ひと足踏みて夫思い
ふたあし国を思えども
三足ふたたび夫思う
女心に咎ありや
大塚楠緒子
戦争に夫を取られた若妻
そうだわ
私の母は二十歳で身重の体で(私がおなかにいた)
父の出征を見送った
この人は↑ 北海道からのはがきに
のりこちゃんに会いたい と書いてよこしたけれど
私に会わないで 戦死しちゃった
戦争とは殺されることだと思ってきた
そうなのだけれど
近頃 男の子が戦争になったら
人を殺さねばならない
僕は嫌だから自殺しなければならない
でもどうやっていいかわからないといっている記事を読んだ
こっちの戦死しなかったほうの父は
戦争に行って 人を殺した。
すごい飲んだくれだったけれど
戦地での話をよってはよくした
何回も書いたけれど
人を殺さなければいけない羽目になったときのことに話が及ぶと
それはそれは恐ろしい暴れようだった
戦争の中では殺される 殺すのだよな
この父の周りでもいっぱい戦死している
トラックで輸送していたとき
前のトラックが止まって動かないので見に行ったら
おなかに銃撃を受け 二つ折りにして死んでた
とか
河を部隊で泳いで渡ったときも
銃撃を受け バタバタ死んでいったとか
戦争に行った人は あまり語らないという話も聞くが
父はいろいろ話した
話さずには耐えられない そういう感じだった
私も空襲の中を逃げ延びてきたのだと思うけれど
母は 恐ろしい話を 私にはしないほうだった
戦争をしたくてしょうがない人は
一体 何を考えてるんだろう
まず 自分が戦地に行って 人を殺さなければならない
と言う恐怖
殺されるという恐怖は ないのだろうね
安全なところに自分はいるから
平気だと思っているのだろうね
核暴走が始まれば 安全はないよ