おにぎり2個の里みち歩き 農山漁村の今昔物語

おにぎりを2個持って農村・山村・漁村を歩き、撮り、聞き、調べて紹介。身辺事象もとりあげます。写真・文章等の無断転載禁止

農産物直売所3 農産物直売所は進化する-生活改善グループの無人青空市から企業組合へ-

2010年12月21日 23時42分24秒 | 農村




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 兵庫県赤穂市の「周世(すせ)ふれあい市場」の現在までの経過は次のようである(上の写真)。
(1)生活改善グループ「四つ葉会」誕生:1977(昭和52)年04月
   上郡農業改良普及所の生活改良普及員の指導をうけ、13人の女性農業者が立ち上げて活動開始
(2)「四つ葉会」が集落公民館で無人青空市を開始:1987(昭和62)年
   トシヨリが作った野菜をヨメは使わない
   勤めの帰り、スーパーで買ってくる
   それなら、小さな掘ったて小屋の無人市で、種代でも稼げればいいじゃないか、と合意して無人青空市を始める
(3)「周世ふれあい市場」発足:1999(平成11)年07月
   1997(平成09)年頃になると、地元産の農薬の少ない自分たちが食べている野菜が喜ばれるようになった
   それなら、“直売所を大きくしよう”と集落の80軒に呼びかけ、40人で立ち上げた
   あるのは、やる気だけだった
   “今みたいに、マチから買いに来てくれるわけでもなかった”
(4)新「周世ふれあい市場」発足:2003(平成15)年10月
   2002(平成14)年度の国庫補助のアグリ・チャレンジ事業を導入
   国50%、地元負担50%の総事業費3,500万円
   2003年春、説明会や集落総会などを開き、“ここが拠点となるなら”、“みんなの財産になるなら”と合意される
   出荷者は男性も含み80人に増える
   1戸2人の出荷、たとえばオバーチャンとヨメサンの出荷もある

   2004(平成16)年09月29日、21号台風の水害で、“何もかも駄目になる”
   機械類、モーター類がやられ、「あじさい席」の畳も浮き上がった
   しか、集落の人たちの協力で、同年10月、11月、12月で復旧し、歳末販売にこぎ着けた
   出荷女性や当市場スタッフ女性の口座に預貯金があり、水に浸かった農機具の買い替えに役立った
   それゆえ、夫たちは見直し、大根ひき、籾摺りなど出荷に協力するようになる
(5)企業組合に再編:2006(平成18)年10月06日登記
   2006年06月15日に発起人会設立
   同年09月15日、兵庫県から企業組合の設立認可が出る
   県内にある5つの企業組合のうち、最初に設立された
   27人で発足し、2人加入して29人で活動中

 筆者は、上記の経過、スタッフの話を聞き、資料を読み、次のように考える。
  ①生活改善グループ「四つ葉会」の皆様の意欲とアイディアが、このブログで紹介済みの特徴ある「周世ふれあい市場」を生む
  ②グループ員の意欲とアイディアはさらに進展
   「周世ふれあい市場」を法人格をもつ企業組合に再編
   スタッフが技術・技能、資本を出し合い自分たちの働く場を創り、営業中
  ③国、兵庫県、農協、赤穂市役所などの支援が大きい
   とりわけ、農家や農村の生活改善を担ってきた生活改良普及員の支援が大きく、見逃せない

 現在、生活改良普及員は農業改良普及員(農業技術の普及指導や農業経営の改良などを担った。)とともに普及指導員に統一され活動中
 普及指導員は、たとえば、兵庫県では各県民局の農業改良普及センター(当市場を支援するのは光都農業改良普及センター)に配属されている

 皆様がお立ち寄りになる農産物直売所は、都道府県職員である普及指導員、特に生活部門の普及指導員(以前は生活改良普及員)の支援により成り立っていることをお忘れなく

 執筆・撮影者:有馬洋太郎 撮影年月日:2010年12月13日 撮影地:兵庫県赤穂市周世
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