超人日記・作文

俳句を中心に、短歌や随筆も登場します。

#俳句・川柳ブログ 

五月の真夏日のデイリーライフ

2019-05-27 17:56:02 | 無題
北国は五月の猛暑。
去年は寒くて厚着していると書いてあった。
人が多いと、イケズな人もフレンドリーな人も居る。
人波に優しい人も含まれることが救いだ。
帰宅して、北側の風の入る部屋でしばらく眠っていた。
この部屋は野川沿いに住んでいた頃を思い出させる。
あの頃は社会的にはあぶれていたが、小さな幸福があった。
今は、新宿中古CD店で買ったヴェーグ四重奏団のベートーヴェンの新盤を聞いている。
低音も高音も遠慮せず弾くが、決して聞き苦しくならず、艶のある名演だ。
明日は小用があるが、ひとまず今日の仕事を終えて一息ついている。
近所のホームセンターで買った温度計が夕方まで30℃近く上がり、
温度計の液晶の坊やも泣きそうだ。
春に調布で買った灰緑の激薄ジャケットが
早くも役立っている。
人の定めにはどうにもできないこともあるが、
なるべく自分を含めて多くの人が希望の兆しを支えに
傷つくことが少なく暮らして行けることを願っている。

真夏日に微風の窓に助けられ眠りに落ちて詩片みつける
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詩人の首が歌うこの頃

2019-05-26 21:51:36 | 自作俳句
夜、「富澤赤黄男百句」読む。
自分でも俳句を書いてみたくなり、いくつかまた作る。

密林の茶を飲み干して呪師となる
養蜂の箱にひっそり蜜の罠
妖精を包む湖水が呼吸する
花巻の羅須の子どもの堅き椅子
遠くない畑に居ると遺言す
この壁のかすれ具合を額に入れ
没後なお牧羊神が貌を見せ
ランタンを消して句集の字を灯す
休日を終えてぽつりと花梨の湯
傷ついて話す言葉が人と生き

などふつふつと湧いてくる。

養蜂の箱にひっそり蜜の罠詩人の首が歌うこの頃
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アイス珈琲に思う詩的情景

2019-05-26 08:58:55 | 無題
アイス珈琲飲みながら、ロヴロ・フォン・マタチッチのスローテンポの1962年のベートーヴェン全集を聞いている。
五月晴れ。昨日撮ったギャラリー犬養の明治の洋館の外観の写真を叔父が見事な水彩画に仕上げて送ってくれた。
多分、街歩きスケッチに掲載するのでは、と思う。
ロヴロ・フォン・マタチッチの全集は実況録音で、モノラルだが演奏は力演で歌心に溢れた名全集。各曲のあとに盛大な拍手が入るのも会場の白熱ぶりが伝わってきて嬉しい。
マタチッチはデンオンのブルックナーの演奏で有名だが、4番はステレオで出ていない。ミラノ響やフィルハーモニアと4番のモノラル盤を残している。マタチッチは政治的に反リベラルで戦後冷や飯を食い、録音運に恵まれていない。
そんな中強烈な迫力と、イタリアのミラノRAI放送響の歌心をあわせ持つベートーヴェン実況録音全集が数年前に発売されたのは僥倖である。弦の美しさも聞き取れる、モノラルのライヴにしては雑音もなく状態のいい全集。
昨日ギャラリー犬養でオーナーとカウンター席の男性二人がアングラ演劇四天王の話をしていた。自分たちの先輩が60歳代で生でアングラ演劇を体験した世代だと喋っていた。そういう世代を差し置いて私が寺山さんを語る余地もないのだが、好きだからやむを得ない。
昨日も数冊寺山さんの影響された俳人の句集、西東三鬼や富澤赤黄男の句集を味わったあと、寺山修司全歌集全句集をめくってみたのだが、やはり飛び抜けて素晴らしい。
虚構の世界が色彩豊かに絵になっているのである。
目についた句をひとつ挙げると、「妹を蟹座の星の下に撲つ」なんか暴力的だけど美しい情景が目に浮かぶ。それが、たまにできるのではなくて、完成度の打率が高いのである。寺山さんのお陰で、寺山の私淑する俳人たちの作品も手に取り、視界が一つ広がった。60歳代のアングラ世代ではないので、生の寺山体験に乏しいのだが、いろんな形で今も触発されている。稀有な人物である。
東京カラメリゼというキャラメルを塗った焼き菓子をかじり、マタチッチの「英雄」の後半に入り、テンポが上がって盛り上がってきた。
宮澤賢治がベートーヴェン好きで、セロ弾きゴーシュで「田園交響楽」がでてきたりしたが、賢治は自分でオルガンを弾いて羅須地人協会で作曲していたことを思い出す。友人と岩手に賢治紀行をしたときも、農学校の敷地に移築された羅須地人協会の建物のなかで、賢治が弾いたオルガンと教え子が座った椅子を見て心打たれた。羅須地人協会の歌の自筆楽譜が印刷されたスカーフを記念館で買って帰ったのを覚えている。
ベートーヴェンの英雄も佳境に入ってきた。マタチッチの力技と歌心は感涙ものである。

