東北太平洋沖地震のあと、東京国立博物館(東博)は、ずっと閉館しています。
3月14日に届いたメルマガによれば、
東北地方太平洋沖地震に伴い、当館では、展示室及び収蔵庫等の点検を行いましたが、作品及び施設に特に大きな被害はございませんでした。
だそうで、一旦、「3月19日から開館」とのお知らせもありましたが、結局は「交通事情や電力不足など、地震の影響による諸事情に鑑み」閉館がつづいていました。
そして、明日29日(火)から、部分的ながら開館の運びになったそうです。
恒例の「博物館でお花見を」と「庭園開放」は行われますが(4月19日まで)、いくつかのイベントが中止になるほか、開館時間や公開施設が、
開館時間:10:00~16:00(入館は15:30まで)
開館場所:本館と平成館(日本の考古・企画展示室)
と制限されるそうです。
また、
3月29日(火)~4月3日(日)に来館されたお客様の観覧料は日本赤十字社を通じて、この度の震災で被災された地域の皆様に寄付いたします。また、正門、本館、平成館に義援金箱を設置し、お客様からご寄付いただいた義援金は同じく日本赤十字社を通じて、被災された地域の皆様に寄付いたします。
だそうです。
一方、4月5日~5月15日の会期で予定されていた特別展「写楽」は、5月1日(日)~6月12日(日)に延期され、毎週金曜日の夜間開館(開館延長)は行われないことになったようです。
私の近所には、こんな貼り紙が貼られています。
地域のさくら祭り(去年の記事はこちら)は中止だそうです。
でも、「さくら祭り」は中止になっても、季節になれば、桜は咲きます。
近所でも早咲きの桜が風に揺れていました。
桜だけでなく、乙女椿もきれいでした。
菅原道真は、太宰府に左遷されるとき、
東風(こち)吹かば にほひをこせよ梅[の]花
主(あるじ)なしとて春を忘るな (拾遺和歌集)
と詠んだそうですが、枯れてしまわない限り、人が悲しかろうが、誰も見ていなかろうが、季節になれば花は咲くものです。
有名なフレーズで、
年年歳歳花相似(年々歳々 花相似たり)
歳歳年年人不同(歳々年々人同じからず)
というのがあります。
中国・唐の詩人:劉廷芝の詩「代悲白頭翁(白頭を悲しむ翁に代る)」の一節です。
この詩ではひたすら人間が老いていく悲しさが詠われていますが、人生ってそんなものでしょうか?
人生経験を重ねて成長した人、分別がつくようになった人、そんな人だって「人不同」です。
逆に、同じ人が同じような花を観たとしても、人の成長や衰えによって花の見え方は違ってくると思います。
今年の桜も、例年通りの花を咲かせることでしょう。
その花は、とてつもない悲しみや苦難を体験あるいは共有している今春の日本人の目に、どのように見えるのでしょうか?
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