標高の高い所はまだ桜が残っているだろう、桜の向こうに展開する棚田はさぞかし絵になるだろうとやって来ました。
人が住んでいるところには桜が在ります。
樫谷には棚田に映える桜はありません。
・・・残念。
いつもの通り農道を往きます。
時々見上げながら歩きます。
命を繋ぐ水路です。
こんな記念碑がありました。
あの家の老夫婦が教えてくれました。
妻と立ち話していたら夫が両手に杖をついて出て来ました。
彼も話に加わってくれました。
私も座り込んで話します。
この集落には溜池がありません。
周囲の山からこの谷に水が集まって来るので必要ないそうです。
昭和16年に山の上で伐採した木が雨でこの谷の上に集まってダムになりました。
やがて木のダムが決壊してこの棚田が水没・流失しました。
昭和18年に木を取り除き、流された田んぼを修復して棚田を再生したそうです。
その記念碑でした。
現在この集落に住んでいるのは6軒で、高齢の為自分で稲作しているのは2軒だけだそうです。
この夫婦の家も山の麓でサラリーマンをしている息子さんとボランティアが稲作を行っているそうです。
一部の田んぼには水が張られて田植えの下準備中です。
張られた水が空を映します。
もうすぐ、田植え前に「全谷鏡」の棚田が現れます。