エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

インターメッツォ: エリクソンの叡智 : 赤ちゃんが人生の主人公になる時

2016-10-06 01:55:07 | 間奏曲

 

 

 

 
新しい時間感覚
    ケアは単に世話することではありません。やり取りの中でする世話は、本気になれば、心からの誠実さで、心から真実に、相手と向かい合う関わりになるからですね。エリクソン......
 


 先日、禅を日常生活に生かす番組「趣味どきっ! お寺の知恵拝見」を見ていましたら、「主人公」と言うのは禅語で、「本当の自分」のことだ、ということが解かりました。

 赤ちゃんはどうしたら、自分の人生の主人公になれるんでしょうか? 「本当の自分」を生きる為には、赤ちゃんにどうな手助けを周りの大人がすれば善いんでしょうか?

 エリクソンがそのことについて語っているところです。

 Chilhood and Socirty p.216の引用の後から、p.217の冒頭まで。

 

 

 

 

 

 フロイトが(一歳半の赤ちゃんの)遊びに見たものを理解するためには、フロイトが「繰り返す強迫」という不思議な現象、すなわち、言葉や行動で陽気で楽しいことを繰返す必要について、フロイトが当時関心を示していることを書いとかなくっちゃいけません。私どもはみんな、陽気で楽しいこと(失礼なこと、ケンカ、作業)のことを何度も話すことってありますでしょ。しかも、それは忘れたいことだったりして。トラウマを抱えた人が、眠りに癒しを見つけるどころか、もともとトラウマを負わされたことを繰り返し体験するような夢にうなされる、ということも知っています。繰り返し同じミスをする人がいるのも、偶然とは思いません。あるいは、今別れたばかりの相手の同じような、ありえない相手とまたバカな結婚を「偶然」する人もいますよね。また、同じよう災難をあげたら、枚挙に暇がありませんよ。そのひとりびとりは、自分がまだ、克服できていなかったテーマや、折り合いを付けて来なかったテーマを、無意識裡に様々な形で手配しているんですね。それは、そのひとりびとりが、もともとはあまりにも手に余ることだった、その状況の主人公になるために、繰り返し同じ状況に出逢い、受け容れることによって、そのトラウマを負わされた状況の主人公になるためなんですね。

 

 

 

 

 

 このフロイトの気付きは、無意識には、猛烈な力があること、変えることのできない慣性があること、に対するものだった、言えますね。それと同時に、日常生活の中で、人生の中で、この繰り返しをやったら、あまりにも苦しいのですけれども、出来れば、子どものうちに、出来れば、遊びの中で、出来れば、セラピーの中で、これをやってくれれば、本人のためにどれほどいいか、も、フロイトは、エリクソンは、示してくれている、と、私は考えますね。

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« #インターメッツォ: #隠れた神 | トップ | インターメッツォ: 1人の恵み »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