猫五郎の写真日記

なんか、写真よりも文章がメインになってます。しかも、くどい。要改善。でもなかなかねぇ。

2024年2月 巨大ニュートンの主鏡 洗浄

2024-02-25 15:57:03 | 天体望遠鏡

2022/06/18に再コーティングした主鏡を取り付けてから2年近くが経過しました。

主鏡、結構汚れてきました。

レンズ洗浄液やらアルコールやら高性能洗浄スプレー3310(工業用)など、もろもろ主鏡をきれいにする努力はしてきましたが、なかなか満足のいく結果は得られず、少しずつ汚れが蓄積してました。

 

ここ一年間ほど、望遠鏡の動作は安定したにも関わらず、いまいち良い写真が撮れていない。

シンチレーションに恵まれないため、という可能性を第一に疑っています。

しかし、もしかしたら、、、主鏡の汚れが関与している余地があるのかもしれない。

 

主鏡を一度、取り外して洗浄してみたい。

しかし、この主鏡、金属の枠と合わせて50kg前後あるものと思っています。

正確な重量を測れてませんが、(そうか、観測小屋に体重計を持ち込めば良いのか!)26kgのAXD本体の2倍くらいありそうに感じています。

1人ではとても取り外しできない。

もちろん、再度、主鏡を組み付けることも1人ではできない。

 

友人に助力を願いました。

外すにあたって、いろいろ準備があります。

50kgの主鏡を外すと望遠鏡の前後バランスが崩れます。

また、望遠鏡とウェイトのバランスも崩れます。

主鏡を外しても望遠鏡の対物端が落下しないように、脚立にロープをかけて支えを作ります。

主鏡を外してウェイトが落下しないように、ウェイトの下にも支えを置きます。

(この写真、ちょっと歪んでいるのは、スマホのパノラマ撮影機能を使って撮影したためです)

 

男2人が必死になって重量物を扱っているので、外す瞬間の写真はありません。

外すにあたって、元に戻す時の向きがわかるように、主鏡の金属枠と望遠鏡本体にマジックで印をつけました。

 

外した主鏡(とその金属の枠)

 

主鏡を畳に向けてひっくり返します。

金属の枠の厚さ(5mmくらい?)があるので、主教が直接畳に接する心配はありません。

光軸調整を行う引ネジを全て外すと主鏡裏側の円盤が外れます。

円盤の向きがわからなくならないように、金属の枠と、円盤の引ネジの穴の一つにマジックで印をつけました。

 

黒い紙と、主鏡を金属枠に押し付けて固定するネジを受ける3枚のアルミ版を外すと主鏡本体(ガラス)が露出します。

 

主鏡の金属枠を外します。

 

出てきた主鏡。

大きいです。

ガラスの厚さが75mmもあります。

が、やはり主鏡本体よりも金属の枠の方が重たいです。

主鏡本体は多分ですが、15kg弱ではないかと感じます。

主鏡は冷たいので、すぐに結露しました。

 

水道水をかけて、食器洗い用の中性洗剤で洗います。

 

レンズクリーニングペーパーで表面を撫でて、汚れを端に寄せます。

 

水道水をかけて、洗剤を流します。

水が流れ落ちるように、主鏡の片側を高くして傾斜をつけてあります。

(主鏡の下、手前は2×4材が1本、奥側は2本積み重ねてある)

 

おぉッ!きれいになった。

けど、このまま乾燥させると水垢が残ってしまう。

 

薬局で売っている精製水を流してリンスします。

 

次に、早く乾くように無水エタノールを流します。

 

しばらく乾燥させて、完全に乾き切るのを待たずに元の状態に組み上げました。

朝、望遠鏡の中を覗くと、普段から結露していることがあるので、少々濡れていてもいいだろう、と。

望遠鏡の乾燥空気装置をつけっぱなしにして寝ても、翌朝、結露していることすらあります。

この場所はこの主鏡にとって、けっこう過酷な環境なのかもしれません。

理想的には望遠鏡部屋に除湿機を置いて、ずっと除湿していればいいのでしょうけれど、なんせ建物が古いので、一ヶ月単位で除湿機を回しっぱなしにするには、電気系統に一抹の不安を覚えます。

 

2人で主鏡を巨大ニュートンに組み付けました。

指を挟んで怪我をしないかヒヤヒヤしました。

うっかり足の上に落としたら骨折しますし、破損したら代わりとなる主鏡はおそらくないでしょう。

 

そのあとは、主鏡を垂直に立てて、光軸調整を行いました。

調整後が下の写真。

完璧ではないですが、最低限の用を成してくれるでしょう。

 

Ocal electronic collimatorのソフトウェアがすぐにフリーズするので、かなりイライラしました。

おそらく全世界のユーザーがイライラしていることだろうと思って、自宅に戻ってから確認すると、新しいソフトウェアが公開されている。

早速ダウンロードしました。

次回はもう少しストレスが減ることを期待しています。

 

 

早速、主鏡洗浄の効果を確認したいところでしたが、うっすらとモヤのかかったシャキッとしない夜空でした。

作品を狙いに行く夜空ではないですが、少なくとも動作チェックはできるし、光軸調整ができているかの確認も行うことができます。

 

まずは子午線を越えたばかりのベテルギウスでピント合わせ。

バッチリです。

 

お次はf=1,200mm, F15のガイド鏡のピント合わせ。

同じくベテルギウスで。

 

最初のキャリブレーション

西の空だし、まあ、こんなものでしょうか。

 

子午線の西側、天の赤道付近での最初のガイド。

Periodic errorが見てとれます。

 

ガイドアシスタントの結果

おお、極軸のずれが観測されなかった!

 

バックラッシュもほとんどない!

 

写真は、というとこんな感じ。

EOS Ra

ISO 2500, 300 sec

四つ端の小さな星の伸び具合はほぼ均一になってます。

僕にとっては許容範囲。

今度、コマコレクターを使ってみようかな?

 

ガイドアシスタントで極軸のずれが観測されなかったので、遊び心でDECガイドをキャンセルしてみました。

4分半まで素晴らしい動作でしたが、何やらガクッとした動きがあったらしく、写真はブレ写真となりました。

何によるギャップなのか、現場を取り押さえれてませんが、この巨大赤道儀、時々こういうガクッとした動作をします。

撮影の大きな支障にはなっていないのですが、気になります。

この現象の原因、今後、究明できるかな?

場合によっては、こなれて自然に消滅してしまうかもしれません。

 

素敵な夜空を待ちたいと思います。

コメント (4)
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