寒さが和らいできた。朝の空気は冷たいのだが、刺すような厳しさはなく、どこか日差しに微かな春を感ずる。北国の人には、寒さはまだこれから、冗談もほどほどにと言われてしまうかも知れない。
医師会の会合で近隣の先生方と話していたら、年末に某病院で一年目の研修医が腹膜炎を見逃す事故があったらしい。幸い?マスコミに騒がれることなく済んだようだ。ちゃんと診察しないからだというのが居合わせた五十代六十代の医師の声だった。CTなど取らなくても腹を触れば分かるだろうと消化器のS先生はアルコールのせいもあってか声を荒げていた。何でも直ぐ検査するが、肝腎の解釈読影できなければ意味がない。どうも、一番肝腎な上級医の眼が忙しかったのか届いていなかったようだ。
時代が違うと言われればそれまでかも知れないが、三十年四十年前は研修医はこき使われ、それで仕事を覚えていった側面があった。勿論、事故もあったとは思うが、騒ぎになる時代ではなかった。今は研修医も救急外来は月に二回程度らしく、それでは仕事を覚えられないというのが大方の声だった。結局、今は研修医に何とかして来て欲しい病院ばかりで、研修医様々になっているのがいかんということになった。
どうも昔はと言う古参の言葉で話半分に聞いた方がよいようだが、厳しい辛いという評判では研修医が寄りつかない時代なのは確かのようだ。どうしたものかねと首を傾げることになる。