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Activated Sludge ブログ ~日々読学~

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●『自民党の終焉』読了(1/4)

2010年04月18日 02時32分04秒 | Weblog

自民党の終焉 ~民主党が政権をとる日~、4月に読了。森田実。角川SSC新書。2007年10月刊(第1刷)。

 参院選後の2007年9月時点での素晴らしい洞察力。小沢氏を過大に評価しているように思われるが、その後の衆院選と自民党の崩壊を見事に予測。小泉竹中 新自由主義構造改革路線の明確な否定と反戦の確かな視点を感じました。
 目次は以下の通り。
まえがき
第 1章 日本政治激動の予兆 ――政権交代の条件が整った
第 2章 「自公」から「自公VS民主」時代へ ――「二大政党制への道が開いた」
第 3章 否定された小泉構造改革路線
第 4章 小泉政治の〝興隆〟と〝破綻〟を振り返る
第 5章 小沢と安倍、どちらの訴えが国民に届いたのか
第 6章 与野党の財源論争を検証する!
第 7章 民主党・国民新党の共闘で小泉構造改革路線に決別を!
第 8章 外交なき国の外交論争 ――従米国家からの脱却
第 9章 政治をここまでダメにした世襲議員たち ――自民党長期政権の弊害
第10章 民主主義を忘れた自公時代錯誤内閣に起死回生の妙薬はない!
第11章 自公支配から脱却した参議院が本来の使命を取り戻す
第12章 民主党政権の可能性はホンモノか?
第13章 命運尽きたり! 自公連立政権
第14章 小沢民主党の「中道保守主義」を解き明かす
第15章 憲法第9条改正をめぐる政治情勢の変化
第16章 従軍慰安婦発言で歴史認識の甘さを露呈した安倍前首相
第17章 「民主党の政権を任せられるのか?」を検証す
おわりに ――2007年8月15日、戦後62年を振り返りつつ、いまを考える

 
「・・・カーティス教授は・・・。/≪第一に、有権者は、指導者としての安倍晋三首相に「NO」と言った。≫/≪第二に、有権者は、安倍首相の政策アジェンダ(課題)の優先順位に「NO」と言った。国民が関心を抱いているのは、医療問題、年金制度の健全さ、公立学校教育の向上、所得と地域間の格差である。だが、安倍首相が優先させるのは、戦後レジームの脱却、愛国教育、憲法改正、そして美しい国づくりだ。・・・国民に一番身近な課題に具体策を示さないばかりか、大きな関心さえ示さなかったことへの「NO」であった。≫/・・・/7月29日の参議院議員選挙において有権者は安倍政権を不信任したのである。不信任された首相が・・・具体的な反省点を示さないまま首相の座に固執しつづける姿は異常であった」(pp.15-16)。
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●『自民党の終焉』読了(2/4)

2010年04月18日 02時29分58秒 | Weblog

森田実、『自民党の終焉 ~民主党が政権をとる日~

 小泉政権による生活の破壊。彼らの唱える「痛み」は弱者のみへ。「小泉構造改革が推進した市場原理を最大限尊重する政策、自由競争主義、過度の規制緩和政策により、強者はますます強くなる半面、弱者は切り捨てられた。労働法制は経営者と株主(資本家)優位に変更された。正規雇用者は減らされた。かわって低賃金の派遣社員とフリーターが増加した。ワーキングプア(働いても働いても食えない層)が増大した。/小泉構造改革はごく少数の強者に利益をもたらした半面、大多数の国民を貧困化させた。小泉構造改革によって日本の総中流社会は解体され、格差と差別を一層拡大する社会構造に改変された。少数の強者・富者はますます強く、豊かになる半面で、大多数の国民は富も生活の安定も失った。そして、ついに希望すらも奪われた。」(p.31)。
 小泉政治のデタラメさ。「・・・「改革や成長の名のもとに強者だけが生き残り、弱者と地方が切り捨てられる」政治(これこそが小泉政治)を厳しく批判した。/小泉元首相は、5年5カ月間「自由競争と自己責任」の生き方を国民に向かって繰り返し説いた。・・・「自己責任」とは、自己責任では生きることができなくなった弱者に向かって、「どんなみじめな状況になろうと、政府を頼りにするな」というに等しい冷酷な響きを持った言葉だった。/自称「負け組」の一人は、「・・・私には自殺しろと言われているように思える」と語っていた。まことに小泉元首相の政治は冷酷な非人道的政治だったのである。安倍前首相はこの小泉政治の最大の協力者だった。安倍氏は首相としてこの小泉政治を継承した」(p.37)。「5年5カ月の小泉政治によって、日本社会は荒廃した。貧困になった。地域社会は荒れ果てた。再建するには、小泉政治が破壊した期間の2倍の時間が必要であろう。/小泉政権という一種の「化け物内閣」を作った代償は深刻である。小泉政権づくりに加担した政治家、官僚、財界、マスコミ、学界、宗教団体指導者は、責任を取らねばならない」(p.42)。

 石川真澄さんの造語。戦後日本の保守と革新の比率について「1と2分の1体制」。

 小泉政権の「詐欺的政治」、それを支持するマスコミの大罪。「小泉政権は、特にマスコミを全面的に影響下におくことに成功した。日本マスコミは政治権力と癒着し、権力の一部と化した。マスコミは連日、小泉首相と小泉構造改革を称賛した。・・・「不偏不党」の原則をかなぐり捨てて、報道から小泉批判者を一掃し、小泉首相を稀代の英雄に仕立てるための報道を行った。/・・・マスコミファシズムというべきものだった。・・・権力一体化したマスコミの暴走ほどおそろしいものはない」(p.44)。
 「第 4章 小泉政治の〝興隆〟と〝破綻〟を振り返る」は小泉政治に対するまことに的確な批判となっていて、この章だけでも一読の価値がある。

 農業の破壊。「・・・スターリンによるコルホーズ(農業集団化)にたとえられるような非人道的政策であると私にはみえる。日本政府は21世紀の今日、このような非人道的農業政策をとろうとしているのである。/・・・日本農業のなんたるかを知らない愚劣な輩である」(p.63)。

 「2001年に小泉政権が登場して以来、政府は一貫して緊縮財政をつづけてきた。この財政政策で、国の借金は減らなかった。逆に増大した。失敗したのである。/・・・怠慢の謗りを免れることはできない。/・・・財政再建のためには、多くの犠牲をも辞さないとの態度をもって取り組んできた。だが、結果はどうか。財政状況は2001年度よりもさらに悪化している。・・・国民を犠牲にし、大多数の国民を貧困化したが、財政赤字を増やしてしまったのだ。/・・・小泉・安倍政権の財政再建が失敗したということである。しかも尋常な失敗ではない大失敗したのだ。・・・/政府、財務省は、何もしていない。明らかな失敗すらも認めていない。検討すらもしようとしていない。あまりにも鈍感であり、無責任である。猛者を求める。/・・・財政はさらに悪化し、国民生活は貧困化し、大多数の中小零細企業の経営の危機はさらに深刻化した。/国民生活を破壊して、財政だけが健全化するなどということはありうることではない。森全体を枯らして、財政という一本の木だけを成長させるなどということはできることではないのだ。小泉政権と財務省は信じられないほどの大きな過ちを犯した」(pp.70-73)。

