27日(日)、レッドブル・リンクを舞台に開催されたシーズン第8戦シュタイアーマルクGP決勝レースはレッドブルのフェルスタッペンが安定の走りでポール・トゥ・ウインを飾った。
例年、大接戦が繰り広げられるレッドブル・リンクの予選は下馬評通りにレッドブルとメルセデスを中心に100分の数秒が競われるも、ポールポジションを争うQ3ではチームの母国グランプリに挑むフェルスタッペンが1分03秒841をたたき出し、ライバルたちを引き離す格好で一番時計を刻んでいる。2番手には0.194秒差でボッタス(メルセデス)がつけたが、初日のフリー走行中にピットレーンでスピンを喫したインシデントが危険行為と見なされ、3グリッド降格処分を受けていたため、決勝レースは5番手スタートを強いられた。予選3番手だった僚友ハミルトンがフロントローに繰り上がり、チャンピオンシップライバルでもあるフェルスタッペンとのスタート勝負に挑んでいる。
また、予選Q3でボッタスの走行を妨害する格好となった角田(アルファタウリ)が3グリッド降格ペナルティを科されて11番グリッドに後退。キャリア2度目のQ3進出を果たしたにもかかわらず、トップ10圏外からのスタートとなる角田だが、オーバーテイク機会のあるコースで巻き返しを図った。
ピレリはレッドブル・リンクで行われる2連戦の初週にあたるシュタイアーマルクGPにC2からC4のドライタイヤを用意しており、フェルスタッペンとハミルトン――スタート位置が後退したもののボッタスも――は予選Q2のベストタイムをミディアムタイヤで記録、2列目に並ぶマクラーレンのノリスとレッドブルのペレスはソフトを履いて第1スティントを走るため、蹴り出しの攻防戦に注目が集まった。
全長4.318kmを誇るレッドブル・リンクは10個しかないコーナー数の少なさも相まって、カレンダーの中でも1周のラップタイムが速いコース。決勝レースは71周で争われ、雨予報もあったものの、青空が見える中、気温26.5℃、路面温度53.3℃、湿度33.2%のドライコンディションでフォーメーションラップが始まる。角田のペナルティによって10番手スタートに繰り上がったウィリアムズのラッセルは新品のミディアムタイヤを選び、それ以外の後続勢もほとんどがミディアムタイヤを履いていたが、18番グリッドに並ぶアルファロメオ・レーシングのライコネンだけはハードタイヤで第1スティントに臨んでいる。
注目の蹴り出しはフェルスタッペンがうまくハミルトンの前に出てターン1を通過し、ハミルトンの後方ではノリスとペレスがサイド・バイ・サイドのバトルを繰り広げ、一度はペレスが先行するもノリスがすぐさまポジションを取り戻す。激戦区の中団グループではフェラーリのルクレールとアルファタウリのガスリーが大きくポジションを落としており、リプレー映像で確認すると、2人はターン1でわずかに接触したあと、2度目の接触でガスリーの左リアとルクレールの右フロントノーズがぶつかっており、走行自体は続けられたものの、ルクレールはフロントウイングにダメージを受け、ガスリーは左リアタイヤにパンクチャーを抱えた様子。ペースが落ちたガスリーは後続車に挟み撃ちされる格好となり、ターン3で左側にいたジョビナッツィ(アルファロメオ・レーシング)と右側にいたラティフィ(ウィリアムズ)とも交錯していた。
この影響でスピンを喫したジョビナッツィはピットに戻ることなくステイアウトしたものの、ルクレール、ラティフィ、ガスリーは緊急ピットインを強いられ、ルクレールはノーズとタイヤを交換して隊列に戻り、ラティフィもタイヤをミディアムからソフトに変えてピットアウトしたが、左リアに激しいダメージを抱えていたガスリーはレースを続けられず、マシンをガレージに入れて無念のリタイアを喫している。
5周目に入って先頭集団のオーダーに大きな変化はなく、フェルスタッペンを先頭にハミルトン、ノリス、ペレス、ボッタスが5番手をキープし、ガスリーやルクレールが離脱した中団グループは6番手にストロール(アストンマーティン)がつけ、アロンソ(アルピーヌ)、ラッセル、リカルド(マクラーレン)、角田が入賞圏内に入っていた。
