ハンガロリンクで4日(日)に開催された2019年FIA F1世界選手権第12戦ハンガリーGP決勝レースは巧みなタイヤ戦略でレッドブルとフェルスタッペンをしのいだメルセデスのハミルトンが優勝を遂げた。
グリッド全体が接戦の展開となった予選はハンガロリンクのコースレコードを塗り替える1分14秒572をたたき出したレッドブルのフェルスタッペンがメルセデス勢を抑えてポールポジションを獲得。フロントローには0.018秒差のタイムを残したボッタス(メルセデス)が並び、3番手からチャンピオンシップリーダーのハミルトンがスタートしている。
予選14番手だったアルファロメオ・レーシングのジョビナッツィが他車の走行を妨害したとして3グリッド降格処分を受けたため、17番グリッドに降格となり、予選15番手から17番手だったドライバーのスタート位置が繰り上がった。また、ルノーのリカルドは予選で18番手に終わったことから、チームの戦略的判断により新しいパワーユニットのエレメントを投入。エンジンペナルティを受けて最後尾からスタートしている。
タイトでツイスティな特性からオーバーテイクが難しいことで知られる全長4.381kmのハンガロリンクで行われた決勝レースは70周で争われ、気温25.3℃、路面温度40.3℃、湿度36.2%のドライコンディションでスタート時刻を迎えた。レッドブル、メルセデス、フェラーリの6台は予選Q2のベストタイムをミディアムタイヤで記録しており、スタートタイヤはレースに最適と言われるコンパウンドを装着。ピレリはハンガロリンクにC2からC4のドライタイヤを用意しており、レースではミディアムもしくはハードのコンパウンドを使用することが義務付けられている。
抜きにくいハンガロリンクのレースで重要視されたスタートはフェルスタッペンが好発進を決めてメルセデスのカバーにまわるも、メルセデス勢もスムーズに蹴り出しており、ターン1では3台がサイド・バイ・サイドに並んだ。それでも、フェルスタッペンがリードを死守すると、ボッタスとハミルトンがチームメイト同士でポジションを争う展開に。
ハミルトンに先行を許した後、フェラーリの2台にもかわされて2周目には5番手に後退したボッタスは攻防戦の中でマシンにダメージを受けたようで、メルセデスは次のラップでノーズと新しいタイヤを用意してボッタスを迎え入れようと準備していたが、ボッタスはステイアウトを選択。とはいえ、ペースはハミルトンに比べると3秒ほど遅く、マクラーレン勢やその後ろに連なる集団からプレッシャーを受ける。結局、6周目に入るタイミングでピットインし、新しいノーズを装着し、ハードタイヤに履き替えて最後尾で隊列に復帰した。
ボッタス以外ではレッドブルのガスリーがスタート後に6番手から9番手にポジションを落としていたが、ボッタスのピットインで8番手に上がり、目の前にいたライコネン(アルファロメオ・レーシング)やその前のマクラーレン勢を追いかけている。
先頭集団では3番手につけていたルクレール(フェラーリ)のペースが上がらず、徐々にフェルスタッペンとハミルトンに引き離されていく。チームメイトのベッテルも似たようなペースにとどまり、トップ2のラップタイムと比べるとフェラーリ勢は0.6秒ほどペースが遅かった。それでも、5番手以降のマシンよりは1秒ほど速く周回しており、前とのギャップは開くものの後方からのプレッシャーは受けずにすんでいる。
最後尾スタートだったリカルドは15周が終わるまでに15番手までポジションを上げたが、その頃には一時最後尾に下がっていたボッタスも4台をオーバーテイクして16番手を走っていた。2人は1分23秒後半のペースだったハースF1のマグヌッセンをターゲットに定め、リカルドは1分23秒半ば、ボッタスは1分22秒台のラップタイムで追いかけている。先にボッタスがリカルドのリアをとらえたため、ボッタスのペースも前の2台に付き合う格好となった。