 「民主党は小泉批判を徹底すべきである」。「・・・数え上げればきりがないほどの国民生活の劣悪化・悲惨化は、小泉構造改革という政府の暴挙、暴走によって生み出されたものである。・・・/・・・小泉首相を支える役割をはたしたのが、民主党内の構造改革派だった。/小泉首相は民主党内の構造改革はを徹底的に利用して自民党内の抵抗勢力を孤立化させることに成功し、郵政民営化解散・総選挙の際に、抵抗勢力を追放した。このあと、小泉首相にとって役割を終えた民主党内の構造改革派使い捨てられた。民主党内の構造改革派は小泉首相によって弄ばれた上で切られたのである。・・・民主党・・・。愚かものにつける薬はないのかもしれない。/・・・民主党内の構造改革派の中にはブッシュ米大統領の戦争と弱肉強食主義政治の支持者が少なくない。安倍首相のタカ派的政治路線の共鳴者もいる。これら民主党内のブッシュ・小泉・安倍政治の同調者は、小沢体制成立後、分裂策動を繰り返してきた。民主党全体が反小泉路線をとることにブレーキをかけ続けてきた。/・・・民主党以上に、明確に徹底的に小泉構造改革を批判した政党と政治家がいた。/・・・亀井氏の小泉構造改革に対する激しい怒りが伝わってくる」(pp.74-76)。
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●『自民党の終焉』読了(3/4)

2010年04月18日 02時28分02秒 | Weblog

森田実、『自民党の終焉 ~民主党が政権をとる日~

 アジアとの関係の悪化。「小泉首相は靖国神社への参拝を繰り返し、中国韓国両国民の神経を逆なでした。小泉首相のやり方は挑発的だった。これに対して小泉首相は、状況をあたかも楽しむがごとく、不真面目な態度をとりつづけた。この結果、日本はアジアで孤立状況に追い込まれた。/・・・日本のマスコミは支持した。マスコミの驚くべき頽廃である。政府もマスコミも「まとも」な感覚を失っていた」(p.83)。

 傲慢になり、不真面目になった政治家たち。「第1は、・・・謙虚だった。もちろん吉田茂岸信介のように傲慢で権力をふりかざす政治家もいたが、多くの政治家は一般国民に対して謙虚だった。・・・/第2は、ものの見方が変わった。・・・/第3は、人間の社会や人生に対する態度において不真面目な人間が増えてきた。小泉純一郎元首相や麻生太郎元外相に、精神の不真面目さを私は感じている。・・・「強気にゴマをすり、弱きを見捨てる」タイプの軽薄な政治家ばかりが目立つようになった。/第4は、エゴイストの増加である。・・・」(pp.91-93)。

 はぐらかしと秘密主義・隠蔽。「郵政民営化をめぐる国会議論の中で、何人かの議員が「年次改革要望書の存在について小泉首相竹中平蔵郵政担当相に質問したが、二人は質問者をはぐらかし、無関係なことを答弁し、質問に真面目に正面から答えようとしなかった。2人はとぼけつづけたのである。小泉首相と竹中郵政担当相は、郵政民営化が米国政府の長年にわたる強い要求であるという事実を隠し続けた、/・・・大マスコミは小泉政権と一体化していた。マスコミ自信が情報隠しに協力するのは異常である。マスコミは戦時中と同じことをしたのだ。マスコミの自殺行為であった。/国民は、・・・知らないまま、2005年9月の総選挙において、・・・。米国保険業界の日本への進出の狙いがあることも知らないまま、・・・。大多数の国民は郵政民営化の本質を知らないまま郵政民営化に賛成した」(pp.122-123)。

 愚かな政治家。「・・・前原誠司前代表のように、安倍自公連立政権のエピゴーネンで、テレビ局、テレビ番組からおだてられた、・・・安倍自公連立政権を喜ばせた愚かな政治家もいた。だが、前原氏は孤立した。」(p.131)。

 日米関係と自民党の二つの政治路線。「一つは保守中道路線と云うべきもので、外交政策においては国連中心主義をとりつつ米国とも中国、韓国などアジア諸国とも友好関係を維持し、国内政策においては国民生活を重視し、・・・。・・・石橋湛山、池田隼人、田中角栄三木武夫、大平正芳、鈴木善幸、宮沢喜一、・・・細川護煕、村山富市らであった。/もう一つは、・・・従米路線である。・・・岸信介中曽根康弘小泉純一郎であった。安倍晋三もこの路線の政治家である。/・・・両者の中間路線である。・・・佐藤栄作、福田赳夫、海部俊樹、橋本龍太郎らであった」(pp.134-135)。
 ミルトン・フリードマン学派と宗教政治。「小泉・安倍政治は「アメリカのブッシュ主義」という一種のイデオロギーを重視する政治である。小泉構造改革の経済理論は新古典主義であり、フリードマン理論・・・であった。・・・。/小泉・安倍両政権が忠誠をつくしたブッシュ米国大統領が行ってきた政治は本質的には宗教政治であった。ブッシュ政権は、大統領が信ずるキリスト教原理主義の理念に従ってというより、神の予言を聞いたように感じてアフガン戦争イラク戦争を行った。・・・米国のフリードマンに引き継がれてきた特殊な経済理論である。・・・というより強者のためのイデオロギーとでもいってよいものである。/・・・アメリカ政府崇拝イデオロギーに基づく政治だった。安倍政治は初めに憲法改正ありきであり、また、教育基本法改正ありきであった。これも右翼主義に立つ一種のイデオロギー政治である」(pp.145-146)。
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●『自民党の終焉』読了(4/4)

2010年04月18日 02時25分10秒 | Weblog


森田実、『自民党の終焉 ~民主党が政権をとる日~

 保守主義とは何か。中島岳志氏(p.149)。

 憲法改正への右傾化。「憲法改正を自民党が強く宣伝し始めたのは中曽根康弘氏が首相に就任した1982年以降である。・・・。/・・・右翼的マスコミであった。・・・憲法改正を報道機関としての方針とする新聞社まで現れ、護憲を非難し、改憲を煽るようになった。・・・。/・・・小泉首相は・・・あたかも中国韓国を挑発するかのように行動した。・・・北朝鮮政権と対立が激化する中で、日本国民は右傾化し、世論は憲法改正論とくに第9条改正論に傾いた。」(pp.156-157)。とんでもなく危険な時代。ホニャララ党(ⓒきっこ氏)の矛盾(p.160)。

