大雪の空

46歳から始めて嵌ってしまった山歩きの記録と野球などの雑記帳。時々帰郷中の島暮らしの日常。

思いでの山 屋久島縦走

2010年04月11日 | 九州・四国・屋久島

2003年秋に念願の屋久島縦走をやった。
M氏との山行で福岡まで飛び、夜行列車で朝鹿児島。フェリーで屋久島に入った。
帰りは飛行機で鹿児島乗り継ぎ羽田。
時期はヒルの心配が無く、台風の確率も低い10月末にしたが、滞在した4日間とも快晴で運がよかった。
この時は沖縄の老婦人の遭難救助というハプニングもあった。
ガスは港近くのスーパーでゲットしタクシーで登山口へ。

2003年10月24日-26日 山中2泊3日(M氏同道)

1.初日
白谷雲水峡から高塚小屋まで(10:50-17:30)

出だしからこれぞ屋久島という幽玄な沢と森の中の歩きでこころ弾む。
鮮烈な水が大容量で流れており、苔むした倒木やら樹齢何百年の大木がヒヨッコの森なのだから雰囲気がいいのは当たり前だが。
白谷避難小屋はブロック造りで湿っぽくて外でお昼にした。
軌道敷の道までの途中にある辻の岩屋は充分ビバーグに使える。

万一の時にはあちこちにある巨岩の岩屋で寝られるのも心強い。
それと水が至る所で飲めるので1Lもあれば充分なのが楽チンだ。
軌道敷の単調な歩きが終わったと思ったら、今度は木道の階段だ。
途中ウィルソン株に立ち寄る。想像以上にデカイ。湿気てさえいなければ最高の宿なんだが。
それにしても巨木だらけなのにあきれる。なかでもヒメシャラの大木が多くて
杉よりも目立っていた。
縄文杉は根を保護するために離れたテラスから眺めるようになっていた。
あまり感動しない。

なにしろ巨木だらけだから、その内のちょっとでかくて風格のある杉の木だなあといった感じしか湧かない。
それから少しで高塚小屋。古くて暗いが次の新高塚小屋はメチャ混みの筈なのでここで寝る。
外人一人を入れて10人程度の泊りだったがそれで満杯だった。定員20名とはギシギシに詰め込んだ時だろう。

2.二日目
高塚小屋から投石平の岩屋まで(6:00-17:30)
遭難騒ぎがあったのでこのタイムは参考にならない。

新高塚小屋は予想通りの大混雑でごったがえしていた。ツアーやら大人数のパーティーが利用するので避けたほうが懸命。

単独で歩くならためらわずに岩屋で寝る。
途中で屋久鹿の子供に遭遇したが、丹沢の鹿達と違って何か清潔(?)で小ぶりで可愛い。
白いお尻を上下に揺らして逃げていった。
第一展望地に飛び出すとうって変わって笹と花崗岩の巨岩の大パノラマだ。

空のブルー、巨岩のグレー、笹のグリーンのコラボが素晴らしい。しかし表現力の無いのには自分でもあきれる。

写真も同様で景色のスケールのでかさは表現できない。このブログを見て大したことが無さそうなどと思わないこと。

本当に素晴らしい所なのだ。
深田の百名山などは真っ平だが、この屋久島だけは「山屋ならやってから死ね!」だ。
先に三本の指に入る山を挙げたが、この屋久島は番外という事にしておこう。
さて焼野三叉路手前で登山道に這いつくばっている老婦人がいて?
傍によって見たら道が凍っていて普通に歩けなかったのだ。

それにしても変だなあと思っていたら、永田岳をピストンしてもどってもまだ三叉路にいた。
永田岳は巨岩の山頂でローソク岩みたいなのが林立しているのやら海が見えてしばし楽しむ。

今度来るとしたらこの道から永田の海岸へ降りてみたい。
さて先ほどの老婦人に問いただすと疲れて歩けないというではないか。

一体どこまで行くんだと聞くと淀川までといった。

そりゃ無理だろうし、仲間はどうしたんだと聞くとにわか集めだったので皆先に行った由。後で前日から単独状態だったのが判明する。
とにかく宮之浦岳まで連れてってくれというので、M氏と交替でサポートして登りついた。
ところが案の定今度はもう歩けないときた。

まったくどうすんだよとこっちが泣きたくなる。
丁度居合わせたオヤジが携帯を貸してくれたので警察に連絡すると、何と今度は三叉路まで降ろしてくれというではないか!

勘弁してくれよといっても始まらず、また2人で降ろす始末で徒労もいいとこだ。
暫くして鹿児島からヘリが飛んできて、沖縄からきたおばさんをあっという間に連れて行った。
後日の礼状によれば沖縄からの単独同士のにわかパーティーで歩いていて遅れてしまい、道端に寝袋でビバーグしたらしい。

朝日が素晴らしかったなどと暢気なことを書いていたが、懸命な判断ではあったなあと少し感心した。
まあそんなこんなで予定の淀川小屋へはとても無理な状況となり、大手を振って岩屋に寝ることになった。
投石平の3-4人寝られそうな巨岩の下で寝たが、そう寒くも無く静かでいい夜だった。

3.三日目
投石岩屋から淀川登山口まで(5:30-8:40)

シャクナゲやら笹やらの中に巨岩が点在する開放感一杯の気持ちの良い景色の中を淀川めざしてノンビリと歩いた。

途中ちょっと道がわかりづらい湿地帯を過ぎて着いた花之江河はなんと言うことも無い小さな高層湿原だった。

小屋への下りでは屋久猿のギャーギャーという威嚇音が聞こえてきたが姿は見れなかった。
淀川小屋もこじんまりとしており、これでは金曜日の夜などは超満員だろう。
2泊3日だとこの小屋での初日が多いはずだから金曜日がメチャ込みで、土曜は少し余裕があるんでないか。
登山口からバス停の紀元杉まで20分だった。

とんだハプニングもあったが本当に素晴らしい山だった。
参考になりそうなことを書いておこう。

下山してからの宿はライダーハウスの「森の陽だまり」 0997-49-9701
素泊まりで1,890円だった。寝るだけならユースより安い。
レンタカーを借りて滝を見物したり、温泉を楽しんだり、食事にでかけて翌朝空港に乗り捨てた。
滝は千尋の滝や大川の滝があるし、温泉は尾之間温泉が100円+ロッカー100円の超安さと足元の小石の間から湯が湧き出るという、青森の蔦温泉を彷彿させる抜群の日帰り温泉だったのに驚いた。
海亀の産卵場の永田海岸の散歩もよかったし、下界のドライブも結構楽しい。
食事は「漁火」という仲の悪い夫婦の店だったが、味はよかったし、安くて満足。
「ホタ」(ウメイロのこと)の刺身が白身で淡白ながらいい味で、カマの塩焼きは適度に油が乗って旨かったし、1,500円のてんぷら定食もボリュ-ム満点。

コメント
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