大雪の空

46歳から始めて嵌ってしまった山歩きの記録と野球などの雑記帳。時々帰郷中の島暮らしの日常。

思いでの山 東北編 ② 朝日連峰

2010年04月16日 | 東北

前年の浅草岳で花に目覚め、同じく6月中旬に東北の朝日連峰をM氏と歩いた。
花なら飯豊の方だと思うが、何故か朝日だった。
この時は今は無いムーンライト越後を利用して鶴岡まで行き、タクシーで泡滝ダムまで。

1999年6月11日(金)-13日(日) 山中2泊3日

1.初日
泡滝ダムから大鳥小屋まで

のっけからタニウツギだらけで期待が高まる。すぐに昼食としたが、そこらじゅうにあるミズ(ウワバミソウ)をラーメンに入れて食べた。
途中で七つ滝コースが分かれたが、見送って安全な一般ルートを歩いた。
急登も無く、歩きやすい。浅草岳と同じく深山の趣たっぷりの静かな道。
辿り着いた大鳥池の小屋は案外と立派だった。伝説のタキタロウはまあいないだろう。
釣り客も結構多いらしく、2人が釣り糸を垂れていた。
夜行だったので夕食の後さっさと寝た。

9:30-14:00

2.二日目
大鳥小屋から狐穴小屋まで

爽やかな朝の空気の中をオツボ峰目指して歩き出したがすぐに急登が待っていた。
本当に目の前に登山道がある感じの急さだが、ブナ林が救いと言えば救いだ。
途中からミツバオーレン、カタクリ、稜線に出て、イワイチョウ、イワカガミ、チングルマアオノツガザクラ、ハクサンイチゲなどが出てきた。
以東岳山頂ではミヤマダイコンソウが主役だ。
眼下に熊の毛皮みたいな大鳥池が見える。
はるか南には三角錐の大朝日岳が見えている。どの山も残雪が良いコントラストになっている。
その残雪に黒いワッカ状の模様があるのが面白い。
頂上からの下りではミヤマキンバイのオンパレード。これでもか、これでもかといった感じで出現する。こんなのは今までで初めてだ。
残雪と花畑は関東周辺ではなかなか見ることが出来ないので感激もひとしおだ。
それにしても風が強く、首にかけていたタオルを一瞬で持って行かれてしまった。
道脇の峰桜が東側へ90度ひん曲がっており、強風と豪雪を物語っている。
辿り着いた狐穴小屋は新築で水洗式だったがまだ使用不可で、通常のを使うようになっていた。
2階に陣取って夕食にしたが、バーナーのコックを目一杯開けているオヤジがいて、ゴーゴーとうるさい。まったくの無駄なガス浪費なのに。

5:30-9:40オツボ峰10:30-11:50以東岳13:00-15:30

3.三日目
狐穴小屋から大朝日岳を越えて古寺鉱泉

今までで一番長い行動時間となった一日は小屋前の雪壁(3Mも無かった筈だが)のキックステップから始まった。
雪に慣れていないので案外と恐怖感がある。無事登り終えてホットした。
昨日すれ違った2人組から聞いていたキヌガサソウは北寒江山への登り始め、東側雪田の縁に群落をつくっていた。初めての対面で即写真を撮るがピントがずれていた。
まあしかし葉も花も大きすぎて何か可憐さがない。
あちこちに残雪があるが、あのヒメサユリは全く咲いていない。ここでは7月上旬かららしい。
一方シラネアオイは盛りを過ぎており、ちょっと損した気分だ。
金玉水のテント場は遠目には少し斜めになっているように見えた。
大朝日岳をピストンした後大朝日小屋で昼食。頂上からは歩いてきたコースが以東岳まで見えていた。本当によく歩いたものだが、この後まだまだ歩き、ちと危ない目にも遭うとは夢にも思いもしなかった。
銀玉水の水場は出ていたがその下からは雪田上を50M程歩いた。小朝日岳手前にはハクサンチドリが群生していた。
疲れる直登をゼーゼー喘ぎながらこなして、やっと小朝日の山頂だ。
でかい大朝日を眺めながら暫し休憩。もう出発から10時間もかかっているが、まだまだ下りがコースタイムだと2時間ある。
しかし実際はプチ遭難もあって何と3時間40分もかかってしまったのだ。
古寺山から先の雪田からの降り口をロストしてしまったのだが、先行するM氏の足跡とおもわれる
のをたどると急な雪の斜面に出てしまった。しかし何となく降りて行ったような跡も見える。
こんなところ降りるはずがないがと思いながらももうちょっとと降りかけた途端に滑落。
あっという間に下にあった根曲がり竹のブッシュに飛び込んだ。まあこのブッシュがあるから降りてもいいと判断したのだが、ものの見事な滑落ではあった。
竹薮を廻り込んで下を見てもM氏の姿はない。どうもこれは違うなと引き返す気になった瞬間に急に恐怖心が湧いた。即座に6本爪の軽アイゼンを装着して気を落ち着かせた。
雪の斜面を慎重に戻り、右手のほうを見ると降り口があるではないか!アイゼンを脱ぎ先を急ぐがなかなかペースが上がらず、古寺鉱泉朝陽館に着いたのは何と17:40分!!。
M氏は風呂に入り、ノンビリとビール。あげくに「遅かったねー」とトドメの一発。
竹の子尽くめの夕食とこじんまりした、家庭の風呂をちょっと大きくした程度の鉱泉風呂でながーい一日の疲れを癒した。

4:00-7:45竜門山-8:55西朝日岳9:10-11:00大朝日小屋 
山頂ピストン 昼食12:20-14:50古寺山-17:40
現在でも最長記録の13時間40分の行動時間だった。

花の記録

シラネアオイ ヒメサユリ(朝陽館) ミヤマキンバイ ハクサンチドリ ハクサンイチゲ
キヌガサソウ ミヤマキンポウゲ ミヤマダイコンソウ イワイチョウ ミツバオーレン
カタクリ イワウチワ イワカガミ アオノツガザクラ チングルマ シロバナエンレイソウ 
サンカヨウ ユキザサ ニリンソウ ショウジョウバカマ ノウゴウイチゴ 
タチスボスミレ キスミレ リュウキンカ ヒナザクラ アカヤシオ ムシカリ タムシバ
ヤマツツジ ミネザクラ ウラジロヨウラク 
 

翌朝、宿の廻りのヒメサユリ(!)に見送られ、タクシーで左沢へ出た。
山形から新幹線に乗り継いで帰ったが、いろんな意味で充実した山ではあった。
次は同じくM氏との飯豊。


コメント
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