 「歴史認識が甘すぎる安倍前首相の発言が招いた危機」(pp.165-167)。「歴史を見直そうとする一部の右翼思想家たちの活動に政治家は加わるべきではない。・・・思い上がりである。・・・愚か過ぎいるほど愚かで軽率な行為だった。・・・。/・・・河野談話を否定する運動が起きた。・・・安倍晋三氏はこの運動の中心にいた。/「従軍慰安婦は歴史的事実に反する」という者がいたら、その人は戦争のことをほとんど知らない人である。そうでなければ異常な人である。・・・無神経な話はとうていできないであろう。具体的な政府文書があるかないかは、どうでもよい問題である」。
 
歴史認識について、「たとえば安倍応援団の一つとみられている読売新聞は、・・・。・・・まことに愚かである。過ちを重ねている」(p.170)。

 森田実さんの「敗戦で決意した不戦への思い」(pp.186-187)。「・・・。/これが私のこの62年間の思想と行動の原点である。・・・戦争は絶対にしてはいけない政府に戦争をさせてはいけない。国民を不幸にするような政治は変えなくてはいけない。すべての母親に悲しい思いをさせてはならない、政治は国民を幸せにするためにある――この思いを胸にこの62年間生きてきた」。『害悪老人』や『老害人』、『迷惑千万の老害政党』と何という違いか!!


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●『「押し紙」という新聞のタブー』読了(1/2)

2010年04月17日 02時40分52秒 | Weblog

「押し紙」という新聞のタブー/販売店に押し込まれた配達されない新聞』、4月に読了。黒藪哲哉著。宝島社新書。2009年10月刊(第1刷)。

 新聞販売店に搬入されている少なからぬ割合の新聞が読みもされずに廃棄されている。3割から4割、驚くべきことに、7割という例もあると云う。「押し紙」である。なぜか? 単純に言うと、広告費を稼ぐためである。「押し紙」とは「販売店にノルマとして押し売りされる新聞」(p.4)であり、ウィキペディア英語版には「・・・(They call it “Oshigami”)」とあるそう。これは発行部数ギネスの読売だけでなく、朝日毎日、はてはブロック紙・地方紙まで。
 「・・・新聞ジャーナリズムは、プロパガンダの道具にまで衰退したのだろうか。・・・と各記者個人の職能を問題にする傾向が見受けられる。・・・いわゆる精神論だ。/私は、このような考え方には賛成できない。・・・/メディアをコントロールする鍵は、経営部門への介入にほかならない。・・・/本書は、新聞ジャーナリズムの衰退を、部数至上主義の功罪という観点から検証したルポルタージュである」(pp.6-7)。

 読売による黒藪さんへのSLAPP。自分が書いてもいない文章で著作権侵害を訴えた総額2230万円の高額訴訟による恫喝。「言論ではなく、裁判による個人攻撃」(p.21)。言論封殺、「言論を封じるのが読売の方針なのか!?」(p.121)。「押し紙」問題に敏感な他社も暴走。「「『押し紙』報道憎し」という感情が、朝日では念書に化け、読売では裁判の多発を誘発し、毎日では「自称フリーライター」呼ばわりとなって表面化したのだ」(p.22)。

 ビジネスモデル。「「押し紙」政策は、新聞社のビジネスモデルの柱である。・・・新聞社は、販売店に「押し紙」を買い取らせることで過剰な販売収入を得る。・・・必然的に新聞のABC部数(公表部数)をかさ上げする。その結果、紙面広告の媒体価値が高まり、広告収入が増える」(p.32)。過剰な押し紙は販売店の負担が膨らむのでは? 「第一に、新聞社が販売店に補助金を支給して、「押し紙」の負担を軽減する方法がある。/さらに第二の方法として、販売店に折り込みチラシを水増しさせ、それによって得た水増し収入で、「押し紙」の損害を相殺させる方法である」(p.32)。馬鹿を見ているのはだれか? 広告主。「もちろん広告主は、このような裏事情を知らない。発注したチラシは、全て配布されているものと勘違いしている」(p.32)。「チラシ詐欺」(p.89)である。なんと「税金で制作され配布される広告紙が、「押し紙」と一緒に捨てられていたのだ」(p.92)、「公共チラシ詐欺」(p.102)。「昨今始まったことではなく、新聞業界の慣行として昔から行われてきたのである」(p.93)。
 出版不況、ネットの普及など新聞にも氷河時代が到来。しかし、「・・・新聞の部数はあまり減らなかった。かえって搬入部数を増やした新聞社もある。その結果、日本中に押し紙が溢れるようになったのである」(p.34)!!
 「新聞社のようにジャーナリズムを看板にした企業でも、ビジネスが優先されているのが現実だ。/・・・/「押し紙」制度を廃止すれば、ビジネスモデルそのものが成り立たなくなるので、新聞社は一方で「押し紙」を強制し、もう一方では「押し紙」をしていないという法的根拠を準備しているのである」(pp.110-111)。
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●『「押し紙」という新聞のタブー』読了(2/2)

2010年04月17日 02時36分51秒 | Weblog


黒藪哲哉著、『「押し紙」という新聞のタブー/販売店に押し込まれた配達されない新聞』

 生々しい数字・実態、産経の「押し紙」。「・・・実配部数は3000部程度だった。約2000部が過剰になっていたのだ。/・・・小屋を建てて新聞を補完するように命じられ・・・。/・・・古紙回収業者に引き取ってもらっていた。・・・/たとえば、01年8月の回収は9回、約27トンの「押し紙」を回収している」(p.73)。

 業界団体が主催する総会に出席してみると・・・「大浴場・・・裸の男たちの群れに、入れ墨をした者が複数混じっていたのだ。/・・・温泉総会を取材するたびに、浴場で入れ墨をした人々を目撃した。・・・顔を強ばらせ、「立派な入れ墨ですね」とお世辞を言っているのを聞いたこともある。/・・・欧米では、新聞人がマフィアと交友を結ぶことはありえない。・・・原則的には一線を画さなくてはいけないが。日本の新聞社では両者の関係が違和感なく受け入れられている。「新聞はインテリが作って、ヤクザが売る」という一句で、すべてが片付くのだ」(pp.144-145)。

