[※ 「日本だけ賃下げ」(週刊金曜日 1353号、2022年01月21日) ↑]
(2024年12月14日[土])
『アリ地獄天国』『フツーの仕事がしたい』。
木下昌明さん《わたしは土屋トカチのドキュメンタリー『アリ地獄天国』を思い出す。ここでは一人の青年が車両事故を起こして会社から弁償金を要求された。青年は個人事業主でなく、会社の従業員であるが、それでも組合がなくてはたたかえないので、1人でも入れる組合に参加して、会社に自らの主張を貫いて勝利をかちとった。このケースをみると、働くものはまず組合に入ることがいかに大切かが教えられる。それによってはじめて会社と対抗できるからだ。それでなければ、いいようにこき使われて放り出されるだけだ。個人事業主もしかり。かれは裸にされた“労働者”でしかない。よく「労働は人間を育てる」といわれるが、逆に「労働は人間をダメにする」こともあるのだ。それが個人事業主のシステムである。グローバル経済のもと、働くものはもの言えぬ奇怪な道具と化す》。
長周新聞の映画評【映像作品『Amazon配達員――送料無料の裏で』(土屋トカチ監督) PARCが完成記念上映会&DVD発売】(https://www.chosyu-journal.jp/review/33060)、《アジア太平洋資料センター(PARC)が製作した映像作品『Amazon配達員――送料無料の裏で』(土屋トカチ監督)の完成記念上映会が11月20日に東京で開かれた。この映画はクラウドファンディングで資金を集めて製作された。インターネットでモノやサービスを購入することがあたりまえになっているなか、「“ポチッ”とした商品が人々の手元に届く最後の道のりはどうなっているのか、“送料無料”の裏側で起こっている労働実態」に迫ったドキュメンタリーだ。作品上映後には、作品に登場したドライバーやアマゾン配達員弁護団の弁護士や労働ジャーナリストによるクロストークもおこなわれた》。
『●働くとは何か? 生業とは?』
『●「報われない国」の労働環境の「質」の劣化』
『●働くとは何か? 死ぬために働く……』
『●「利益率の向上」だけのために働かされる……』
『●企業の貯金250兆と「働くとは何か?」』
『●「長時間労働を前提にした企業文化」…
ニッポンの哀しい「文化」…働くとは何か? 生業とは?』
『●働くとは何か?: 「社員は「定額使い放題」へ」』
《監督の土屋トカチ氏が言う。
「一部の企業は、『労働法を守っていたら企業活動できない』と
平気で言います。『今の憲法ができる前から店やってるんだから、
そんな法律に縛られないよ』なんて開き直るケースもある。
長時間労働は日本企業なら当たり前でした。かつても同じように
法律違反をしていたのです。でも、頑張った分だけ昇給できたので
救われていた。今は、そうじゃない。働きに見合う報酬は
得られなくなっているだけに悲惨なのです」…
「離職率や研修内容、過労死を出しているかといった情報は、
ネットや過去の記事で簡単に知ることができます。アットホームを
売りにしているのも怪しい。土日集合でボランティアを強制なんて例も
あります。『年俸制』とうたいモチベーションを上げさせる企業もありますが、
新鮮な言葉には注意が必要です」》
(2013年06月14日)
『●「残業代ゼロ法案」: お零れが滴り落ちてくるどころか、
対象が下へ下へと『トリクルダウン』』
『●アベ様の「「岩盤規制に穴を開ける」「大改革」なる言葉に
もう騙されてはいけない」…何度騙されりゃぁ…』
『●竹信三恵子さん《声をあげない限りどんどんやられていく。
…ニーメラーの警告を無視してはいけない》』
「レイバーネットの土屋トカチさんの記事【ニーメラーの警告を
無視してはいけない〜「関西生コンを支援する会」結成される】」
(2019年04月30日)
『●木下昌明さん《ケン・ローチの『家族を想うとき』はすごい。
しかし、働くものにとってはやりきれなさが残るかもしれない》』
