2/27(木) 一昨日、年末に注文してあった「土佐文旦」が会社にも届いた。通常の文旦は、年末に収穫して二月ほど熟成させてから出荷する。届いた四万十川清流農場の文旦も同様の手順で届いた。昨年夏の日照りにもめげず、大きくて綺麗な文旦で色艶・香りとも申し分ない。私の畑で実る文旦とは大違いだ。
然し味見はしていない、そこで先ほど切ってみたが・・・・。形、色艶、香りは上々だが、ひと房口に運び歯触りを確かめる。舌に乗せて含んでみる・・・・何かが足りない、足りないのだ。文旦のもつ芳醇な旨さ、微かな甘みと上質の匂い、これがない。水分は上々だが、微かな酸味と渋みが口中に残った。ハズレだな、今年の文旦は良くなかった。
毎年の如くに取り寄せている、昨年は熟成まで時間を要したと3月中旬の出荷で、球も小さ目であった。が、味の方は良かった。手厳しいが、今年の味には満足出来ない。自然の要素が多分にあるので、年ごとには多少の出来不出来があろう。熟成期間が少し足りなかったのか、肥料が少なかったのか?上々の外見だけにちょっと残念。来年に期待しよう。
味の方では、私の文旦でも太刀打ちができそうだ・・・と思った。
高知で誇れるものは、文旦に小夏、この二つが双璧と私は思っている。勿論、生産者や産地によって味のバラツキはあるし、年ごとの気候にも左右される。農産物の生産は難しいのは確かだ。秋口から出回る温室栽培の水晶文旦もあるが、今の時期に出る土佐文旦の芳醇な香りと品の良い味わいは格別である。
そして初夏、五月頃から店頭にでる小夏の仄かな甘さと酸味のコラボレーション、甘皮のさっくり感と相俟って味わい深いものだ。こればっかりは食べてみないことには分からんな・・・・。
さておき、ちょっと残念な今年の文旦でした。来年をご期待下さい。
昨夜、渋谷・奈加野に立ち寄るつもりでいた。或る案件で、奈加野の店主を介して醸造学の大家であるK先生に意見を、上手く行けば道筋を開いてもらう考えがある。そのお願いに奈加野に行く計画をしていた。処が、日も暮れてから、あの古本BARをやっていたHIRAISHI氏から誘いの電話がきた。
彼とは一年も会っていないはずだだが・・・「学大で、安くて、いいワインバルを見つけたから来ない」との誘いである。久々のことなので奈加野へ出向くのは翌日にして、学芸大学に帰ることとした。『遅くなっていいなら、顔を出しますよ』と、店に着いたは21時頃になっていた。
店は路地に面しており素遠しのガラス戸から店内は丸見え、中には何の飾りもない。L字型のカウンターに、硬くて不揃いな椅子が7~8脚だけの小さなお店であった。ママさんと云うよりはお手伝いさんと云う風情の女性が店主で、九か月前にオープンしたとのことである。
HIRAIHIと言うかHIMAISHIと呼ぶべきか、古本BARを閉めてからは競輪と安酒場、古本屋巡りの優雅な貧乏暮しと豪語する。地元で飲む機会が少ない私とは、出会うことも無い。
学大事情や、昨今の世情etcで小一時間付き合ったか。入ってくる客の誰彼とも親しそうで、この店の常連ぶりを発揮していた。私は数あるワインのリストから「一番安いやつを!」と、グラス550円の赤ワインを飲んだ。HIMAISHIさんは二番目に安いのがいいと、私が来る一時間以上も前から遣っていた様子。
「それじゃ、先に失礼するよ」と勘定を頼んだ。と、伝えられた金額が大きい「なにそれ?HIRAさんの分も入ってんじゃないの?」と問うと、そうだと言う。「へ~そうなの?」と云うと、勘定をしなおそうとした。今更それも気分が良くない、いいよいいよと言って店を後にした。
HIMAISHIのオッサンがあらかじめ何か伝えてあったかもしれない、或いは紳士然たる小生を見て、何処かの鷹揚なお大尽と思ったか?それなら判らんでもないか・・・。然し、お大尽が「一番安いの」と、頼むことはねえだろう・・・・・。
と、間抜けな夜であった。HIROさん流であるなら『二度と、この店のドアを開けないぜ』と云う処だが・・・。