 ナベツネ氏の下品さ。「読売――〝1000万部〟をバックに総理を動かす!?」(pp.142-143)。「・・・一千万部の力で総理を動かせる。・・・政党勢力だって、自自連立だって思うままだし、・・・。/・・・魚住昭氏が『渡邉恒雄 メディアと権力』・・・渡邉氏に対して行ったインタビュー・・・。/渡邉氏の発言内容は、文化人の言葉というよりも、野心を内に秘めた政治家の言葉に近い。そこには本来新聞人が持つべき文化や知性の香りは、どこにも感じられない。ある種の下品さすら漂う」。
 
この下品なナベツネ氏は、日販協政治連盟の設立にも関わり(p.192)。「新聞業界と政治家との癒着には、政治家と番記者の情交、あるいは記者クラブを通じた馴れ合いのイメージがつきまとう。実際、元政治記者で2008年に保守の大連立構想をめぐって政界工作を行った読売新聞社の渡邉恒雄会長・・・自民党の大物政治家・大野伴睦と接するときの心境・・・。それは政治家と番記者の情交が、いかに権力を監視すべきジャーナリズムを骨抜きにするかを物語っている」(p.163)。「記者クラブは、〝談合〟の場か?」(p.174)。「・・・真実とは異なった情報が日本中に広がるおそれがある。・・・/念を押すまでもなく、新聞社にとって公権力からの最大の情報の受け皿となるのは記者クラブである。/・・・情報提供者の希望する情報だけが、新聞を通じて広がることになる。・・・記者クラブが提供する情報によって、世論が形成されていくと言っても過言ではない」。
 元社長が別の意味でね。「・・・暴力をともなった拡販活動を警察が積極的に取り締まらない背景には、新聞社との癒着があるのかもしれない。・・・読売の場合、社内に読売防犯協力会という組織が設置されていて、多数の警察OBが参与になっている。警視庁OBの天下りも指摘されており、読売の元社長・正力松太郎氏も戦前の特高警察の出身である」(p.150)。検閲の手間を省くために1000紙以上の新聞社を50数社に削減することで「・・・新聞を通じて大本営発表をそのまま報じさせる体制を整えたのだ。それが日本を不幸に陥れたことは、歴史が証明している。/・・・戦前は国家権力によるメディアに対する強制があったが、戦後はそれがなくなった。とすれば、公権力は別の方法で、マスメディアをコントロールしていかなければならない。・・・/・・・『原発・正力・CIA』(新潮新書)の中で、読売の元社長・正力松太郎氏が、新聞を通じて親米世論を盛り上げるためにCIAの操作されていた事実・・・を明らかにしている。正力氏の暗号名は「ポダム」だったという」(p.170-171)。

 新聞奨学生の悲劇。「・・・便利屋のような存在だ。・・・どんなに過酷な労働を課しても夜逃げするわけにはいかない。/・・・タコ部屋同然の部屋だったという」(p.155)。

 無理・強引な拡販がもたらす悲劇。悪循環。「部数至上主義の旗の下で、新聞人はジャーナリズム活動を支えるための強い経営基盤を打ち立てるはずだった。そのためには、販売店の切り捨てもはばからなかった。拡販部隊としてのアウトサイダーの受け入れも、「必要悪」の論理の下で容認した。/しかし、肝心のジャーナリズムの灯は消滅した。後に残ったのは新聞乱売と人間疎外の索漠とした荒野だった。それが新聞離れに拍車を掛けて、新聞社を崩壊の危機へと追い込んでいるのではないだろうか」(pp.159-160)。

 「日販協と新聞族議員の〝絆〟」(p.186)。中川秀直、小泉進次郎小池百合子与謝野馨。「・・・新聞販売懇話会は多数の有力政治家を「輩出」している。・・・塩川正十郎、小沢一郎、森山真弓、小渕恵三、与謝野馨、石原慎太郎、・・・島村宜伸、小泉純一郎、河野洋平、森喜朗、羽田孜、谷垣禎一、加藤六月、西岡武夫、・・・。・・・山本一太・・・。いわば政界の頂点と日販協が太いパイプでつながった時期もあったのだ」(pp.187-188)。中川秀直センセへの恩返し(p.191)や、山本一太センセへ800万円もの政治資金のばら撒きが(p.191)。衝撃的です。「政治献金によって政策が左右されるシステムが、民主主義であるはずがない」(p.193)。「・・・新聞業はジャーナリズムの看板を掲げているのだから、道義上の問題は免れない。それに、仮に献金の目的が再販制度などの既得権の防衛にあるとすれば、金で政策を買ったことにもなる」(p.196)。四大悪法との関わりが焙り出されてくる。「四大悪法の成立と引き替えに・・・・・・」、「再販問題の弱みを握られたことで、新聞社は政界の監視というジャーナリズムの役割を果し辛くなり、結果として政権党の国会運営を助けた可能性はないだろうか。/・・・辺見庸氏が提起した「1999年問題」という表現を思い出す。/・・・周辺事態法、盗聴法、国旗・国歌法、改正住民基本台帳法など矢継ぎ早に通過している。・・・高橋哲哉教授との対談・・・「新しい『ペン』部隊」とは、マスメディアのことである。/・・・新ペン部隊が陰に陽に展開し、百十本というおびただしい法律を矢継ぎ早に成立させるのを大いに助けた。わけても、前述の四大悪法を通す後押しをした」(pp.208-209)。

 キッタナイ政治家どものキッタネエ手での「・・・改憲に向けた動きと考えて間違いない。/・・・背景には、企業のグローバリゼーションの影響・・・、太平洋戦争の犠牲者の上に成り立っている憲法の「改正」には、慎重にも慎重を重ねなければならない。当然、ジャーナリズムの役割は重要になってくる。・・・/・・・ところがそれを議論するための公平な土壌があるのか、はなはだ疑問が残る。新聞社が自らの権益を守るため、政界との癒着を強めているからだ。」(pp.214-215)。

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●「憲政史上初となる珍事」: 〝日本〟vs〝日本〟

2010年04月16日 05時06分02秒 | Weblog


gendai.netに以下の記事が出ていました。相変わらず辛辣です。
 党名に相応しい田母神空幕長の参院選出馬」は、平沼代表にぜひ頑張ってもらって、実現してほしいものです。やはり「目玉候補」でしょう! 「新銀行東京の問題や五輪招致敗戦処理」を都知事にはきっちり実行してもらってから、将来、都知事にも是非もう一人の「目玉候補」になってもらいたいですね。今の若いやつはみんな腰抜け」とまで仰ったんですから、風向きが悪いとみるや、「いじめられている老人」をまさかさっさと見捨てたりなんかされないでしょうしね。
 この際、大阪府知事宮崎県知事による芸能人3人による舛添新党も、略称が〝日本〟になるように大作家先生命名してもらってはどうでしょうか。みんなの党の票も「泥棒」できるように「みんなの日本」でどうでしょうか? そんなに年寄りをいじめない方がいい」ですが、ついでなんで、「みんなでたちあがる日本」?? 大作家先生とは和解されて命名をお願いしつつ、ヤルヤル詐欺とまで揶揄されていることですから、是非、舛添新党を実現してほしいです。あ~、自民党を〝離党〟した無所属がウリの千葉県知事の芸能人を忘れてました。誘ってあげてください、舛添新党に。それから、「どげんかせんといかん」も党名に入れないといけないですね。「どげんかせんといかんのでみんなでたちあがる日本。」でどう?

