MontreuxII/Bill Evans (CTI LAX3194 jp.reissue)
60年代も終焉を迎えようとする頃、マイルスの電気化がジャズを変えたことは皆さん周知の通りです。好き嫌いは別として、70年代になって作られるアルバムには電気は当たり前になりました。ビル・エヴァンスも最終的にはエレピを使うのですが、とても好きになれませんよね。名門ジャズレーベルVERVEの仕掛人、クリード・テイラーが起こしたCTIレーベルも時代を反映し積極的に電気楽器が用いられ、センスを全く感じないジャケをしてアルバムを連発したレーベルでした。中には人気のあるアルバムもありますが、一般的なジャズファンに一目置かれたのは本日アップのエヴァンスのモントルーライブとジムホールのアランフェスの2枚が両横綱と言った感じでしょう。個人的にはアーシーなタレンタインのSugar&Cherryも好きなのですが、電気アレルギーの時代は聴けたものではなかったですね(笑)。CTIとは70年代以降を代表する混沌のレーベルと言えるかもしれません。
エヴァンスのモントルーライブと言えば、VERVEの「お城のエヴァンス」が何と言っても有名で、このCTIのモントルーライブは常に軽視の対象となり続けた一枚ではないでしょうか?メンバーはゴメス、モレルのトリオです。アンコールで演奏されたという愛奏曲の”Israel"なんか聴いているとライブ特有のあらけずりな印象を感じないでもないですが、やはりこれを生で聴いた聴衆の感動は押してしるべしですよね。録音が悪いという評価もありますがライブの熱気は十分です。フランス語のMCに続いて出る”Very Early", バカラックの”Alfie"が好きですね。B面は“How My Heart Sings", "I Hear A Rhapsody"は”Israel"同様にエヴァンスの愛奏曲でありますが、いずれも決定的な名演の再演ですがやはり貴重な資料ですよね。このライブでは実際、エヴァンスはエレピで“My Funny Valentine"を演奏した(もちろん、聴いたことはないのですが)ことが日本語ライナーに書かれていましたが、アルバム収録からは除外されたことは自分にとっては救い?なのかもしれません。
所有盤は中古レコード屋のバーゲン箱を賑わしているキングの1500円廉価版です。