しかしながら、リカルドが突然のペースダウンで次々にポジションを明け渡し、13番手まで後退してしまう。相棒のノリスもペースが芳しくなく、10周目に入った直後にペレスにかわされ、ボッタスにもオーバーテイクを許して5番手に下がっている。リカルドは無線で「パワーがない。もっとパワーが必要」と訴えており、何かトラブルに見舞われている様子をうかがわせた。
フェルスタッペンはハミルトンに4秒近いリードを築き、ハミルトンとペレスの間には12秒以上のギャップ、ボッタスがペレスの3.4秒後方に控える形でレースは進み、5番手に後退したノリスは前のボッタスから5.5秒の位置でレースを続けるが、ラップタイムはトップ4に比べて1秒以上遅かった。それでも、6番手以降のペースは上回っており、前とのギャップは開くものの、後続車の追い上げはない状況だ。
ノリスのレースを幾分楽にしていたのは6番手以下の隊列の先頭に立っていたストロールの存在がある。思うようにペースが上がらないようで、2秒弱の差でアロンソが控え、真後ろにはラッセル、角田、サインツ、ベッテル、ライコネンが1秒以下のギャップで連なっており、さらにリカルド、オコン(アルピーヌ)、ジョビナッツィも1秒前後の間隔しかなく、20周目に入る頃にはオープニングラップでハードタイヤに交換したルクレールが合流する。
11台が接近戦を繰り広げたその後方ではハースF1の2台がチームメイト対決を披露。ミックがマゼピンのインを突いてオーバーテイクを試みるも、危うく接触しかける冷や汗の展開に。ハースF1はマゼピンにピットストップを指示し、前が開けたミックは追いついてきた先頭集団に道を譲りながらもマイペースにマシンをプッシュしていった。
ルクレールに追い抜かれて16番手を走っていたジョビナッツィがピットに飛び込んだのは24周目。ミディアムからハードタイヤに履き替え、ハースF1勢の間の位置でコースに戻っている。その頃、コース上ではルクレールがオコンを料理して14番手に上がり、続いてリカルドをターゲットに攻撃のチャンスを狙っていた。
ジョビナッツィに次いで中団グループで動きを見せたのはウィリアムズだ。ラッセルをピットに呼び入れ、こちらもミディアムからハードに交換したが、サイドポッド周辺でクルーが作業しており、18.3秒という長いピットストップになった。どうやらサイドポッドに入り込んでいたデブリを除去していたようで、なんとか作業を完了してコースに送り出したとはいえ、入賞圏内には程遠い17番手にまで後退している。
ピットレーンの後方ではレッドブルもペレスのタイヤ交換を完了したが、こちらも4.8秒とスローストップを喫してしまい、直後にピットインしたボッタスがハードタイヤを履いてコースに戻る頃にはペレスの前に出ており、オーバーカットを許してしまう。左リアタイヤの交換に手間取ったようで、ピットアウトを見守った担当クルーは天を仰いで悔しさをにじませていた。その他、中団グループの面々もピットストップを終えて隊列に復帰し、ハミルトンがピットに入った次の30周目にはラップリーダーのフェルスタッペンもハードタイヤに切り替えている。
ソフトタイヤでスタートしたドライバーの中で最後にピットインしたノリスは32周目にハードタイヤに交換し、まだ第1スティントを継続するドライバーの間でコース復帰した。フェルスタッペン、ハミルトン、ボッタス、ペレスのオーダーに変わったトップ4に次ぐ5番手にはサインツがつけ、ノリスを挟んでライコネン、リカルドと続くが、ノリスの前後3人がスタートと同じタイヤを履き続けている面々だ。サインツとノリスの間には10秒ほどのギャップがあり、マクラーレンとしてはノリスが本来のペースで走れる位置につけられたと言えるだろう。
スタートで唯一、ハードタイヤを選んだライコネンは7番手の位置から38周目にピットに入り、ミディアムに履き替えてコース復帰、チームメイトのジョビナッツィの後方14番手で第2スティントをスタートさせた。その後、フェラーリのピットに動きがあり、ステイアウトするサインツが入ってくるかと思われたが、ルクレールが2回目のピットストップに臨んで新しいミディアムタイヤを装着している。同じタイミングでピットに向かったラッセルはリアからマシンをガレージに入れて戦線離脱。デブリを拾った影響か、レースを続けられない状態に陥ってしまったようだ。
