「建設工事システムがコンクリート構造物の品質に及ぼす影響」というのが、私の卒業論文のタイトルでした。小澤一雅先生が指導教員でしたが、私があまりに力不足だったこともあり、ろくな成果は得られませんでした。
なぜ示方書や共通仕様書には適切な方法が記載されているのに、実構造物ではその通りにできないのか。例えば、ガス圧接の不良や、段落としが設計規準通りに千鳥配置になされない現象はなぜ生じるのか、どうすれば防げるのか、というようなことに取組んだ研究です。
よくよく考えてみると、今、私の取り組んでいる品質確保の研究も、根っこは同じです。
そういう意味では、先日投稿した、「施工状況把握チェックシートによるコンクリート構造物の品質確保と協働関係の構築」という論文は、卒業論文のテーマに対する、今の私なりの解、と言えるかもしれません。当時と今とでは実力は雲泥の差ですが、18年越しの卒業論文と言ってもよいかもしれません。
もう一つ、どうしようもない駄作が私の修士論文で、これのリベンジが、昨年12月に修了した小松君の博士論文です。これも、16年越しの修士論文と言う見方もできるかと思います。
16年かかろうが、18年かかろうが、少しずつ前進していけばよい、と今では思えます。愚鈍な人間ですので、あきらめないことを決意することが、最も大切なことなのかもしれません。
これからも、ちょっと取組んだらすぐに成果が出るような研究ではなく、仕上げるのには10年でも20年でもかかるような研究テーマを設定したいものです。