寒さは幾分和らいだが、二月の始めだからまだ朝の空気は冷たい。着ぶくれおじさんおばさんのせいか四人掛けの席がいつもよりきつく感じられた。
素人の考えも馬鹿にはならないと我ながら感心している。勿論、自分の考えに近い専門家の考えを人間は高く評価しがちなのでその分は差し引かねばならない。
金子勝そして児玉龍彦と聞いてどのような人物を思い浮かべられるであろうか。金子さんは経済学者でマスコミにも登場することがあるのでかなり知られているだろう。児玉さんも希にマスコミに登場するのでご存じの方も居るかも知れない。医療関係の人なら、あの先生かと膝を打つ人も多いだろう。私は、このお二人は世のしがらみから自由に考え発言される希有な人物で、優れた能力は勿論だが、何よりもその人間が信用信頼できると思っている。
そのお二人の共著「日本病・・長期衰退のダイナミクス」と言う新書が岩波から出た。なぜ児玉さんが共著者かと訝る人もおられるだろうが、児玉さんは医師として、また広い視野を持つ自然科学研究者として日本病を鋭く捉え分析しておられる。
この本に書いてあることを、私もこれほど深く精緻にではないが、この数年の政治観察から考えていたので、私の様な素人の観察思考もまんざらではないと妙な自信も感じた。
内容は難しい本ではないし高価ではないので是非読んで戴き、ご自分で評価して戴きたい。テレビ新聞に登場する数多いエコノミストや政治評論家とは一線を画した内容だが、心の奥では金子さんや児玉さんのように考えているエコノミストや評論家は多いのではないかと思う。