サインツとリカルドはともに42周目に最初で最後のピットストップを終えており、2人ともハードタイヤに交換したものの、戻った位置はサインツが7番手に対してリカルドは15番手だ。ピットストップ前はサインツが5番手、リカルドが8番手だったが、ストロール以下が団子状態とあってリカルドはその行列の最後尾につけることになってしまった。サインツはストロールの前でコース復帰したかったはずだが、わずかにおよばず、第2スティントの序盤は本来のペースを発揮できなかったものの、3周でオーバーテイクを成功させて6番手に上がっている。
ラップリーダーを維持するフェルスタッペンは6秒以上のリードを築いてペースをコントロールしており、ハミルトンはフェルスタッペンよりもコンマ数秒遅いペースながら1分08秒台を刻んで懸命にマシンをプッシュしたものの、逆転につなげられるパフォーマンスを見いだせず、「どうすればいい。ギャップは縮まらないし、開いていく」と嘆くシーンもあった。僚友に23秒以上の後れを取ったボッタスは1.5秒後方にペレスを抱える状態が続き、ラップタイムは上位2人より0.5秒ほど遅かった。
ペレスから34秒以上離れた位置をノリスが走り、そこから12秒ほど後ろにサインツが控えたレース終盤、7番手のストロールを追い抜けずにいたアロンソや角田の後方にルクレールが迫ってくる。ルクレールはアルファロメオ・レーシングの2台をオーバーテイクした後、ベッテルも料理して10番手に上がっており、急きょとはいえ2ストップ戦略になったことを最大に生かして追い抜きを連発していた。一度は角田に攻撃を仕掛けるも、うまく防御されて仕切り直し。2度目のチャレンジで成功させたルクレールは前のアロンソをロックオンすると、今度は早々と追い抜いて8番手にポジションを上げている。
一方、ボッタスとの差を縮めながらもDRSゾーンには食い込めずにいたペレスの状況を踏まえ、レッドブルがペレスをピットに呼び入れ、新しいミディアムタイヤを履かせてコースに送り出す。後続とのギャップが大きく開いていたことからフリーストップが可能とあって、ファステストラップの1点をもぎ取りに行く姿勢を見せた。フレッシュタイヤを履いたペレスはボッタスの15秒ほど後ろでコースに戻ったが、ラップタイムは1秒近く速く、その差は徐々に縮まっていき、終了直前の逆転劇を予感させる走りを披露する。
1分07秒894のファステストラップを刻んだペレスは残り5周を迎えてボッタスとの差を7秒強に短縮し、1秒以上速いペースで追い上げていったものの、紙の上ではボッタスを上回るには数周足りない状況だった。
フェルスタッペンとの勝負を断念したメルセデスは70周目に入るタイミングでハミルトンをピットに呼び入れ、ユーズドのソフトタイヤを履かせてコースに送り出す。接戦の今年は1点でも多く手に入れることが重要であるため、ファステストラップを更新しようと動いたようだ。
フェルスタッペンがトップチェッカーを受けた後、1分07秒058のファステストラップを刻んだハミルトンが2位でゴールし、ペレスの猛追を振り切ったボッタスが3位で表彰台に上っている。ペレスは0.527秒足りずに4位にとどまり、5位にノリス、サインツ、ルクレール、ストロール、アロンソ、角田が10位に入ってポイントを獲得した。
終盤にベッテルを追い抜いてポジションを上げたライコネンが11位、以下、ベッテル、リカルド、オコン、ジョビナッツィ、ミック、ラティフィ、マゼピンが完走を果たしている。
ホンダPU勢のフェルスタッペンが4連勝、ペレスが4番手、角田が10位ポイント獲得、ガスリーは残念ながらリタイヤとなりましたが、次戦レッドブルリンクでの第9戦オーストリアGPには、フェルスタッペンの5連勝、ホンダPU勢の表彰台独占を見てみたいですね!