=======================================
【http://gendai.net/articles/view/
                         
syakai/122833】
総務省が頭を抱える「たちあがれ日本」の呆れた非常識
                         
2010年04月14日掲載

夏の参院選で「新党日本」の票を強奪!?

 人間は年を取るとわがままになるものだ。周りが迷惑顔でも知らんぷり。批判されると「何が悪い」と開き直る。その上、「国を憂えている」なんてエラソーに言われると、ちゃぶ台をひっくり返したくなる。
 新党「たちあがれ日本」が、参院選で使う略称を「日本」と決めた。「新党日本」(田中康夫代表)が、これまで衆院選や参院選で使っていた略称だ。

  「選挙を管理する総務省は頭を抱えています。表向きは『公職選挙法上は問題な
   い』とコメントしているが、略称とはいえ、同じ名前の政党が2つ存在するのは
   憲政史上初となる珍事。新党日本の田中代表サイドに説明に出向くなど対応に追
   われています」(事情通)

「日本」票が両党で案分となれば、2度の国政選挙で略称が有権者に浸透している「新党日本」の不利は明らかだ。一般社会では、こんなはた迷惑は許されない。

  「不正競争防止法は、有名な屋号や称号を不当に使ってはいけないと定めていま
   す。たちあがれ日本の行為は、有名ブランドのシャネルを使用したラブホテ
   ルやスナックと同じ。大甘の政治の世界では許されても、事業会社ならアウトで
   す」(法曹関係者)

 永田町の常識は社会の非常識。比例復活の身分で自民党を離党した与謝野馨元財務相は「平成の票泥棒」といわれるが、政党としても「新党日本」の票を盗もうというのだからふてぶてしい。
 総務省だけではない。東京都も困っている。石原都知事が都政そっちのけで新党に入れ込むものだから、片が付いていない新銀行東京の問題や五輪招致の敗戦処理がグダグダになりそうなのだ。
 読売新聞の世論調査によると、たちあがれ日本に「期待する」はわずか18%。「期待しない」は76%に上った。国民は迷惑千万の老害政党にヘキエキしている。それが分からない人たちに、どんな政治ができるのか。
 平沼代表は、13日のテレビ番組で、ウワサされた田母神元空幕長の参院選出馬を否定した。代わりにどんな目玉候補を担ぎ出すつもりか知らないが、誰を擁立しても結果は知れている
=======================================

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●三十数年前の映画 ~『密約 ―外務省機密漏洩事件―』

2010年04月15日 04時24分38秒 | Weblog

AMLに代わるCMLの記事「CML 003646]映画 『密約―外務省機密漏洩事件』」(http://list.jca.apc.org/public/cml/2010-April/003583.html)で、この三十数年前の映画が緊急上映されていることを知りました。
 WPは、
        http://www.mitsuyaku.jp/
です。
 原作は澤地久枝さん(岩波現代文庫)で、まだ読んでいませんが、偶然に数ヶ月前に書店で見かけて購入した記憶があります。上記WPの「レビュー」の頁に、澤地さんの『怒りと悲しみ』という、一読の価値のある文章があります。

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【http://www.mitsuyaku.jp/review.html】

 ・・・。『密約外務省機密漏洩事件』という1冊の本に、わたしは日本の民主主義の悲しい貧困、不毛の精神土壌への怒りをこめました。責任を問われ、裁かれるべきであったのは、沖縄返還交渉において米国政府と密約を結び、国会においても欺瞞に終始した佐藤栄作内閣と外務省首脳であったはずです。しかし、検察側の起訴状に「ひそかに情を通じ」「しつように申し迫ったうえ」云々と書かれた新聞記者と女性事務官の個人的問題にすりかえられ、「密約」はついに不問に付されたまま現在にいたっています。
 
すりかえを許したわたしたちの側の弱さに、わたしは歯がみする思いでした。恋愛も不倫も、個人的な問題に過ぎません。国民を欺いた政治家の責任の大きさと重さとは比較のしようもない「情通問題」の目つぶしが効果的であった日本の社会。・・・。
 最高裁西山記者を有罪とした控訴審(第一審では無罪)を支援し、上告棄却としましたが、それでも取材の自由は原則的に認める判断を示しています。しかし、ますます強固になる国家機密の壁によって、ジャーナリストの仕事は、10年前に比べてさらに困難なものになったという実感があります。この上さらに国家機密法を制定しようという動きが執拗にくりかえされ、有権者はその良識と知性、権利意識を試されている現状ではないでしょうか。
 
わたしはこの16年間に28冊の本を書き、かつての陸軍および海軍が極秘資料として封印し、闇に消し去った歴史事実をさぐる仕事に出会いました。その結果わたしに投げつけられた非難は、「アカ」よばわりであり、左翼作家とも書かれました。
 
・・・。西山・蓮見両氏が身柄を拘束されたあと、昭和46414日の「毎日新聞」夕刊に、大島渚氏が書いています。
 
言論の自由というような抽象的な問題に立戻ってはいけない。佐藤首相の人間的反応にふりまわされてはいけない。問題は、あくまで佐藤内閣が私たちに何をしたかだ。知る権利などというのは自明のことだ。極秘資料のスッパ抜きに次ぐスッパ抜きを! 今こそ日本中を、スッパ抜きした極秘資料でもってあふれかえさせること。・・・」
 
・・・大島さんは・・・。事態の本質を適確に見抜いています。
 
朝日新聞支局襲撃、記者の殺傷という事件に象徴されるように、政治が右旋回するときに標的となるのは言論」です。半歩でも後退すれば、テロリストたちの意図は達成されます。
 
問題の本質はなんであるのか、確認し直視しつづける姿勢をいまほど求められていることがあったろうかと思います。そのよきテキストとしての映画「密約」を一人でも多くの人々に見ていただきたいと思います。
 
西山記者の弁護団中最年少であり、ドラマ化にあたって献身的な補佐をしてくださった西垣道夫弁護士が若くしてガンで斃れた悲しみをかさねて、生きている人間のなすべきことを熱い思いで考えています。
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●メール署名: 「沖縄の民意に応えてください」

