古今東西、真剣勝負で最も強かったのではないかと言われる剣豪宮本武蔵の言葉に「我事において後悔せず」というのが伝えられている。額面通り素直に後悔することがなかったのから、類推で全力を尽くしたから後悔しないことにしていたまでいろいろな解釈がある。
ちょっと意地悪くわざわざこうした言葉を残すとは武蔵というのはよほど後悔の多い人だったに違いないというのまである。
果たしてこの言葉をどう受け取ればよいのだろうか。確かなことは凡人が達人の言葉を解釈するのは容易ではないということだろう。別の言い方をすればあまり参考にならないとも言える。武蔵には吉川武蔵のイメージが付きまとうが、実像はちょっと違った気がする。達人は日常では達人ではないことが多いと思うのだが、その辺りは脚色されやすい。
なんで後悔などと書いたかというと、何十年患者さんを診ていてもああすれば良かったという後悔があるからだ。反省は力を付けるのに必須で、反省しない医師は上達しないが、後悔というのは反省とは微妙に違う。後悔が臨床医として上達するのに必須がどうか分からないが、並みの医者の臨床には後悔が付きまとう。
一昨昨日亡くなったHさん、先週末に家族に集まるように言っておけばよかった。