一日だけ雨のあと、また好天の日々がつづいています。ただ、さすがに冷気は厳しい。風の強い日もしばしばあって、勤め先近くにある「こぶし公園」の楠(クスノキ)をゆさゆさと揺らせています。
その楠です。樹高は15メートルぐらい。まだ若い樹だと思われます。
去年三月、辛夷(コブシ)の花が咲く直前、無粋にもザンギリ頭のように枝を落とされてしまっていましたが、ようやく豊かに繁った枝ぶりを見せてくれるようになりました。
市立の小公園です。せっかく豊かに繁った葉を、今年も伐り落とす計画が練られているのでしょうか。楠は豊かな葉があってこそ楠なのに……。
いまの人にとってもそうかしれませんが、江戸時代の人々にとっては、暑い夏は格好の日陰を提供してくれる樹でした。独特の匂いによって、虫が寄ってこないのもいい。
この公園にはいつも数匹の野良猫がいます。昼を過ぎると、楠の根元まで陽が当たるようになるので、前脚を曲げて坐り込み、コックリコックリと居眠りをしています。
夏は太陽の位置が高くなるので、真昼でも根元の半分は日陰になります。よくできています。
ある人を真似て、幹に掌を当ててみました。
陽が当たっているせいもあるのか、ほんのりと暖かい。
伐採された枝の跡はコブのようになっています。こちらも陽光を受けていますが、ポッコリと盛り上がった部分だけはひんやりと冷たいのです。
公園近くのマンションの中庭に、数本の犬四手(イヌシデ)が植えられています。これも掌を当ててみると、ほんわかとします。
幹には縦に淡い縞模様があります。太めなので、シャツの柄でいうと、最近は流行らないのか、店へ行っても見かけることのないロンドンストライプです。
上手く撮影できなかったのですが、もう小さな芽が出始めていました。近くには欅と榎がありましたが、両方とも芽はまったく見られません。
犬四手については去年三月二十七日の我がブログで触れています。そのときまで私は犬四手などという樹のあることを知りませんでした。たいしたことを書いているわけではありませんが、参考まで。
まだ入院中だった去年十一月の後半。関西から見舞いにきてくれた友と、病院近くの大勝院というお寺へ行きました。境内には樹齢五百年という公孫樹(イチョウ)の古木があります。
去年春先に撮影したもの
「樹の幹って暖かいんだよ」
友はそういいながら、公孫樹の幹に掌を添えました。私も真似てみました。
うん、確かに暖かい。
まだ冬と呼ぶには早い季節でしたが、微風ながらも冷たい風に見舞われた日でした。
ことに私は入院の要因であった胃潰瘍よりも、胃壁を破壊されたことに伴う出血によって、鉄分欠乏性貧血を起こしていることのほうが重大でした。そのせいか、血の巡りも悪く、手と足の先が冷たくて仕方がなかったのです。
そんな私には公孫樹の幹の暖かさがありがたく感じられました。
今朝、玄関のチャイムが鳴るのに応えて出てみると、宅配便でした。
何かを注文した憶えはありません。訝りながら受け取ってみると、どこかで聞いたような(じつは見たことのある)差出人でした。
千葉県内にある無農薬有機栽培の農産物の会社です。そこから1000~1500円相当と思われる野菜が送られてきたのです。
注文したのではありません。インターネットで何かのプレゼント企画に応募したのか、べつのことだったのか、全然記憶にないのですが、ある日、「当選しました」というメールがきていたことがありました。景品を送るので、住所や電話番号を報せるように、という内容です。
君子危うきに近寄らずと考えて、シカとしました。
ワンクリック詐欺のたぐいであれば、しつこくメールがくるところなのでしょうが、そういうことはありませんでした。
そういうことがなかったので、すっかり忘れていました。
何週間か前、応答がないので、当選の権利が失効する、というメールがありました。うるさいやっちゃな、と思いながら、気まぐれに自分の名前、住所を書き込んで返信しました。そのことも忘れていました。
この手のメールがたくさんきます。応答しなければいいのに、百万! どころか一千万当たる! などというメールがあると、見るからに怪しげでない限り、思わずクリックしてしまいます。挙げ句、毎日多量のメールが送られてきます。当該の会社とは思えないところからもきます。怪しいところからもきます。
送られてきた段ボールの中味です。
白菜、玉葱、ミニトマト、薩摩芋、じゃが芋、里芋、泥つき人参、泥つき葱、小松菜、胡瓜、春菊と十一種も入っていました。
案内状、挨拶状のようなものは何もなく、これらの野菜が入っているだけでした。
いつまでも放ってはおけないので、本当に当選(つまり無料の!)と解釈して、食べることにします。
籤運はよくないと思っていますが、この程度の「籤」にはまま当たることがあります。その代わり、宝籤などは下一桁以外当たることがありません。