例年、大接戦が繰り広げられるレッドブル・リンクの予選は下馬評通りにレッドブルとメルセデスを中心に100分の数秒が競われるも、ポールポジションを争うQ3ではチームの母国グランプリに挑むフェルスタッペンが1分03秒841をたたき出し、ライバルたちを引き離す格好で一番時計を刻んでいる。2番手には0.194秒差でボッタス(メルセデス)がつけたが、初日のフリー走行中にピットレーンでスピンを喫したインシデントが危険行為と見なされ、3グリッド降格処分を受けていたため、決勝レースは5番手スタートを強いられた。予選3番手だった僚友ハミルトンがフロントローに繰り上がり、チャンピオンシップライバルでもあるフェルスタッペンとのスタート勝負に挑んでいる。
また、予選Q3でボッタスの走行を妨害する格好となった角田(アルファタウリ)が3グリッド降格ペナルティを科されて11番グリッドに後退。キャリア2度目のQ3進出を果たしたにもかかわらず、トップ10圏外からのスタートとなる角田だが、オーバーテイク機会のあるコースで巻き返しを図った。
ピレリはレッドブル・リンクで行われる2連戦の初週にあたるシュタイアーマルクGPにC2からC4のドライタイヤを用意しており、フェルスタッペンとハミルトン――スタート位置が後退したもののボッタスも――は予選Q2のベストタイムをミディアムタイヤで記録、2列目に並ぶマクラーレンのノリスとレッドブルのペレスはソフトを履いて第1スティントを走るため、蹴り出しの攻防戦に注目が集まった。
全長4.318kmを誇るレッドブル・リンクは10個しかないコーナー数の少なさも相まって、カレンダーの中でも1周のラップタイムが速いコース。決勝レースは71周で争われ、雨予報もあったものの、青空が見える中、気温26.5℃、路面温度53.3℃、湿度33.2%のドライコンディションでフォーメーションラップが始まる。角田のペナルティによって10番手スタートに繰り上がったウィリアムズのラッセルは新品のミディアムタイヤを選び、それ以外の後続勢もほとんどがミディアムタイヤを履いていたが、18番グリッドに並ぶアルファロメオ・レーシングのライコネンだけはハードタイヤで第1スティントに臨んでいる。
注目の蹴り出しはフェルスタッペンがうまくハミルトンの前に出てターン1を通過し、ハミルトンの後方ではノリスとペレスがサイド・バイ・サイドのバトルを繰り広げ、一度はペレスが先行するもノリスがすぐさまポジションを取り戻す。激戦区の中団グループではフェラーリのルクレールとアルファタウリのガスリーが大きくポジションを落としており、リプレー映像で確認すると、2人はターン1でわずかに接触したあと、2度目の接触でガスリーの左リアとルクレールの右フロントノーズがぶつかっており、走行自体は続けられたものの、ルクレールはフロントウイングにダメージを受け、ガスリーは左リアタイヤにパンクチャーを抱えた様子。ペースが落ちたガスリーは後続車に挟み撃ちされる格好となり、ターン3で左側にいたジョビナッツィ(アルファロメオ・レーシング)と右側にいたラティフィ(ウィリアムズ)とも交錯していた。
この影響でスピンを喫したジョビナッツィはピットに戻ることなくステイアウトしたものの、ルクレール、ラティフィ、ガスリーは緊急ピットインを強いられ、ルクレールはノーズとタイヤを交換して隊列に戻り、ラティフィもタイヤをミディアムからソフトに変えてピットアウトしたが、左リアに激しいダメージを抱えていたガスリーはレースを続けられず、マシンをガレージに入れて無念のリタイアを喫している。
5周目に入って先頭集団のオーダーに大きな変化はなく、フェルスタッペンを先頭にハミルトン、ノリス、ペレス、ボッタスが5番手をキープし、ガスリーやルクレールが離脱した中団グループは6番手にストロール(アストンマーティン)がつけ、アロンソ(アルピーヌ)、ラッセル、リカルド(マクラーレン)、角田が入賞圏内に入っていた。