【木下昌明の映画の部屋 第261回 : ケン・ローチ監督
『家族を想うとき』 労働は人間をダメにする】
《ケン・ローチの『家族を想うとき』はすごい。しかし、
働くものにとってはやりきれなさが残るかもしれない。
では、見なければいいかというと、いや、だからこそ
見てほしいといいたい》《よく「労働は人間を育てる」
といわれるが、逆に「労働は人間をダメにする」こともある
のだ。それが個人事業主のシステムである。グローバル経済の
もと、働くものはもの言えぬ奇怪な道具と化す》
(2020年01月19日)
『●《映画批評や社会活動をしてきた》木下昌明さん…《あるところで
「映画アクティビスト」と紹介…本人はとても気に入っていました》』
(2020年12月18日)
『●《映画批評や社会活動をしてきた》「映画アクティビスト」木下昌明さん
…《資本主義は人の命を食い物にしなければ生き延びられない》』
(2021年03月03日)
『●《「殺人オリンピック」「強行派は死の商人」「バカの祭典」といった
ハッシュタグが次々と…中でもしっくりきたのが「パソナ五輪」》』
(マガジン9)【雨宮処凛がゆく! 第561回:
「普通の生活がしたい」という悲鳴。の巻】
《「普通の生活がしたいです」 最近、そんな言葉を耳にする
機会が増えた。…普通の生活。それがどんなものかと聞くと、
「普通に帰れる場所がある生活」「布団で寝れること」
「普通にご飯を食べられること」「時間を気にせずいられる家が
ある生活」「外で寝ないでいい日々」なんて答えが返ってくる。
多くが若い世代から発されている。彼ら彼女らの望む
「普通の生活」があまりにもささやかなものであることに、
いつもショックを受ける。この国では、こんなことすら実現できて
いない人たちが多くいる。「普通の生活がしたい」。そんな
あまりにささやかな願望を聞くたびに思い出す映画がある。
土屋トカチさんの『フツーの仕事がしたい』だ。…最近聞いた
言葉の中には、「週に一度でいいから普通のご飯を食べたい」
というものもあった。若者に「普通の生活がしたい」と言わせて
しまう国は、どこかが完全に終わっていると言っていい。
そんなこの国で、オリンピックが開かれようとしている》
(2021年06月29日)
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【https://www.chosyu-journal.jp/review/33060】
映像作品『Amazon配達員――送料無料の裏で』(土屋トカチ監督) PARCが完成記念上映会&DVD発売
書評・テレビ評 2024年12月12日
(2024年11月25日付掲載)
(ドキュメンタリー映像作品
『Amazon配達員:送料無料の裏で』(PARC製作))
アジア太平洋資料センター(PARC)が製作した映像作品『Amazon配達員――送料無料の裏で』(土屋トカチ監督)の完成記念上映会が11月20日に東京で開かれた。この映画はクラウドファンディングで資金を集めて製作された。インターネットでモノやサービスを購入することがあたりまえになっているなか、「“ポチッ”とした商品が人々の手元に届く最後の道のりはどうなっているのか、“送料無料”の裏側で起こっている労働実態」に迫ったドキュメンタリーだ。作品上映後には、作品に登場したドライバーやアマゾン配達員弁護団の弁護士や労働ジャーナリストによるクロストークもおこなわれた。
アマゾン配達員が労組結成
アマゾンの商品を運搬するのは、大手運送会社のほか、アマゾンが独自につくりあげた配送網で運ばれる。そこで利用者に商品を届ける最後の行程を担っているのがフリーランスで業務委託契約をする個人事業主だ。ところが個人事業主という契約を理由に、残業代や各種手当もなく、事故にあっても労災保険などが受けられない。そんななかで、あまりにも理不尽で人間扱いされない労働実態に対して、2022年に「愚痴ばかりではなく、自分たちで動いて変えよう」と横須賀と長崎で個人事業主のドライバーたちが労働組合を結成した。