2010年04月14日 04時43分37秒 | Weblog


先週末、賛同のメール署名をしました。AMLに代わるCMLに出ていた記事です。

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【http://list.jca.apc.org/public/cml/
               
2010-April/003559.html】

[CML 003622] 署名受け付けの期限延長【緊急署名・沖縄の民意に応えてください】メールでの署名の呼びかけ
・・・
               
2010年4月8日(木) 14:59:15JST
【転送・転載大歓迎】
・・・・・・。
鳩山首相への要請事項
 1.今こそ、沖縄の民意を最優先してください。
 2.名護市辺野古への「移設計画」を断念してください。
 3.普天間基地の無条件返還を実現してください。
要請の趣旨
 
沖縄の悲願は、一貫して「基地のない平和な島」の実現です。
 1995年9月、沖縄で起きた米兵によるレイプ事件に対する島ぐるみの怒りに直面して、日米両政府は96年4月、普天間飛行場の「返還」を合意しました。しかしそれは、沖縄本島東海岸沖に代替基地(海上施設)を新設することでした(同年12月、SACO最終報告)。96年9月の沖縄県民投票では、89%が「基地の整理・縮小」を求める意思を明確に示しました。さらに97年12月の名護市民投票では、過半数が「辺野古への海上ヘリ基地建設NO!」を表明しました。
 しかし、自民党政権は、沖縄の頭越しに辺野古への基地建設を強行しようと、莫大な経済振興資金をもって沖縄の人々を懐柔しようとしました。それに対し2008年7月、沖縄県議会は「辺野古への新基地建設に反対する」意見書を採択、日本政府、米政府、沖縄県知事に突きつけました。09年8月の衆院選では、沖縄県の選挙区・比例区で自民党・公明党が全敗し、今年1月24日の名護市長選挙では「辺野古・大浦湾の美しい海に新たな基地は造らせない」と主張した稲嶺進候補が当選しました。
 数々の世論調査でも、沖縄の世論は一貫して「普天間の県外・国外移設」が多数を示してきました。沖縄の民意が「基地の新設」にも「県内移設」にも絶対反対であることは、今や誰の目にも明らかです。
 私たちは、鳩山政権が「沖縄の民意」を正面から受け止め、実現すべきことを、鳩山首相に対して強く要請します。     辺野古への基地建設を許さない実行委員会

【メール送信による署名の方法】
署名は個人・団体(グループ)を問いません。
  署名していただける方は、氏名と住所をお知らせ下さい。
  団体(グループ)署名の場合は事務所の所在地ないし連絡先を記して下さい。

 署名の連絡先は次の通りです。
   
henoko.no-hutenma.out at mbn.nifty.com
・・・・・・。
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●裁判員制度: 被告にとっても憲法違反

2010年04月13日 02時44分35秒 | Weblog

裁判員制度の現場からの声に関する記事を見つけました。被害者や警察からだけではなく今度は被告からの不満です。被告は黙っていろ、というのなら何をか言わんやである。それだけが理由ではありませんが、数々の冤罪事件を見ていてもそう言えるのならば。
 
被告にとっても憲法違反である視点が必要です。
 「審理を尽くさず、審理時間の短縮こそが目的」である公判前に争点を絞るやり方」(公判前整理手続きの問題点も指摘されています。また、「人が人を裁く責任」という指摘ですが、これは訓練を受けた職業裁判官が負うべきもので、たとえ冤罪でなくても「死刑判決」を支持した責任を負わされたのではたまりません。ブログ主は断じてこんな制度(はいくらでもあります)に参加しませんし、こんな理不尽な制度は即刻中止すべきだと思います。評決で、自身がたとえ死刑を支持しなかったとしても、トラウマを抱えさせられるのは御免です。

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【http://www.asahi.com/national/update/
         
0402/SEB201004010044_01.html】

裁判員裁判の被告「審理尽くされたか疑問」 記者に手紙1/2ページ)
                     2010年4月12日10時39分

 
佐賀県唐津市の養鶏場で2009年7月に起きた殺人事件で、強盗殺人罪に問われ、佐賀地裁の裁判員裁判で求刑通り無期懲役の判決を受けた住所不定、元養鶏場従業員の・・・被告(45)=福岡高裁に控訴=が、面会や手紙で朝日新聞の取材に応じた。裁判員が公判後の会見で「評議時間が短かった」と発言したことに、「審理を尽くさず、審理時間の短縮こそが目的なら残念」との考えを示した。裁判員と被告という違う立場の両者から、審理のあり方への疑問が出た格好となった。
 一審では殺人は認め、罪名の「強盗殺人」ではなく、「殺人」と「窃盗」と主張したものの、判決では退けられた。だが、裁判を終えた小野被告には、「審理は尽くされたのか」との疑問がぬぐえない。複数の裁判員から公判後の会見で、「評議の時間がもう少し長かったら良かった」「評議の間、考える時間が短いと感じた」などと発言があったことに、「審理が不十分で疑問点が未解決なのに、審理時間の短縮こそが目的であったのなら、残念と言わざるを得ない」と手紙につづった。
 公判では、被告側が争った罪名について、裁判員から直接の質問があったのは1回だけ。会見で裁判員が、「証言を聞いてすぐの質問では頭が回らなかった」「休憩を挟めば、質問できたかもしれない」と発言したことに、小野被告は「納得がいく審理ができないと感じたのなら、途中でも裁判員を辞退すべきで、そのために補充裁判員がいるのではないか」と疑問を示した。
 「裁判員は国民の義務との意見があるみたいだが、人が人を裁く責任も生じている。時間的、精神的問題で不十分と感じるなら、判決を下すことは必ずしも義務ではない。責任を放棄しては義務を果たしたことにはならない」とした。
 ・・・
被告は、審理日程の短縮を目的に、裁判員裁判の導入を機に始まった、公判前に争点を絞るやり方にも不満を持ったという。「(養鶏場であった別の盗難事件について)異常な状態が事件の背景にあったことなど被害者が不利になる事柄まで、公判前整理手続きの名の下に除外されたという見方もできる。今までの裁判ではあり得なかったことではないか」との感想を話した。また、「プロの資質を備えた裁判官のみに裁かれたかったという思いはあります」とも語った。
 一方、控訴した理由には、そうした裁判員制度への不満はなく、遺族への反省の気持ちがあることを前提に、あくまで「(強盗殺人は成立しないという)主張が認められなかったから」としている。(小川直樹)
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●裁判員制度を即刻中止に

2010年04月12日 04時35分33秒 | Weblog


被害者にとっても、警察にとっても、裁判員制度が如何に大変な問題を含んでいるかを示す記事何故刑事裁判に裁判員制度を導入するのか、しかも死刑判決を出さねばならないような重罪犯罪について。こんな欠陥だらけの裁判員制度など要らない。導入に至る道筋においても、最高裁マスコミ癒着など、問題山積であったし、そもそも憲法違反。政権が変わったのだから、これこそ〝仕分け〟し、即刻中止を。