その少し前ではトロ・ロッソコンビがチームメイト対決を繰り広げ、先行していたアルボンにクビアトが襲いかかるも、アルボンも見事なパフォーマンスでポジションを奪い返す攻防戦に発展。サイド・バイ・サイドで数コーナーを通過した後、アルボンがコース外に飛び出したスキにクビアトが12番手のポジションを確保している。
20周を走り切るのと前後して中団グループを中心に最初のピットストップに向かう陣営が多く、ミディアムでスタートしていた面々はハードタイヤに交換し、トップ10スタートだったハースF1のグロージャンはソフトからハードタイヤに履き替えて16番手の位置で第2スティントを開始した。
22周目の終盤にメルセデスクルーがピットストップの準備を始めたものの、レッドブルに対する牽制的な動きだったようでハミルトンがピットに戻ってくることはなかった。フェルスタッペンはその少し前にグリップを失いかけていると訴えており、2.5秒ほどあった2人のギャップは1秒を切るまでに縮まっていた。
フェルスタッペンはピットインしたがっていたようだが、3番手にいたルクレールとのギャップが19.5秒しかなく、このタイミングでピットに入ればルクレールの後ろでコース復帰する可能性が高く、多少なりとのタイムロスが予想されたことからレッドブルはフェルスタッペンに粘るよう励ましている。結局、フェルスタッペンがタイヤ交換に向かったのはフェラーリ勢に20秒以上のリードを築いた25周目の終わりだ。ハードタイヤに履き替えたフェルスタッペンは2番手の位置で隊列に加わることができ、フェラーリ勢の前をキープした。
フレッシュタイヤを履いたフェルスタッペンはハミルトンに逆転されまいと猛プッシュし、硬いコンパウンドながら1分20秒台に入れて引き離しにかかる。一方のハミルトンもペースを上げていたが、すでに当時のタイヤセットの周回数は30周を超えており、1分21秒後半がやっと。フェルスタッペンに比べると1秒以上遅いペースだ。加えて、ブレーキに難を抱えていたようでヘビーブレーキングの区間ではタイヤをロックアップすることもあった。
マグヌッセンを抜ききれずにトラフィックにはまっていたリカルドとボッタスの間には1回目のピットストップを終えたマクラーレンのノリスが加わり、4台がコンマ数秒差で接近戦を繰り広げた。その最後尾にいたボッタスの背後にはラップリーダーとなったハミルトンが迫っていたが、32周目に入る手前でハミルトンがピットインして先頭がフェルスタッペンに変わったため、ボッタスが周回遅れになることはなかった。
ハードタイヤに履き替えたハミルトンがコースに戻った頃にはフェルスタッペンとのギャップが6秒近くに広がっていたものの、まだ第1スティントを続けていたベッテルには10秒以上のリードを築いていたため、ここでも後続の脅威は受けていない。
その間にノリスとボッタスがリカルドをオーバーテイクしてポジションを上げており、周辺のドライバーよりも新しいタイヤを履くノリスはほどなくしてターン1への飛び込みでマグヌッセンも追い抜き、9番手に浮上する。さらにマグヌッセンはボッタスにもかわされて11番手に後退し、再びリカルドとの一騎打ちとなった。
フェルスタッペンが周回遅れの集団に対応する間、タイヤ交換後に猛チャージをかけていたハミルトンが一気に差を縮めて1秒差まで接近。フェルスタッペンはバックマーカーのトウを生かしながらハミルトンのプレッシャーを退けるものの、リズムに乗ったハミルトンは攻撃の手を緩めることなく
大きな動きがあったのは39周目。周回遅れのリカルドに追いついたフェルスタッペンにハミルトンが急接近し、まずはターン1への飛び込みで追い抜きを狙う。インを取ったフェルスタッペンが前をキープしたものの、ストレートで加速したハミルトンがサイド・バイ・サイドに持ち込み、ターン3ではハミルトンが一時リードを奪った。しかしながら、巧みな走りでポジションを奪い返したフェルスタッペンはターン4にかけて襲いかかってきたハミルトンの動きも封じ込め、ハードブレーキングを強いられたハミルトンがコースオフを喫した結果、フェルスタッペンのリードは変わらず、ハミルトンは2番手に収まっている。