しかしながら、リカルドが突然のペースダウンで次々にポジションを明け渡し、13番手まで後退してしまう。相棒のノリスもペースが芳しくなく、10周目に入った直後にペレスにかわされ、ボッタスにもオーバーテイクを許して5番手に下がっている。リカルドは無線で「パワーがない。もっとパワーが必要」と訴えており、何かトラブルに見舞われている様子をうかがわせた。
フェルスタッペンはハミルトンに4秒近いリードを築き、ハミルトンとペレスの間には12秒以上のギャップ、ボッタスがペレスの3.4秒後方に控える形でレースは進み、5番手に後退したノリスは前のボッタスから5.5秒の位置でレースを続けるが、ラップタイムはトップ4に比べて1秒以上遅かった。それでも、6番手以降のペースは上回っており、前とのギャップは開くものの、後続車の追い上げはない状況だ。
ノリスのレースを幾分楽にしていたのは6番手以下の隊列の先頭に立っていたストロールの存在がある。思うようにペースが上がらないようで、2秒弱の差でアロンソが控え、真後ろにはラッセル、角田、サインツ、ベッテル、ライコネンが1秒以下のギャップで連なっており、さらにリカルド、オコン(アルピーヌ)、ジョビナッツィも1秒前後の間隔しかなく、20周目に入る頃にはオープニングラップでハードタイヤに交換したルクレールが合流する。
11台が接近戦を繰り広げたその後方ではハースF1の2台がチームメイト対決を披露。ミックがマゼピンのインを突いてオーバーテイクを試みるも、危うく接触しかける冷や汗の展開に。ハースF1はマゼピンにピットストップを指示し、前が開けたミックは追いついてきた先頭集団に道を譲りながらもマイペースにマシンをプッシュしていった。
ルクレールに追い抜かれて16番手を走っていたジョビナッツィがピットに飛び込んだのは24周目。ミディアムからハードタイヤに履き替え、ハースF1勢の間の位置でコースに戻っている。その頃、コース上ではルクレールがオコンを料理して14番手に上がり、続いてリカルドをターゲットに攻撃のチャンスを狙っていた。
ジョビナッツィに次いで中団グループで動きを見せたのはウィリアムズだ。ラッセルをピットに呼び入れ、こちらもミディアムからハードに交換したが、サイドポッド周辺でクルーが作業しており、18.3秒という長いピットストップになった。どうやらサイドポッドに入り込んでいたデブリを除去していたようで、なんとか作業を完了してコースに送り出したとはいえ、入賞圏内には程遠い17番手にまで後退している。
ピットレーンの後方ではレッドブルもペレスのタイヤ交換を完了したが、こちらも4.8秒とスローストップを喫してしまい、直後にピットインしたボッタスがハードタイヤを履いてコースに戻る頃にはペレスの前に出ており、オーバーカットを許してしまう。左リアタイヤの交換に手間取ったようで、ピットアウトを見守った担当クルーは天を仰いで悔しさをにじませていた。その他、中団グループの面々もピットストップを終えて隊列に復帰し、ハミルトンがピットに入った次の30周目にはラップリーダーのフェルスタッペンもハードタイヤに切り替えている。
ソフトタイヤでスタートしたドライバーの中で最後にピットインしたノリスは32周目にハードタイヤに交換し、まだ第1スティントを継続するドライバーの間でコース復帰した。フェルスタッペン、ハミルトン、ボッタス、ペレスのオーダーに変わったトップ4に次ぐ5番手にはサインツがつけ、ノリスを挟んでライコネン、リカルドと続くが、ノリスの前後3人がスタートと同じタイヤを履き続けている面々だ。サインツとノリスの間には10秒ほどのギャップがあり、マクラーレンとしてはノリスが本来のペースで走れる位置につけられたと言えるだろう。
スタートで唯一、ハードタイヤを選んだライコネンは7番手の位置から38周目にピットに入り、ミディアムに履き替えてコース復帰、チームメイトのジョビナッツィの後方14番手で第2スティントをスタートさせた。その後、フェラーリのピットに動きがあり、ステイアウトするサインツが入ってくるかと思われたが、ルクレールが2回目のピットストップに臨んで新しいミディアムタイヤを装着している。同じタイミングでピットに向かったラッセルはリアからマシンをガレージに入れて戦線離脱。デブリを拾った影響か、レースを続けられない状態に陥ってしまったようだ。
