早春の陽が注ぐ路地です。
菊坂は本郷台地の山ひだの底です。路地の突き当たりに石段が見えます。
樋口一葉が使った井戸です。
傍の椿に陽が射します。
見上げれば、石段の上の空です。二つの木造三階建て住宅が空を切り取ります。一葉はこの景色を見ていないでしょう。昭和の建築物だと思います。
この坂は一葉も通ったと思います。当時も石段だったかは分かりません。苔の枯れ具合で季節が分かります。夏になると緑が生き生きと濃くなります。
昨年掛けられたこの街灯がこの風情に似合います。
石段を上がります。
石段の上が見えて来ました。
突き当たりは鐙坂に続く土手です。
振り返って一葉が暮らした路地を見下ろします。菊坂の底です。
上がった所に住所看板があります。
左右の木造三階建て住宅が切り取った空です。
正面を見て、鐙坂へ向かいます。
この話、続きます。