風野氏にしてはお堅い時代小説。
戦国時代末期、越中の佐々成政が敵地を避けて家康に会うために、厳冬期の
飛騨山脈を越える必要があった。沙羅沙羅越えが難関場所。
愛厳という登山経験者(仲語)が道案内をしてくれた。
酷寒なのでいろいろ手荷物は多いわ、着込んでいるは動きづらい。
それでも黙々と登る。水を飲むのに塩と砂糖を混ぜた物を飲む、と愛厳は
教えていた。登山(雪山)では酒は飲むな!鉄則!
愛厳はそういうことも教えてくれていた。酒は死ぬぞ!平地では寒ければ酒
飲んでもいいが、気圧が低くなればそれだけ体に影響するので危ない。
吹雪にあって何日も洞穴の中に滞在したり、雪崩にも遭遇したり・・・
二人命を落としてしまった。10人くらいが生き残って、信州大町に到着。
富山城を出て二十日目。雪焼けしたので顔はかなり黒かったらしい。
無事、家康に面会したものの和議が結ばれてしまった。
あんなに苦労して“沙羅沙羅越え”してきたのに・・・
富山城には別ルートで帰った。
さゆりという側室が成政にいた。ハチミツをさゆりが成政に飲んでもらって
体力つけて欲しいと言っていた。しかし、このさゆりは密偵だった。
成政の部下がさゆりを切った。これは仕方がない。
まだ17歳という若さ。運命にはさからえない。密偵だったからね。
妻のいずみも、最後は女の運命を嘆いていた。いい妻ですね。
(成政の次女に“辻が花”の着物を送ったとか書いてあった。このころから
“辻が花”の着物ってあったの? 後で調べる)
いずみの一言「贅沢などはしたくはありません。贅沢は不幸のかわりに
するのです」この言葉にジーンときた。よく出来た妻ですね。
秋篠宮様紀子妃殿下や眞子内親王に送りたい言葉です。
雪山での話しは戦争映画であったな~と思ったら『八甲田山』だった。
しかし、こっちは雪中行軍の演習中に遭難した話しだったのね。
ちょっと違ってた。古い映画だけど全部は見てないと思う。
サラッと見てるか?(テレビで見てるかも)
小説はなかなか重厚な切り口で引き込まれた。
しかし私の好きな時代背景ではないのでちょっと大変だった。
読み応えがあるので、お好きな方にはお勧めです。
私の好きなのは江戸時代の後半、11代将軍徳川家斉がお盛んだった
ころの話し。庶民が活気づいて、食べ物が豊富になってからの
話しが好きです。
将軍吉宗が闊歩していたころも好きかな。
忍者もこの頃が多かったように思うので。
またいい本に出会えますように。