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【http://www.asahi.com/national/update/
             
0409/SEB201004090003.html】

裁判員裁判を被害者が懸念、強姦致傷容疑での立件見送る
                         
2010年4月9日12時2分

 大分市内の20代女性が性的暴行を受けてけがをした事件があり、捜査した大分県警が、被害者の意向をくんで裁判員裁判の対象となる強姦(ごうかん)致傷容疑での立件を見送り、強姦容疑で男を逮捕、送検していたことが9日、捜査関係者への取材でわかった。女性は当初、厳罰を望んでいたが、強姦致傷罪が裁判員裁判の対象と知り、「人前にさらされたくはない」と県警に不安を訴えていたという。
 性犯罪を巡っては裁判員裁判が導入される前から、被害者のプライバシーをどうやって守り、配慮するかが課題となっていた。今回は被害者の裁判員裁判に対する懸念が立件内容に影響を与えた。
 県警によると、・・・性的暴行を受けた。その際、女性は、ひじやひざにけがを負い、医師から診断書を受け取っていたという。
 裁判員法は、法定刑に死刑か無期懲役がある事件と、故意の犯罪行為で人を死なせた事件を裁判員裁判の対象と定めている。強姦致傷罪は最高刑が無期懲役で裁判員裁判の対象となるが、強姦罪は3年以上の有期刑のため対象外となる。
 県警は強姦致傷事件として捜査を進め、・・・被告(37)=公判中=が容疑者と割り出した。だが、裁判員裁判になることを懸念する女性の意向をくみ、・・・被告を強姦容疑で今月6日に再逮捕した。被告は県警の捜査に対し、容疑を認めているという。
 ある捜査関係者は「県警としてはできるだけ重い罪にしたかった。苦肉の策だった」と話した。
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●『キャプテン・アメリカはなぜ死んだか/超大国の悪夢と夢』読了(1/3)

2010年04月11日 05時14分32秒 | Weblog

キャプテン・アメリカはなぜ死んだか/超大国の悪夢と夢』、4月に読了。町山智浩著。太田出版。2009年1月刊(第2刷、2009年1月第1刷)。

 銃撃事件について「アーミッシュが犯人を許したことは、テロへの報復戦争を続けるアメリカに衝撃を与えた」(p.14)。
 〝レイア姫〟キャリー・フィッシャーの衝撃(pp.50-53)。
 「晴れた日に洗濯物を干す自由を我等に!/外に洗濯物を干すと訴えられるアメリカ」(pp.54-56)。洗濯機と乾燥機が無く外に物干しがあるような場所の不動産価値を気にするらしい・・・。日本もそういうことをいう馬鹿が居るな。「アメリカは石油をバカバカ燃やして世界で最も二酸化炭素を放出しているだけじゃなく、各家庭でも乾燥機で電気やガスを無駄遣いしている」。京都議定書の失敗を言う資格があるの?
 レリジュラス宗教Religion+アホらしいRidiculous)。「天国は素晴らしい? じゃ、今、死ねば?/信心深い人々にポーカーフェイスで突っ込みまくる宗教 ドキュメンタリー」(pp.61-65)。天国に行けるのはキリスト教徒だけ? 聖書原理主義福音派 キリスト教徒宗教が人々を救わず、狂わすばかり。進化論を教えさせないばかりか、「キリスト教右派は創世記を科学っぽく理論武装して「高度な知性(神)が生物をデザインした」とする「創造説」で進化論に対抗」している。つまり、IDという疑似科学ニセ科学似非科学。「聖書以外、何も知らない、知ろうとしない福音派の独善はブッシュよりもひどい」。
 フィル・スペクターの暴走(p.117、185)。
 マルコムX(p.124)。

 「大企業をおちょくるお笑いテロイエスメン」」(pp.138-142)。「・・・ハリケーンカトリーナで破壊されたニューオリンズの復興事業をブッシュ政権から請け負ったのは、石油業者のハリバートンだ。/・・・イラクの戦後復興もブッシュ政権から受注している」。新自由主義者どもの醜い姿。「イエスメンは偽サイト・・・、よく読むとブッシュ石油業界の癒着、コカイン使用、飲酒運転での検挙歴などが褒め殺し口調で書かれている。これに怒ったブッシュはテレビで「表現の自由は規制する必要がある」と発言して物議をかもした」。さらに偽善者の真の姿を暴露。「・・・グローバリズムの牙城WTO(世界貿易機関)の偽サイト、Gatt.org(GattとはWTOの前身)を作って、発展途上国の奴隷労働や環境破壊を告発した。/面白いことに、これを本物のWTOと勘違いしたマスコミや学界からイエスメンに取材や講演の依頼が飛び込んだ。・・・ケーブルてTV局・・・に出演してグローバリゼーションに反対する運動家を口汚く論破した!/・・・「発展途上国の人間を家畜だとでも思っているのか!」。・・・WTOとして答えた。「思ってません。すでに彼らは家畜として扱われていますから」/そしてついに偽WTOのイエスメンはオーストラリアの学会でこう発表した。/「我々WTOは今までの非人間的な行為を反省して解散し、国連の人権宣言を実現するための団体として生まれ変わります」/これは大ニュースとして報道され、・・・信じて・・・。インドの工場で有毒ガスを漏出させ、数万の命を奪っておきながら補償を拒んできたダウ化学のスポークスマンのふりをしてイエスメンが「数十億ドルの賠償をします」と宣言した時もBBCが大ニュースとして世界に配信した」。最後に、「イエスメンは08年11月12日、ニューヨークの路上で「イラク戦争終結」「ブッシュ元大統領を国家反逆罪で起訴」といった見出しを打った本物そっくりの『NYタイムズ』紙120万部を配った。社説も広告も全部ニセモノで、配るために数千人のボランティアが協力した。取材に対してイエスメンは「こうなったらいいなって願望さ」と答えた」。
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●『キャプテン・アメリカはなぜ死んだか/超大国の悪夢と夢』読了(2/3)

