時折雨をもたらす灰色の雲がシルバーストン上空を覆っ
た9日(土)、2016年FIA F1世界選手権第10戦イギリスGP
予選が実施され、メルセデスのハミルトンが母国レース
を前にポールポジションを獲得した。
初日を含め、フリー走行はすべてハミルトンが制しており、
チームメイトのロズベルグがそれに続く。ロズベルグは金
曜日の後半は水漏れのトラブルで走行がかなわなかった
ものの、最初と最後のフリー走行ではハミルトンと100分
の数秒を争う接戦を繰り広げている。また、ここ最近、ギ
アボックストラブルに苦しむフェラーリのベッテルはイギリ
スでも問題を抱えてしまい、新品との交換を強いられた
結果、5グリッド降格処分を受けることになった。
さらに、土曜フリー走行で激しいクラッシュを喫したザウ
バーのエリクソンは衝撃の激しさを踏まえてサーキットか
ら病院に向かい、義務付けられている”通常の検査”を
受けていたが、予選までにサーキットに戻って来られな
かったため、予選に参加できていない。エリクソンもギア
ボックスを搭載することになり、5グリッド降格ペナルティ
を科せられたが、いずれにせよスチュワードの判断でレ
ース出走が認められれば最後尾スタートとなる予定だ。
曇り空ながらドライコンディションに恵まれた予選は気温
20℃、路面温度25℃、湿度79%。ピットレーンの信号が
青に変わり、Q1が始まるとマノー勢を筆頭に半数ほどの
マシンがコースに向かう。メルセデスの2人はソフトタイヤ
を履いて一気にスピードに乗ると、1分30秒台を刻んでロ
ズベルグ、ハミルトンの順で1-2体勢を築いた。ここでも2
人のギャップは0.015秒しかなく、この時点で3番手以下
には3秒以上のリードを誇っている。
最初のアタックが完了した段階でメルセデスに次いでレ
ッドブルとフェラーリが上位に並び、逆にノックアウトゾー
ンにはルノーやマノーのドライバーが名を連ねた。
マクラーレンのバトンはエンドプレートに不具合があった
ようで、その修正に時間を要したためにQ1最後のアタッ
クを走れず、ライバルたちがタイムを更新した結果、そ
れまでに刻んでいたベストタイムが17番手に後退してし
まう。予選Q1突破のラインはわずか0.05秒。悔しさをに
じませるバトンはマシンを降りて体重測定に向かうも、
リプレイ映像でルノーのマグヌッセンがウッドコートコー
ナーで4輪すべてコース外に出てしまうシーンが流された
ため、いったんはガレージに戻って走行の準備を始めた
が、結局、バトンのQ1敗退は変わらず、ルノーのパーマ
ー、マノーのハリアントとウェーレイン、ザウバーのナッ
サーと共に予選を終えた。
Q2ではメルセデス勢が1分29秒台にペースを上げてくる
が、他のドライバーは近づけず、フェルスタッペンが1分
30秒697を刻んだのが一番近いタイムだ。
フェラーリがなんとかメルセデスに食らいつこうと、一度
目のアタックで4番手につけたベッテルにも2度目のクイ
ックラップを走らせたが、自己ベストを更新しながらもポ
ジションアップにはつなげられず、ベッテルは4番手のま
ま。一方、ライコネンはタイヤをロックアップしたりスピン
を喫したりとリズムに乗れていない様子で、ウッドコート
を飛び出すシーンも見られたが、6番手の位置で予選ト
ップ10入りを確実にした。
上位勢がレースを見据えてタイヤを温存する中、Q2で
姿を消すことになったのは11番手のペレス(フォース・イ
ンディア)以下、ウィリアムズのマッサ、ハースF1のグロ
ージャンとグティエレス、トロ・ロッソのクビアト、ルノーの
マグヌッセンだった。
ポールシッタ―が決するQ3はメルセデスコンビが先陣を
切り、1分29秒台の好タイムを記録するも、ハミルトンは
コブスで4輪がコース外に出てしまい、タイムが抹消され
ている。暫定トップに立った僚友を含めてライバルたちが
ペースアップに苦戦する中、最後の一発にかけたハミル
トンはポールタイムとなる1分29秒287をたたき出してサ
ーキットに詰めかけたファンの大歓声を浴びた。
最終的にロズベルグが2番手につけ、フェルスタッペンが
3番手に並んでいる、4番手以下はリカルド、ライコネン、
ベッテル、ボッタス(ウィリアムズ)、サインツ(トロ・ロッソ)
ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)、アロンソとなった
が、ベッテルはグリッドペナルティーが適用されるため、
スターティンググリッドは11番に後退する見込み。ボッタス
から予選11番手だったペレスまで、スタート位置がひとつ
ずつ繰り上がる。
マクラーレン・ホンダのアロンソ、ここ高速コースのサーキ
ットで10番手、バトンは不運なリアウィングのトラブルで17
番手ですが、アップデートしたホンダエンジンでダブル入賞
に期待しましょう!