初めて購入した天体望遠鏡が笠井トレーディングのGINJI-250FNでした。
GINJI-250FNはF値が4であるため、斜鏡がオフセットされています。
オフセットと聞いて、自分の望遠鏡の中を覗いてみて、斜鏡が鏡筒の中心から少しずれて偏った配置をしているのを確認しました。
オフセットとは、「斜鏡が鏡筒の中心からズレた配置なんだな」というのはすぐ理解できましたが、それがどのように中心からズレているのかという点についての理解が深まったのは、5年以上経ってからでした。
以前、反射望遠鏡の光路を製図してみて、偶然オフセットがどんなものであるかを理解しましたが、あのオフセットの解説は偶然の賜物であって、オフセットの解説を目的とした説明ではなかったので、改めて記事に起こそうかと思いました。
45度に傾いた斜鏡は、スパイダーの中心から主鏡の中心へ下ろした直線と、接眼部の中心から鏡筒軸に垂直に下ろした直線の交点を通る平面に配置しなければなりません。
45度に傾いた斜鏡が上記の平面からズレてしまうと、接眼部から発射されたレーザーが接眼部に戻ってくることはありません。
上記の平面上に斜鏡を配置するとして、斜鏡をオフセットせずに配置してみましょう。
つまり、スパイダーの中心から主鏡に向けて下ろした直線上に斜鏡の中心がくるように配置してみます。
GINJI-250FNの斜鏡は短径86mm、長径122mmです。
下図のように、斜鏡をオフセットしないと、主鏡の反射光の一部が斜鏡に届かなくなります。
そこで、オフセットしない状態から、主鏡方向に5mm、接眼部から離れる方向に5mmずつオフセットてみると、主鏡の反射光をすべて斜鏡に集めることができるようになります。
ちなみに、5mm×1.41421356(ルート2)=7.07mm
斜鏡を同一平面上で7.07mmスライドさせてやればいいわけです。
ちなみに、オフセットは全てのニュートン式望遠鏡に必要ではありません。
F値が小さな望遠鏡で必要になりますが、F値が5以上の望遠鏡では必須ではありません。
例えば、僕の焦点距離2,475mm、F5の巨大ニュートンの斜鏡はオフセットされてません。
図に示すとこうなりました。
接眼部の位置をもう少し主鏡側に寄せる(下げる)場合は、オフセットが必要になってきます。
図で確認してませんが、F6以上であれば、オフセットは必要ないんじゃないかな?
こういう解説があってくれた方が、僕のオフセット斜鏡の理解が早かったと思います。
たったこれだけのことを説明するのにえらいエネルギーと時間を要してしまいました。
自分の頭の中では製図できていたのですが、これを自分だけでなく、他人に提示するのって、大変なことですね。
Adobe Illustratorを使える期間があと2週間ほどです。
サブスクしている間にできる限り、多くのものを産み出さねば、という想いがなかったら、とてもこんなエネルギーは出せなかったでしょう。
今月上旬に学会発表があり、それまでの2ヶ月間ほど、天体観測の時間を削って、英論文を読みまくり、スライドを作ってはダメ出しされ、作ってはダメ出しされ、自分でもダメ出しし、ストレスを溜めまくってました。
ストレスが溜まりまくると、現実逃避なんでしょうけど、いろいろやってみたいことが次々と頭の中で浮かび上がってくるんですよね。
ついでに新しいカメラも買ってしまうし。。。
なんにせよ、一度、オフセットを解説する図を製図できて、良かったと思います。
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