好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 アバド/ウィーンフィル/ウィーン国立歌劇場合唱団 他

2018-03-10 15:23:35 | べートーヴェン 交響曲第9「合唱」
ベートーヴェン 
交響曲第9番「合唱」 

指揮…アバド
演奏…ウィーンフィル
合唱…ウィーン国立歌劇場合唱団 他
好み度…4(5点満点)

耳を澄まさねば聴こえないくらいの静寂の中から湧き上がっての全奏は美しくインパクトある響きで引き込まれる。
その後もテンポはややゆっくりめに、弱音部はほんとに小さく、しかし美しく、その分せり上がる高揚部は美しい力を感じさせ、感情的に煽ることなく、熱くはないが慈しみと清らかな激しさに満たされたような、崇高な宗教画に囲まれているかのような独特な美しい空気感を感じさせる。
この艶に満ちつつ崇高な空気感を漂わせる美しさはウィーンフィルならではのようにも思う。
終楽章は速めの展開。しかし速めの低弦は激しさと美しさを同居させ、その後もオケは緊張感と美しさは損なわず、独唱はテノールが少ししっくり来ない感もあるが、トータルとしてはうまく、ただ、合唱は力強さは感じるがその質感にちょっと力みが感じられ透明感に欠ける印象があるのと、もう少し広がりをもって前に、あるいは全体に響き渡ってくれれば、との感を受け、また、もう少し情を感じさせてくれても、の感も受ける。
終楽章も悪くはないが、個人的には終楽章より第1~3楽章にこの盤の価値を感じる。それらの楽章で、この曲のもつ、激しさよりは崇高な面を、ときに静かに、ときに美しい激しさを以って聴かせている演奏のように思う。



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