「登って下っての四国旅行記(その8・香川編⑦)」のつづきです。
旧金毘羅大芝居(金丸座)を堪能した私は、5年半ぶりにこんぴらさんの石段を登りました。
こんぴらさんは2回目(前回の旅行記はこちら)ですし、今回は参拝ではなく「秋の特別展-若冲邂逅」が目的でしたので、参道の写真を撮るわけでもなく、お土産屋さん
を覗くわけでもなく、宝物館にも、高橋由一館
にも目もくれず、ひたすら書院を目指して石段を登りました
それにしても、どこまでもつづくこんぴらさんの石段は、壁のよう…
15分ほどの石段登り
の末、書院に到着
拝観料は、、と、、、2,000円
5年前に表書院で「こんぴらさん-海の聖域 パリ凱旋帰国展」を観たときには、こんな高かったイメージはなかったよな…、と記録
をひもとくと、500円
でした。
現在の「表書院一般公開」の拝観料は800円になっていることを考慮しても、奥書院の特別公開が加わることで2,000円とは高い
…と、正直、思います。
「こんぴらさん-海の聖域 パリ凱旋帰国展」でも、伊藤若冲の「花丸図」は、ガラス越しながら特別公開されていましたし…。
それでも、普段は非公開の奥書院に立ち入ることができただけでも貴重な体験
といえるでしょう。
そして、実際に若冲描くところの花々で埋め尽くされた奥書院・上段の間は、思わず頬が緩みました
お武家の書院ではこんな意匠はあり得ないでしょ
でも、この日の一番の収穫は、若冲の作品ではなく、こちら
「菖蒲の間」の長押(なげし)の上を群れ飛ぶ蝶の群れ
岸岱の「群蝶図」です。
私、この作品を拝見するまで岸岱(がんたい)という絵師を存じ上げませんでした
金刀比羅宮のHPによれば、
その80年後の天保15年(1844)には、若冲の描いた障壁画も損傷がひどくなったため、上段の間の「花丸図」だけを残し、他の三室の絵は全て撤去し、その後、岸岱に新たな障壁画を描かせ、現在に至っています。
だそうで、「柳の間」の障壁画もなかなかの作品でしたが、この「群蝶図」はスゴイ
多分に若冲を意識したことが察せられる写実的かつ繊細な蝶一匹一匹の描き方や、「蝶」を題材に採り上げたこともさることながら、様々な色・形・大きさの蝶が、うねるように群れ飛ぶ「さま」は、躍動的で装飾的で、それはもう「こんなの観たことない」と感嘆
したのでありました。
できれば「お持ち帰りしたい」ところですが、さすがにねぇ~、日本間を一部屋お持ち帰りするのは無理でございまして…
冗談はさておき、今後、「岸岱(がんたい)」を意識しておきたいと思いました
はじめ、拝観料にビビった
ものの、結局は満足
して石段を下り始めた私でございました。
つづき:2014/10/05 登って下っての四国旅行記(その10・香川編⑨)