問題発言かも知れないが、地方色にも色々あると実感する。今でも医局に入った医師は地方病院に出張させられる。まあ、させられるという表現が適当かどうか分からないが、とにかく自分の望まない病院にも行かされる。そうして、あちこち回り、最終的に当地に辿りついたというか定着した医師に聞かされる台詞に、ここは良いところですねというのがある。食べものが旨いのか美人が多い?のか、どうしてですかと聞くと、怒鳴る患者が居ないと言われる。確かに皆無ではないが怒鳴る患者さんというのは一年に一人いるかどうか、まあ二年に一人くらいのものだろう。
それが例えば大阪東南当たりだと、殆ど毎日のように怒鳴る患者さんが居て、うんざりするそうだ。まあ、それも文化かも知れないが、確かに嫌だろうなと思う。
先日、近くの道路工事現場に大阪から仕事に来たおっさんが風邪っぽいとやってきた。診察した時点では37Cの微熱でちょっと咽頭に発赤を認めるが、関節痛や倦怠感も乏しく、今インフルエンザの検査しても陽性にはでないので、咽頭炎と思いますと軽めの鎮痛解熱剤を渡して返した。
ところが翌日受付で「何やこの薬、何にも効かへんやないか、夜熱が出て眠れえへんかった」と大声がする。看護師が受け付けさんが大変ですと呼びに来た。しょうがないので、私が対応に出て、みっともないことに怒鳴りあいになった。なんとか納まり検査をしたところ、インフルエンザであった。説明をしてタミフルを出してお引き取り願った。他の患者さんに耳元で「先生も大変ですね」とエールを戴いた。職員からは、大阪の人に悪いが、もう大阪弁は聞きたくないという感想が出た。ちなみに地元の患者さんであれば、ごめんなさい、最初は区別が難しいものですからで納得して戴ける。
これは極端な例かも知れないし、そうした地方では騒ぎ立てるほどのことではないかも知れないが、慣れていない私は楽しくない思いをした。