横須賀市の個人事業主ドライバーは、1日1万9000円で働いている。配達員はアマゾンのAIアプリ「ラビット」が荷物の量を示し、アプリが効率的配送ルートを割り出す。フリーランスといいながら、「まるでAIが上司」になっているのだ。かつては1日100個配送だったが、アプリシステムが導入されてからは、荷物の量は260個と3倍近くに増えた。トイレに行く時間も食事をする時間もとれない。夏場などは飲料水の大量注文が増えて、2㍑のペットボトル9本が入った段ボールは、1個18㌔をこえる。それを山の上の方や階段を上って何度も運ぶのは重労働だ。「以前、30㌔の“マットレス”があり、箱にはチームリフトとあった。運ぶのに2人必要なのに、その荷物が個人事業主の軽バンに回ってくる」と実態を語る。日当は1日1万9000円というが車両代、スマホ、通信料、ガソリン、車両保険料などは自己負担だ。
別の女性配達ドライバーは、「フリーランスは経験値やスキルによって、働いた分だけお金が入るのが普通だが、私たちは日当が決まっていて時間も拘束されている。日当1万9000円からガソリン代をひくと1万4000円、それを労働時間で割ると時給は安いし、計算すると荷物1個67円で配っていた」と語っている。重量がある荷物もあるため毎日コルセットをしながら配達しているという。「毎朝、アプリを立ち上げるのが不安」というドライバーの言葉が象徴的だった。
長崎市は街の地形上、車が進入できない狭い道に家々が建ち並ぶが、飲料水などの20㌔近い商品を持って100段200段の階段をのぼらなければいけない。日当は1万4500円で、そこからガソリン代を引くと1万1000円程度で、荷物1個あたり60~70円にしかならない。
こうした労働実態を変えようと、2022年は横須賀と長崎でアマゾン配達員による組合が結成された。しかしアマゾンは、フリーランス(個人事業主)は個人で契約していることを理由に、労働者としての法的な保護をしない。そのためケガを負っても治療費や生活保障もない。だが実態は、ドライバーはアマゾンアプリ「ラビット」に配達量も決められ指揮命令下にあり、アマゾンの労働者として保護せよと要求している。
今年3月には長崎市のドライバーが不当な契約打ち切りに対しストライキも決行した。10月に建てられたデリバリーステーションでドライバーがトイレを借りようとしたら、「ドライバーへのトイレ貸出は禁止」という驚くような扱いを受けたという証言も紹介された。
2020年以降、世界中でアマゾン労働者の運動が高まっている。6年前にイタリアのアマゾン労働者がブラックフライデーに合わせてストライキをうったのを契機に、欧州各国で倉庫労働者がストライキをおこない待遇改善を求めてたたかい、全世界で妨害をはねのけながら運動が広がっている。クロストークに登壇した個人事業主の男性は、「組合を結成したのは、荷量の増加が大きい。いつも“今日何個ある?”というのがドライバー同士で話題になって愚痴ばかりをいっていたが、動いて変えようということで意見が一致した。組合の全国化をめざしてたたかっていきたい」と語った。また労働ジャーナリストの男性は、「日本でアマゾン労働者が頑張っていること、そして世界のアマゾン労働者がたたかっている動きを日本に伝えたい。力を結集しなければこの問題の多い会社に立ち向かえない」と労働者のたたかいの意義を語った。
11月29日にはアマゾンのセールイベント「ブラックフライデー」に合わせて、世界中で一斉にアマゾン労働者による国際キャンペーン「Make Amazon Pay」の行動がおこなわれた。日本でも同日、アマゾンジャパン合同会社(東京都目黒)前で配達員の労働環境の改善を求める要請行動がおこなわれた。
この作品は12月上旬にDVD化された。(購入はPARC公式サイト)
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