次のラップでメルセデスがタイヤをクールダウンさせるべくハミルトンにバックオフを命じたため、フェルスタッペンとハミルトンのギャップは1.5秒に広がった。フェルスタッペンはピットウオールにハミルトンのトラブルの有無を確認するも、レッドブルは「タイヤマネジメントと温度管理のため」だと説明している。
フェルスタッペンとハミルトンが9番手を走っていたボッタスを周回遅れにしたのが45周目。この頃には2人と3番手のルクレールとのギャップは36秒以上開いており、第1スティントを長く取ってソフトタイヤを投入したベッテルはトップのフェルスタッペンから57秒遅れだった。
ボッタスがハードからミディアムに、リカルドがハードからソフトタイヤに履き替えた直後、50周目に入るタイミングでハミルトンがピットに向かい、ユーズドのミディアムタイヤに履き替える作戦に出る。3番手のルクレールとのギャップを考えると、いわゆる"フリーストップ"が可能な状態だったため、終盤のバトルに備えてメルセデスが戦略を調整したようだ。
ピットアウトしたハミルトンと先頭のフェルスタッペンは20秒ほどのギャップがあったものの、1秒近く速いラップタイムを刻んでいたハミルトンは周回を重ねるごとに差を縮めていく。レッドブルは対応策に出ず、フェルスタッペンをステイアウトさせており、フェルスタッペンからチームにピットストップの可能性を尋ねていたが、その時点ですでにハミルトンに逆転されることが濃厚だったため、ハードタイヤをケアしながらプッシュすることに集中している。
1分21秒台のクールラップをはさみながら時折1分19秒台に入れてハミルトンに対するリードをコントロールしようとしたフェルスタッペンは残り15周で15.5秒のアドバンテージを手にしていた。
しばらくペースをコントロールしていたハミルトンは終盤に近づくにつれてペースアップし、ファステストラップを連発しながらフェルスタッペンとの距離を詰めていく。メルセデスが無線でレース終了間際にはフェルスタッペンの「ラバーがゼロになるだろう」と告げると、ハミルトンは「自分のタイヤはあとどのくらい持つ?」と尋ねるもチームからは「気にせず全力疾走せよ」との指示が飛んだ。
ハミルトンはブレーキの状態も確認しながら、フェルスタッペンより2秒ほど速いラップタイムで接近し、残り5周を迎えてギャップは1秒を切っていた。
両陣営が祈るように見守った接近戦は67周目に入ったところでハミルトンがついにフェルスタッペンをとらえ、圧倒的なペース差を生かしてオーバーテイクを決めている。リードを奪われたフェルスタッペンはピットインしてソフトタイヤに履き替え、ハミルトンから22秒差ながら2番手のポジションのまま隊列に復帰、ファステストラップを狙いにいった。
表彰台を争うことになったフェラーリ勢はベッテルが68周目にルクレールを追い抜いて3番手にポジションアップ。ハードタイヤで第2スティントを走っていたルクレールより、12周分フレッシュなソフトタイヤを履いていたベッテルの方がペースは良かったようだ。
最後はハミルトンがトップチェッカーを受け、約18秒遅れでフェルスタッペンが2位、ベッテルが3位でゴールして表彰台に上っている。ファステストラップはフェルスタッペンが刻んだ1分17秒103だ。
4位以下、入賞はルクレール、サインツ(マクラーレン)、ガスリー、ライコネン、ボッタス、ノリス、アルボンが10位で1点を獲得している。クビアトは15位完走だった。
レッドブル・ホンダのフェルスタッペンは残念ながら2位。終盤、ハミルトンがタイヤ交換でピットに入った次の周でタイヤ交換していれば、どういう結果になったか分かりませんが、これもレース。
ホンダPU勢、ガスリーが6位、アルボンが10位入賞ですが、クビアトが15位と4台入賞は次のお楽しみに!
ハンガリーGP終了とともに2019年シーズン前半戦を締めくくったF1サーカスはこの後、約1カ月の夏休みを過ごす。次回のグランプリは8月30日(金)に開幕するシーズン第13戦ベルギーGPです。どんな結果になるか楽しみですね!
