エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

#助け合えば大丈夫 #コロナのいまでも

2020-04-19 09:52:00 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの
 
 


 
#ひどい経験 #ストレスホルモン #発達が歪む

 #記録 と #聴くに徹する態度 トラウマを負わされた記憶は,一筋縄ではいかぬ    「神様は現在進行形」の意味   神様は現在進行形、改訂版  ティク・ナット・ハ......
 

「発達トラウマ障害 Enpedia」    上の写真は,小山内美智子さん

をご参照ください。  

 ヴァン・デ・コーク教授の  The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『大切にされなかったら、意識できなくても、身体はその傷を覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』 は,翻訳が終わりましたが,印象的な言葉を適宜拾ってみようと思います。 

 p.119のブランクから。

 今朝は,p.120の,第4パラグラフから。

 

心が途方に暮れていると

 

 良心的な両親でも不安になることが多いのは,アタッチメント研究によって,ときどき子どもに我慢ならないことや,うっかりしてこどもに調子を合わせることができない事が,一生残る傷を子どもに残すんじゃないか,と心配になるからです。実際の暮らしの中では,誤解や思い違いや分かり合えないこともありがちでしょ。お母さんやお父さんが赤ちゃんのサインを見落としたり,他のことにかまけたりしていますから,赤ちゃんは自分で自分を落ち着かせる方法を自分で編み出します。限度内であれば,問題はありません。子どもたちは,満足できなくても,ガッカリしても,何とか折り合うようになります。「善い」お母さんと一緒なら,子どもは,気まずいことがあっても,絆は直るということを覚えます。白黒が付くのは,子ども達がお母さんと一緒に居て安心,という気持ちに,腑に落ちることができるのか否か,ということです。

 「普通の」中流家庭の2000人以上の赤ちゃんの中でアタッチメント・パターンを調べた研究では,62%は安心してくっ付くパターン,15%が避けてくっ付くパターン,9%が不安なまま(2つに引き裂かれながら、と言ってもいい)くっ付くパターン,15%が途方に暮れるパターンでした。面白いのは,男女差や生まれ持った気質は,アタッチメント・スタイルには,ほとんど影響しなかった,ということです。たとえば,「難しい」気質の子どもでも,途方に暮れるスタイルになるとは限りません。低階層の子どもでは,途方に暮れるパターンになりやすく,それは,両親が経済的に苦しく,また,家族がバタバタしてして,大変な苦労をしているからです。

 赤ちゃんの頃に安心できなかった子ども達は,大人になっても,自分の気分や気持ちの出し方を思い通りにするのが難しいんです。幼稚園までは,途方に暮れている赤ちゃんは,怒ってばかりいるか,あるいは,他の子から離れて関わらないようにするかで,その後,いろいろな心の病になります。途方に暮れている赤ちゃんは,また,生理的にも苦しんでいて,心拍数に現れるように,心拍数は大きく上下し,ストレスホルモンが大量に出て,免疫機能が落ちます。生理反応がうまくできない子ども達は,子どもが育つにつれて,正常になるんでしょうか? それとも,安心できる大人がいるところに引っ越せるのでしょうか? 私どもが知る限り,こういう子等は正常になることもなければ,引っ越しもできません。

 親から大事に育てられませんと,子どもが途方に暮れるだけじゃあありません。親自身が自身のトラウマを抱えていますから,自分の気持ちをコントロールできませんし,心豊かな慰めや見守りを,一貫して子どもにプレゼントすることもできません。親が抱えているトラウマとは,子どもの頃粗末に育てられたり,性的に弄ばれたり,あるいは,最近親兄弟がなくなったり,ということです。どんな患者さんでも,子どもを安心して育てるのに役立つ支援で,手に入る支援は全て必要ですが,特に粗末に育てられた(訳注:発達トラウマ障害の)患者さんは,特に,子どもか求めていることに,息を合わせるために支援が必要です。

 親が分かっていないことが多いのは,自分が(訳注:子どもに)息を合わせていない,ということです。ペトリア・べーベが見せてくれたビデオを今でも鮮やかに覚えています。そのビデオは,お母さんが生後3か月の赤ちゃんと遊んでいるものです。全てがうまくいっていても,赤ちゃんが尻込みして,頭をよそに逸らすことがあります。お休みが必要です,というサインです。でも,あ母さんはそのサインがくみ取れないので,赤ちゃんにもっと関わろうとますます頑張ることになります。お母さんは赤ちゃんに顔を近づけたり,もっと大きな声で話しかけたりして。赤ちゃんがさらに尻込みしても,お母さんは赤ちゃんを揺らしたり,つついたりし続けます。

 

 

 お母さんのミスが続くと,読むのが辛くなる方もいるかもしれませんね。

 しかし,これはお母さんが悪いというよりも,お母さんの支援をしない社会の問題です。ミスが多いお母さんでも,支援があり、助け合えば,心配ご無用になる場合が多い,と私は考えますね。

 札幌いちご会の小山内美智子さんが,昔から私どもに教えてくれている英知,それが,助け合えば大丈夫,です。コロナのいまを生きるヒントになるのではないでしょうか?

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