北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

9月議会開会 議員報酬2万5千円アップ?!

2019-09-03 | 珠洲市議会

(能越ケーブルのテレビ画面より) 


珠洲市議会9月定例会が開会。
初日の今日は泉谷市長から議案の提案説明がおこなわれる。
好調だった夏の観光の入込み(ジャンボリーが開催された昨年、芸術祭の開催年だった1昨年より入込は良かったよう。イベントなしの方がいい?)、無事終了した第30回のトライアスロン大会、珠洲焼プロジェクトや奥能登国際芸術祭の準備状況などが詳しく報告された後、おやっという議案が。
特別職報酬審議会の答申を受け、議員の報酬を月額2万5千円アップさせるとのこと。
今春の選挙で定数が2減の12になったこと、議員のなり手不足が懸念されること、平成19年(2007年)に36万5千円から現在の34万円に引き下げたが、当時5%だった消費税が10月から10%になることなどを理由として(という説明だったと思うが議事録要確認)、10月から2万5千円引き上げて削減前の36万5千円に戻すとのこと。

へぇ~~~ 
議員にとっては結構な話だが、こんな引き上げ市民の皆さん納得するんだろうか。
最初に断っておくが、議員報酬の額を定める客観的な基準はない。
職員給与のような人事院勧告もない。
多くの自治体は他の類似自治体との比較、近隣自治体との比較の中での相場観で決めていくが、近年は議員の成り手不足の中で報酬アップも検討されている。県内では加賀市議会が今年3月、5万円の報酬アップを決めている。理由として定数削減の一方で議会改革の進展で議員の活動量が増えていることなどが挙げられているようだ。

さて、珠洲市議会だが、定数2減の議論が議会内で浮上したときにセットで語られたのが報酬アップだった。
当時の議論を若干振り返ってみたい。
議会改革を進捗度を報酬の検討基準に入れるべきかどうかは賛否議論があるだろうけど、ちなみに当時の珠洲市議会は議会改革度ランキングで最下位に位置づけられるほどの低レベル議会。議会改革全国トップクラスの加賀市議会とは雲泥の差、月とすっぽん。とても市民の皆さんに「これだけ頑張ってるんだから報酬を少し上げてもいいでしょう」と言えるような状況ではない。
他の自治体との比較でも、たとえば人口2万人以下の市は全国で18あったが(H26年12月31日時点)、珠洲市議会の議員報酬34万円はその中のトップであり、人口5万人未満の自治体の市議の平均報酬額は327,800円(H26年12月31日時点、全国市議会議長会調べ)であり、相対的には珠洲市議会の報酬は決して低いとは言えない。
当時の議会改革特別委員会などの場で私はこのようなデータも示しながら報酬の引き上げの議論は定数問題とは切り離すべきと主張し、こうした中でたまたま政務活動費の不正使用問題も発覚したことから報酬引き上げの議論は吹っ飛んだ形となった。

定数引き下げとの関係でいえば、確かにこの4月の選挙で削減したが、定数条例の改正は昨年の3月議会に行っている。
議会としては、この定数削減で議員一人あたりの活動量は増えるだろうし、昨年12月議会では議会基本条例の制定し、改選後の議会では改革に向けた様々な取り組みが動き出すはずだった。そこで、定数削減による議会費減のタイミングに合わせて議員用のタブレットを導入し、議員活動の密度を高めていく方針だった。ところが議員全員が一致したこの要望に反対したの泉谷市長だった。
今年の3月議会での予算計上を見送ったことから「新生すず」は予算の修正案を提出し、私は賛成討論をおこなった(3月15日のブログ参照)。

そんな経過の中での今回の報酬引き上げ条例の提出である。
冒頭述べたように議員報酬の客観的な判断基準はない。
そんな中、自治体の規模も一つの指標とされている。
珠洲市の財政規模で横浜市(953,000円)のような議員報酬を出せるわけがない
あらためて最新の全国議長会の資料(H30年12月31日時点)を基に他の自治体と比較してみたい。



これは全国の人口2万以下の市の人口、議員定数、議員報酬の一覧である。
この5年間で5つの市が新たに2万人以下となっている。
珠洲市が25,000円アップの365,000円となればこの中のトップである。
ちなみに人口の2万人以上の自治体も含め、議員報酬が365,000円より低い自治体は、人口117,515人の一関市、117,360人の奥州市(いずれも岩手県)を筆頭に315自治体にものぼる。
全国の市は815あるので珠洲市の議員報酬より低い自治体は4割近く(38.7%)となる。

また、人口5万人未満の自治体の平均議員報酬は331,500円(H30年12月31日時点 全国議長会調べ)となっている。
この平均値も上回ることとなった。

※以上、あくまで昨年12月31日時点での資料を前提にした数字である。今年に入って報酬アップを決めた自治体も若干あるかもしれないので正確な数字は若干違ってくることをお断りしておきたい。

さて、議員の報酬の引き上げは、珠洲市の場合、特別職報酬審議会に市長が諮問し、答申を受けて対応することになっている。
裏からこっそり市長に「報酬アップの諮問してよ」と頼んだ議員がいるかどうかは知らないが、少なくとも改選後、議会の中でそのような議論はなく、議長からそのような要請もしていないようだ。
ということは諮問は市長の判断ということだろう。

定数削減を理由に見直すのならこの4月の改選に間に合うようするのが自然で、時間も十分あったはず。このタイミングは摩訶不思議。
強いてこの10月1日のタイミングにこだわるのなら、参議院選挙の与党勝利で確定した消費税アップが一番の理由か?
多くの市民からみると、わけのわからない軽減税率やポイント還元なんかやめて、議員の報酬アップの代わりに税金下げてくれ~というのが本音だろう。
タブレットの導入を拒否しておきながら今回の報酬アップとは、議員に対するアメ玉バラマキ作戦のようにしか私には見えないが、市長は「いかがいたしましょうか?と諮問しただけ、報酬アップも引き上げ額も決めたのは報酬審議会の皆さんです」との答えが聞かなくても聞こえてくるようだ。
この際、報酬審議会の議論も確認したいところだ。

議会は、審議会の答申を踏まえた条例改正なので「異議なし!」ということで可決するのかもしれないが、今後の仕事ぶりに一段と厳しい視線が注がれることだけは覚悟してもらわなければならない。




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