サインツとリカルドはともに42周目に最初で最後のピットストップを終えており、2人ともハードタイヤに交換したものの、戻った位置はサインツが7番手に対してリカルドは15番手だ。ピットストップ前はサインツが5番手、リカルドが8番手だったが、ストロール以下が団子状態とあってリカルドはその行列の最後尾につけることになってしまった。サインツはストロールの前でコース復帰したかったはずだが、わずかにおよばず、第2スティントの序盤は本来のペースを発揮できなかったものの、3周でオーバーテイクを成功させて6番手に上がっている。
ラップリーダーを維持するフェルスタッペンは6秒以上のリードを築いてペースをコントロールしており、ハミルトンはフェルスタッペンよりもコンマ数秒遅いペースながら1分08秒台を刻んで懸命にマシンをプッシュしたものの、逆転につなげられるパフォーマンスを見いだせず、「どうすればいい。ギャップは縮まらないし、開いていく」と嘆くシーンもあった。僚友に23秒以上の後れを取ったボッタスは1.5秒後方にペレスを抱える状態が続き、ラップタイムは上位2人より0.5秒ほど遅かった。
ペレスから34秒以上離れた位置をノリスが走り、そこから12秒ほど後ろにサインツが控えたレース終盤、7番手のストロールを追い抜けずにいたアロンソや角田の後方にルクレールが迫ってくる。ルクレールはアルファロメオ・レーシングの2台をオーバーテイクした後、ベッテルも料理して10番手に上がっており、急きょとはいえ2ストップ戦略になったことを最大に生かして追い抜きを連発していた。一度は角田に攻撃を仕掛けるも、うまく防御されて仕切り直し。2度目のチャレンジで成功させたルクレールは前のアロンソをロックオンすると、今度は早々と追い抜いて8番手にポジションを上げている。
一方、ボッタスとの差を縮めながらもDRSゾーンには食い込めずにいたペレスの状況を踏まえ、レッドブルがペレスをピットに呼び入れ、新しいミディアムタイヤを履かせてコースに送り出す。後続とのギャップが大きく開いていたことからフリーストップが可能とあって、ファステストラップの1点をもぎ取りに行く姿勢を見せた。フレッシュタイヤを履いたペレスはボッタスの15秒ほど後ろでコースに戻ったが、ラップタイムは1秒近く速く、その差は徐々に縮まっていき、終了直前の逆転劇を予感させる走りを披露する。
1分07秒894のファステストラップを刻んだペレスは残り5周を迎えてボッタスとの差を7秒強に短縮し、1秒以上速いペースで追い上げていったものの、紙の上ではボッタスを上回るには数周足りない状況だった。
フェルスタッペンとの勝負を断念したメルセデスは70周目に入るタイミングでハミルトンをピットに呼び入れ、ユーズドのソフトタイヤを履かせてコースに送り出す。接戦の今年は1点でも多く手に入れることが重要であるため、ファステストラップを更新しようと動いたようだ。
フェルスタッペンがトップチェッカーを受けた後、1分07秒058のファステストラップを刻んだハミルトンが2位でゴールし、ペレスの猛追を振り切ったボッタスが3位で表彰台に上っている。ペレスは0.527秒足りずに4位にとどまり、5位にノリス、サインツ、ルクレール、ストロール、アロンソ、角田が10位に入ってポイントを獲得した。
終盤にベッテルを追い抜いてポジションを上げたライコネンが11位、以下、ベッテル、リカルド、オコン、ジョビナッツィ、ミック、ラティフィ、マゼピンが完走を果たしている。
ホンダPU勢のフェルスタッペンが4連勝、ペレスが4番手、角田が10位ポイント獲得、ガスリーは残念ながらリタイヤとなりましたが、次戦レッドブルリンクでの第9戦オーストリアGPには、フェルスタッペンの5連勝、ホンダPU勢の表彰台独占を見てみたいですね!