
中を歩くのだからもう池正ではないが「満足、満足」なのだ。
その花畑の中の木道の上に横たわり暫しトムラとお見合いだ。
ウルップソウやらエゾノハクサンイチゲやらチングルマなど越しの姿がかっこ良い。
化雲岳手前の雪渓を越えると神遊びの庭はすぐだった。
このあたりは何とも言えない素晴らしい雰囲気で他のどこでも味わえないだろう。
ヒサゴ沼へはショートカットのルートをとり、急な雪の斜面を下って8:40に
小屋に着いた。4:45出発だったので約4時間かかっている。
ラーメンを食べてトムラのピストンに出発。もっと本格の食事にすべきだったと
途中で後悔するのだが。
稜線へは短いが斜度70度はあろうかという急な雪壁を登る。
分岐から僅かで奇岩が林立する「日本庭園」だ。この後が辛かった。
北沼のある台地まで案外と長く感じる登りをこなし、沼のほとりから最後の登りで
やっとトムラウシ山頂だった。しかし何とすぐにガスって眺望が無くなったが、
十勝連峰やらニペソツやら石狩岳やら旭岳やら見たのでよしとする。
9:45に小屋を出て13:20山頂着。
シャリバテでなかなか足が上がらずコースタイムを大幅にオーバーした。
無駄な贅肉が無い替わりにすぐにガソリン切れになってしまうのが困る。
ある程度は筋肉と脂肪はつけておいた方が良いのだがなかなか太れない。
帰りは北沼まで駆け下り、あとはノンビリ歩いて帰ったが先行したM氏が
間違ってデジカメの動画をオンにしていたためバッテリーが無くなるハプニング。
日本庭園やら小化雲岳のチングルマの大群落などの写真が撮れず残念。
しかし眼にしっかり焼き付けたのであまり口惜しくはなかった。

4.最終日 
ヒサゴ沼から天人峡へ下山

今日は長い下りなので昨日と同じく4:45の出発。昨日同様に稜線までは
雪壁を登り、分岐から化雲岳を目指す。
何だか足が上がらず、M氏にすぐに置いていかれる。
登りついた神遊びの庭はエゾノハクサンイチゲ、エゾコザクラが咲き誇る
平原だ。神遊びの庭とはなんともピッタリの呼称で感心。
化雲岳には本当に出臍みたいな巨岩があった。
眺望は旭岳、石狩岳、ニペソツ、トムラウシ、十勝連峰など360度。
登っては最低の旭岳も姿だけはまあまあ。
天人峡への下り始めはコマクサがあちこちに咲く道で、踏みつけないように
歩かねばならず難儀する。
知床を羅臼から硫黄へ縦走した時に靴の底がとれ、6本爪の軽アイゼンを
つけて歩いた時のことを思い出す。
シレトコスミレがあちこちにあり足の置き場に困ったのだ。
途中すぐに男女のアベック(古い!)パーティーに出会って?
M氏が「テントで寝るために来たんでないの」とのたまう。
うーん、この人は時々鋭い言葉を発するのが面白い。
小化雲岳近くでチングルマの大群落に遭遇して大感激した。
サッカー場くらいはあるかと思われる規模で咲き乱れている。
もうこれだけで今回の大雪山行は大満足だが、裾合平のチングルマを
見るのが残っている。
滝見台まで長い下りだが斜度がきつくなく(当然時間はかかるが)、
登りにもつかえるなと思っていると一人登ってきた。
「長くてウンザリ」と馬鹿なことを口走った。
晴天が続いたおかげで道が乾き、歩き易くて助かる。
第一公園下の樹林帯では久し振りのツバメオモトや好きな花の一つの
ゴゼンタチバナが出てきた。
最後の下りはジグザグの歩きやすい道で12:25に降り着いた。
約8時間かかったことになるが案外楽しい道だった。
風呂に入ってのんびりしたが、M氏は滝を見に行くという相変わらずの
タフネス振りだ。

主な花


イワウメ


ホソバウルップソウ


チシマキンレイカ


ミヤマオグルマ


旭川の宿はいつもの駅前の「ビジネスホテル富士」。3畳程度だが
朝飯付きで3,150円と山屋にはもってこいだったのに、残念ながら
2009年9月で廃業してしまった。
晩飯はこれもいつも行く塩ホルモンの「炭屋」。
ビールで乾杯し、久し振りの蛋白質を貪り食う。
若村真由美似のお姉さんがいてなかなかうまくさばいてる。
M氏は一人で夜の探索に出かけ、夜中に帰ってきたが部屋の入り口で
爆睡する始末。なんとか布団に寝せるが鼾がすごく大迷惑。
翌朝の飛行機で羽田に舞い戻ったがすばらしい大雪だった。
次回は2000年のY氏との初大雪の記録としよう。





コメント
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