

写真1 女将さんが豆腐造り道具を、浜の川湧水で洗っている

写真2 1週間に1回土曜日に造る豆腐 1丁130円
浜の川湧水は、今も地元の人たちの暮らしや商いに重宝がられている。
湧水の脇に「手造り浜の川豆腐」林田商店がある。ポリバケツを持って買いに来る女性、昼食の豆腐を買いに来る女性など、店はしばしお喋りの場となる。“まちの豆腐屋さん”。
筆者も店に入り、1丁130円の豆腐を賞味。まろやかな味。
さて、豆腐造りをご主人(以下、夫と記す。)と女将さん(以下、妻と記す。)に聞くと次のよう。なお、夫は昭和8年(1933)生まれ。
<こんちわー> 夫:はい。
<この豆腐は、ここの水で造ってるんですか> 夫:そうですよ。
<ここの水で> 妻:はい。
<ここで食べても、かまわないですかね、豆腐1丁> 妻:食べるんですの、わー、びっした、ほんと。
<わたしゃ、醤油も何も要らんですから、はい> 妻:えっ、
<醤油も何も、そんままでいいですから> 妻:そのままでー、
<わたしゃ、何もつけんで食べる主義ですから> 妻:ねっ、ほんとよ、ねっ、味は、ほんとの味はねっ。
<醤油をつけるとね、醤油に負けるんですよね、刺身にしても、なんにしても> 妻:そげん言われます、包丁の形も入れたらいかんて言われたよ、前、も、切らんで、そのまま食べたいて。
<すいませんが、1丁、せっかく来たんで> 妻:こんままでいいですか。
<いいです、かまいません> 妻:じゃ、お箸もって来ます。
<無理なお願いですいません、いくらですかね> 妻:130円
<いいですねー> 夫:どこから、いらしたとですか
<埼玉です。写真撮って歩いてんですよ。島原が湧水群って知らんかったもんで、急遽> 夫:えー。どうぞ。妻:最初ごろ、来たごろはよ、お客さんに、“食べさしてください”って言われて。
<うん、でしょー> 妻:うんー、食べられてた。
<はい、はい。いただきます> 夫:はい、どうぞ。
<まず、写真撮らしてくださいね(写真2)> 夫:ここは、だいぶ、NHKも、ここ来たとですよ。
<でしょ> 夫:はい、なんー回も来た。
<でしょ> 夫:はい。
<たぶん、この近くにあるから、この水使ってると思ってね> 妻:違うでしょうね、おいしさも、大豆も国産使ってるから。
<あー、いいですねー> 妻:で、福岡に送ってるんですよね、宅配
<宅配で> 妻:うん、ほしたら、そんな豆腐はね、向こうにないってゆうの、ここのような。
<そうでしょうね> 妻:いくら高いと出してもね、やっぱ、ここの味はないって。
<そうです、そうです、いただきます> 妻:ちょっとぬくめたら、またおいしいですよ。
<うん、柔らかくて、まろやかで> 妻:うちのとは、なお、よーぶんなか(?)、鍋に入れたら、トローンとなります。
<今もトローンとして> 妻:ほんと、醤油かけんでいいですかー。
<よかです、美味しいですよ> 妻:ネギとか、削りぶしとか、かけて食べないで(いいんですか)。今ね、このまま、お皿入れてチンしたら、美味しいですよ、また。
<これでも、美味しいですよ> 妻:冷たい。
<冷たいかーと思ったら、ぬっかか> 妻:でも、水がね、ぬくいからね、外が寒いけん、夏は冷たいし。
<はい> 妻:なにしろ1週間に1回ですから、造るのは。土曜日だけです、1週間に 1回。
<豆腐は> 妻:もとは、まいひ(毎日)してました。もー、歳とってきたら無理です。
<そうですね、1週間に1回> 妻:はい、1週間に。
<土曜日> 妻:はい、土曜日。
<朝3時くらいに起きてですか> 夫:そうです。妻:はい、そうですね。だいたい、夕方に拵えとってよ、そうせんと、近所迷惑や、機械の音とかでね。
<あー、そうか> 妻:よる(夜)して、そして、あたいが朝3時とかに起きて、ガンモとかの仕込み。
<あー、仕込みをするわけだ> 妻:いろいろと。
<夕方には造ってあるわけですか> 妻:はい、造って。
<そして、ここ、水槽に入れて(写真2)> 妻:ほいで、今度は、屑で、カド(角)とかをね、拵えてガンモにするの。
引用・参考文献等:当ブログ2012年3月3日・同月4日
執筆・撮影者:有馬洋太郎 撮影年月日:2012年02月18日 撮影地:長崎県島原市