錦糸町の路地です。春の光に包まれた穏やかな土曜日のお昼前です。

3~40年前に流行った「下駄履きマンション」です。2階以上が住居で、1階に店舗が入っています。必ずしも1階の経営者が2階以上の部屋に住んでいる訳ではありません。違うケースの方が多いと思います。

多くの店にシャッターが下りています。

平素なら歩道までテーブルが出されて、店のTVを見ながら、焼き鳥などを食べながらアルコールを飲んでいるおやじが居付いています。時々一斉に歓声が上がります。その時のTV画面は、ゴール前のシーンと決まっています。おやじ達が1日中飲みながら遊ぶ街です。

この通路の先は、錦糸町の場外馬券売り場です。大きな建物が2棟も在ります。

街灯のモニュメントが競馬です。

壁画も馬です。ここは競馬の街です。

今や春のクラシックレース真っ盛りのシーズンなのですが、売り場にはシャッターが下りています。コロナウイルス対策として小池都知事が営業自粛要請を出す前に、JRAは早々と馬券売り場を閉鎖しました。濃密接触施設ですものね。

この状態下一つの実績が報告されました。JRAは全ての競馬場と全国の場外馬券売り場を閉鎖して、さぞかし経営が大変だろうと思っていたら、売上は3割程度しか落ちていないのです。大半の競馬ファンの馬券購入手段は、JRAが30年以上前から進めてきた電話とネット投票にシフトしているのです。3割の売り上げ減は、例えばこの様に大掛かりな全国の場外馬券売り場とか、売り場の人件費とか、発売機代金とかメンテナンス費用とかを無くしてしまえば十分採算が取れます。それに、競馬場での馬券販売が復活したら場外売り場の存在価値は希薄なものになってしまいそうです。
困るのはこの様な飲み屋の経営者とネットが使えないおやじだけなのです。

この度の新型コロナウイルス禍が馬券の売り方を変えるかもしれません。JRAにすれば「瓢箪から駒」です。おやじはどうするのだろうか・・・?