2010年04月11日 05時12分58秒 | Weblog

【町山智浩著、『キャプテン・アメリカはなぜ死んだか/超大国の悪夢と夢

 オリバー・ストーン監督の映画『W.』について。「・・・チェイニーは石油のことしか頭にない。/・・・「湾岸戦争でパパが倒せなかったフセインを私がやっつけてみせよう」と。/それぞれが勝手な思惑で始めたイラク戦争。・・・しかしビジネスの才能はなく、どれも失敗。酒に逃避し、酔っ払い運転で警察に捕まった。/・・・ますます酒に溺れるようになった。ローラ夫人は真剣に離婚を考えた。/そのアル中地獄のドン底でブッシュは突然神の光に打たれた。・・・福音派キリスト教徒として「再誕」する。・・・/・・・キリスト教原理主義という西部男のスタイルを演じた。・・・ただ父を見返すために。/・・・ブッシュは父の愛を求めて3000人を超えるアメリカ兵と10万人を超えるイラク人の命を奪った」(pp.126-131)。

 村上隆作品に代表されるアート市場の如何わしさ。「こういう詐欺まがいの商売を見ると、自分がいかに地道に働いているのか実感できる」(p.169)。
 アメリカ放送禁止歌(pp.181-183)。ラジオ局の重要さ(pp.199-202)。
 「・・・スーパーマンのユダヤ性にアメリカ人はまるで気づいていなかったが、ナチス・ドイツはさすがに敏感で、宣伝相ゲッペルスはスーパーマンをユダヤ的だと決めつけて禁書にしている。/・・・思い出したのは力道山だ。朝鮮人でありながら日本人の愛国心を鼓舞して国民的ヒーローになった力道山は、日本のスーパーマンだったのだ」(p.222)。
 「それに対して日本のアニメ、いやTVドラマでもいい、身体障害者や被差別出身者、いや片親の子供が「テーマ」ではなく「日常」として当たり前に登場することがあるだろうか?/・・・『おかあさんといっしょ』という番組名を耳にするたびに母のない子供がどれだけ傷ついているか考えたことはあるだろうか? 「普通という無意識の均一主義がいまだ日本には横溢しているのだ」(p.256)。
 「モーガン・スパーロックの実験TV『30デイズ』」(pp.257-258)。「実験25日目、デイブはイスラム教徒に対する差別に抗議する署名運動に参加する。・・・しかし道行く人は「お前らアメリカから出ていけ!」とデイブに悪罵を浴びせる。25日前のデイブもそうだったのだ。/・・・少数派の気持ちは自分で経験しなければ決してわからない。日本でも「外国人を追い出せとか騒いでる奴に30日間だけ中国韓国人の名前で生活させる番組を作ればいいのに」。

 「アイアンマンは一人軍産複合体/ベトナムアフガン、繰り返す失敗」(pp.242-245)。「・・・ベトナム戦争は激化し、米軍のナパーム爆撃で全身焼けただれるベトナムの少女やソンミ村で米軍に虐殺された赤ん坊や老人の死体がアメリカのテレビで連日放送された。ベトナムの民衆を踏みにじる悪の軍団はアメリカの方だった。・・・/今回の映画『アイアンマン』では主人公・・・ゲリラに拉致される。ゲリラは・・・水責めで拷問したり、民間人を爆撃したりするが、それはアメリカがアフガンイラクでやってることじゃん!/・・・ショックを受け、記者会見で「もう兵器製造はやめます!」と発表する。今で知らなかったのかよ! アメリカはアフガン・ゲリラにもイラクフセイン政権にも軍事援助してたんだよ!」。
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●『キャプテン・アメリカはなぜ死んだか/超大国の悪夢と夢』読了(3/3)

2010年04月11日 05時09分55秒 | Weblog

町山智浩著、『キャプテン・アメリカはなぜ死んだか/超大国の悪夢と夢

 パリス・ヒルトン〝脱走〟事件。「パリスの弁護士と精神科医・・・自宅監禁に切り替えさせたのだ。・・・/検察や郡裁判所には山ほどの怒りのメールが殺到。・・・「皆さん、私のことよりもイラクアフガンで戦ってる兵隊さんたちを心配して下さい」って戦時中に遊び呆けてたあんたが言うセリフか!」(pp.322-323)。

 「トム・クルーズは宇宙の帝王と戦っている/サイエントロジーのトンデモ教義」(pp.324-326)。「・・・「勉強法」や「能力開発」などとっつきやすい入口の奥に過激な教義を隠している・・・」。「トムは・・・ブルック・シールズが・・・抗うつ剤を飲んだことを批判して「精神医学なんてものは疑似科学だ!」と叫んだ。同じころ、サイエントロジストたちは精神医療に反対するデモを行い、トラボルタの妻も参加した。/アメリカの精神科医の薬漬け医療はたしかに問題だけど、なぜ、・・・敵視するのか? その理由は秘密の教義に隠されている。/・・・だから精神科医は悪の手先だというのだ!/こんな与太話、信じられるか!/・・・トムは「交通事故現場を通りかかっても、サイエントロジストなら彼らを助けることができる」とまで言っている。何を信じても自由だけど、あんたは医者でも救急隊員でもないんだぞ!」。信じることが目的ですものね。

 「ブッシュ政権と癒着したFOXの戦争イケイケ報道・・・。ハリケーン・カトリーナ・・・大洪水に際して、FOXはブッシュの対応のまずさをまるで批判せず、視聴者をいらだたせた。」それに対して、CNNのアンダーソン・クーパー。『12人の怒れる男』の巨匠シドニー・ルメットと縁戚。

 「アメリカは10代少女の妊娠が先進国で最も多く、彼女たちは学歴社会から落ちこぼれてワーキング・プアになる。・・・/・・・ガキから金を巻き上げる商人どもは次々にジャリタレをスターにして、アブク銭と名声を与えてダメ人間にして使い捨てて、また次の生贄を探すのだ」。

 あとがきでの出版までの経緯。「連載は突然中止、単行本は出ない。・・・『週刊現代』で僕の連載が終わって始まった新連載は、TVでオーラどうしたこうした言って占い師のスピリッチュアル(笑)エッセイ。ふざけんなバーカ!」(p.377)。
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●『紙の爆弾(2009年10月号)』読了

2010年04月10日 10時48分44秒 | Weblog

紙の爆弾』(2009年10月号)、4月に読了。

 仙波敏郎さん「裏金告発した元愛媛県警巡査部長退職後も続く闘争/第三回『〝裏金裁判〟で出たボロ』」(pp.28-31)。

 烏賀陽さんオリコン訴訟について、橋本玉泉氏「【オリコン訴訟】/「敗訴」しながら事実を捻じ曲げて報じるオリコン」(pp.70-74)。烏賀陽弘道さんに対して「裁判制度を悪用した言論封殺」をしたSLAPP企業(SLAPP)の惨めな敗北、「敗北宣言」。一審の裁判官(綿引穣裁判長)の酷さ。「「請求の放棄」で決着したオリコン訴訟控訴審」、「事実関係を明確にした控訴審の内容」、「謝罪もなく事実と異なる発言を続けるオリコン」、「ますます危うくなるメディアの作り手の保護」。
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