駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

ドジや背任で大切なことは

2016年02月16日 | 町医者診言

            

 寒波の予報だったが、さほどではなく二月も半ば、春を感じさせる日差しの中を出勤してきた。

 ネットの記事によると、埼玉県所沢市で8日夜に発生した31階建て高層マンションの火災で、消火作業に当たった消防士が、上層階に水を送る連結送水管につなぐはずのホースを誤って地下向け送水口に接続し、マンションの地下設備の一部が水浸しになっていたことが分かった。すぐにつなぎ直したため、消防局は「現時点で消火作業に影響はなかった」としている。だが、地下トランクルーム内にあった住民の荷物などが水浸しになり、住民から抗議が寄せられている。消防局は例によって現在調査中と解答しているようだが、当然責任が発生し補償問題になるだろう。この不注意消防士にどの程度の罰則があるだろう。

 これで思い出すのは四十年?前に起きた麻酔の酸素と笑気のホース接続ミスだ。正確には覚えていないが患者さんが亡くなり、医師と看護師が訴えられ刑罰が下ったと思う。

 こうした事故でいつも考えることはフールプルーフの重要性だ。フールプルーフというのは機器の設計での考え方の一つで、利用者 が操作や取り扱い方を誤っても危険が生じない、あるいは、そもそも誤った操作や危険 な使い方ができないような構造や仕掛けを設計段階で組み込む手法だ。

 実際にどのような送水口になっていたのか、間違えた消防士がどの程度の能力だったのか、わからないので、結論的なことは言えないが、このドジを大きな教訓にしなければならないのは確かで、マスコミに公開されたことは良かった。

 こうした単純ミスから仕組まれた組織や政治家の背任まで、一番大切なことはきちんと検証し教訓を形にして生かすことだ。言葉巧みな言い訳や口先陳謝でのすり抜けを許してはならない。言葉でまやかされては我々のフールをプルーブすることになりかねない。

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