北国の町で詩情を糧とするイーハトーボまであと何マイル
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叔父と木洩れ日と個展めぐり

2019-05-25 18:21:27 | 無題
近郊の公園で日差しが強いなか、こぐま座の近くの木漏れ日のビアガーデンで生ビールを飲んでフランクフルト300円食べて、叔父と談笑する。
叔父は待ち合わせの文学館の前で木立をスケッチしていた。叔父とツイッターの話、ブログの話、牧羊神の同人山形健次郎氏のギャラリー山の手の寺山修司資料館の話、鴉が多く居て鴉の親は親を苛めた人を子鴉に伝達する不思議な知能がある話、東京の指ヶ谷町や谷中や小石川は散歩に良くて永井荷風も散歩したようなところだが、スケッチして歩いたという話、安野光雅のアンデルセンの吟遊詩人の挿絵を冬場は模写した話を聞く。
そういえば、豊平橋にギャラリー犬養という古い建物の画廊があって一階はカフェだと話すとこれから行こうと意気投合し、タクシーでワンメーター乗車で豊平橋まで行き、交番でギャラリー犬養の場所を聞いて、ローソンの次の路地の奥にあると教えて貰い、Regu・Regu以来半年ぶりにギャラリー犬養にたどり着く。
ギャラリー犬養は築110年を越える明治時代の民家を改造した建物で、四部屋でそれぞれ、若い作家さんの個展を開催していた。
最初に見たのが二階の個展で画家の樋口聡さんの油絵のへらで平面を塗って描いた抽象画を見る。色の組み合わせやかすれ具合を見てほしいという。ドレスデンやデュセルドルフで活躍中のドイツの現在八七歳の画家ゲルハルト・リヒターの絵のかすれ具合を自分も工夫しているとのこと。
一階では造形作家の林美奈子さんの個展を次に鑑賞した。いろいろな紙や古紙を集めて切り貼りして、ヘンリー・ダーガーやシュヴァンクマイエルをときに思わせる詩的な作品を展示していた。覗き眼鏡で古い写真を見る箱や日頃出遭った言葉をアット・ランダムに書き並べたカードで見る人に物語を想像してもらう作品、ノートの中央にキーワードが小さく書いてあって虫眼鏡で見る作品などを展示していた。私は自宅で「夢」と書いた紙の切れ端を拾って日記に糊で貼った話、来場者が詩を書いて賽銭箱に投げ入れる詩の賽銭箱というアイディアをかつて思いついた話をする。林美奈子さんは「紙と薄荷と古本と」というブログを営んでいるそうなので皆さん探してほしい。
次にカワシマトモエさんの絵と工作展を見た。ボート漕ぎの絵、猫のアップの後姿の絵、蜜柑の花とポニーの絵など童話的でちょっとだけシュールにも見えるかわいい取り合わせのほのぼのした絵を見る。東京の野川でナノというポニーを散歩させているところに出くわして、ロバかと思って驚いた話をする。奥の間のZOILIAさんの個展はじっくり見られなかったが、空想画を鉛筆と水彩で描いた「天使になんてなれなかった」展を開催していた。一階のカフェで濃いアイス珈琲を味わって、建物の外観を撮ってバスで帰宅する。
若い作家さんの頭のなかを覗いたような気がした。帰るとデヴィッド・シルヴィアンのヴィクティム・オブ・スターズというアルバムの広告がメールで来ていた。「星の犠牲」か。

満天の星の犠牲となるつもり浮かんだ文字を無事に書けたら
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オルフェウスの歌を聞く今日この頃

2019-05-25 06:34:22 | 無題
近年、ギリシア神話の伝説の詩人、オルフェウスに凝っている。
本も取り寄せて読んでいる。
「変身物語」や「農耕詩」に神話のタネが書かれている。
その後オルフェウスはいろいろな有名人と同一視されて、
中世には妻エウリュディケは毒蛇に化けたサタンに騙されて
禁断の実を食べて地獄に落とされ、オルフェウスが
救世主として罪から救いに来る、なんていうキリスト教ミックス
の話もあったらしい。
現代ではジャン・コクトーのオルフェが有名。
その他にもオルフェウスを題材にした絵画や詩やオペラは
数々あって、デヴィッド・シルヴィアンが
「養蜂箱の秘密」のなかで「オルフェウス」という
神秘的な歌を作って歌っている。
その神話の耽美性や悲劇性も含めて
興味が尽きない、オルフェウスである。

甦る詩人の声が歌い出す養蜂箱の冥界の秘密
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