グリッド全体が接戦の展開となった予選はハンガロリンクのコースレコードを塗り替える1分14秒572をたたき出したレッドブルのフェルスタッペンがメルセデス勢を抑えてポールポジションを獲得。フロントローには0.018秒差のタイムを残したボッタス(メルセデス)が並び、3番手からチャンピオンシップリーダーのハミルトンがスタートしている。
予選14番手だったアルファロメオ・レーシングのジョビナッツィが他車の走行を妨害したとして3グリッド降格処分を受けたため、17番グリッドに降格となり、予選15番手から17番手だったドライバーのスタート位置が繰り上がった。また、ルノーのリカルドは予選で18番手に終わったことから、チームの戦略的判断により新しいパワーユニットのエレメントを投入。エンジンペナルティを受けて最後尾からスタートしている。
タイトでツイスティな特性からオーバーテイクが難しいことで知られる全長4.381kmのハンガロリンクで行われた決勝レースは70周で争われ、気温25.3℃、路面温度40.3℃、湿度36.2%のドライコンディションでスタート時刻を迎えた。レッドブル、メルセデス、フェラーリの6台は予選Q2のベストタイムをミディアムタイヤで記録しており、スタートタイヤはレースに最適と言われるコンパウンドを装着。ピレリはハンガロリンクにC2からC4のドライタイヤを用意しており、レースではミディアムもしくはハードのコンパウンドを使用することが義務付けられている。
抜きにくいハンガロリンクのレースで重要視されたスタートはフェルスタッペンが好発進を決めてメルセデスのカバーにまわるも、メルセデス勢もスムーズに蹴り出しており、ターン1では3台がサイド・バイ・サイドに並んだ。それでも、フェルスタッペンがリードを死守すると、ボッタスとハミルトンがチームメイト同士でポジションを争う展開に。
ハミルトンに先行を許した後、フェラーリの2台にもかわされて2周目には5番手に後退したボッタスは攻防戦の中でマシンにダメージを受けたようで、メルセデスは次のラップでノーズと新しいタイヤを用意してボッタスを迎え入れようと準備していたが、ボッタスはステイアウトを選択。とはいえ、ペースはハミルトンに比べると3秒ほど遅く、マクラーレン勢やその後ろに連なる集団からプレッシャーを受ける。結局、6周目に入るタイミングでピットインし、新しいノーズを装着し、ハードタイヤに履き替えて最後尾で隊列に復帰した。
ボッタス以外ではレッドブルのガスリーがスタート後に6番手から9番手にポジションを落としていたが、ボッタスのピットインで8番手に上がり、目の前にいたライコネン(アルファロメオ・レーシング)やその前のマクラーレン勢を追いかけている。
先頭集団では3番手につけていたルクレール(フェラーリ)のペースが上がらず、徐々にフェルスタッペンとハミルトンに引き離されていく。チームメイトのベッテルも似たようなペースにとどまり、トップ2のラップタイムと比べるとフェラーリ勢は0.6秒ほどペースが遅かった。それでも、5番手以降のマシンよりは1秒ほど速く周回しており、前とのギャップは開くものの後方からのプレッシャーは受けずにすんでいる。
最後尾スタートだったリカルドは15周が終わるまでに15番手までポジションを上げたが、その頃には一時最後尾に下がっていたボッタスも4台をオーバーテイクして16番手を走っていた。2人は1分23秒後半のペースだったハースF1のマグヌッセンをターゲットに定め、リカルドは1分23秒半ば、ボッタスは1分22秒台のラップタイムで追いかけている。先にボッタスがリカルドのリアをとらえたため、ボッタスのペースも前の2台に付き合う格好となった。
その少し前ではトロ・ロッソコンビがチームメイト対決を繰り広げ、先行していたアルボンにクビアトが襲いかかるも、アルボンも見事なパフォーマンスでポジションを奪い返す攻防戦に発展。サイド・バイ・サイドで数コーナーを通過した後、アルボンがコース外に飛び出したスキにクビアトが12番手のポジションを確保している。
20周を走り切るのと前後して中団グループを中心に最初のピットストップに向かう陣営が多く、ミディアムでスタートしていた面々はハードタイヤに交換し、トップ10スタートだったハースF1のグロージャンはソフトからハードタイヤに履き替えて16番手の位置で第2スティントを開始した。
22周目の終盤にメルセデスクルーがピットストップの準備を始めたものの、レッドブルに対する牽制的な動きだったようでハミルトンがピットに戻ってくることはなかった。フェルスタッペンはその少し前にグリップを失いかけていると訴えており、2.5秒ほどあった2人のギャップは1秒を切るまでに縮まっていた。
フェルスタッペンはピットインしたがっていたようだが、3番手にいたルクレールとのギャップが19.5秒しかなく、このタイミングでピットに入ればルクレールの後ろでコース復帰する可能性が高く、多少なりとのタイムロスが予想されたことからレッドブルはフェルスタッペンに粘るよう励ましている。結局、フェルスタッペンがタイヤ交換に向かったのはフェラーリ勢に20秒以上のリードを築いた25周目の終わりだ。ハードタイヤに履き替えたフェルスタッペンは2番手の位置で隊列に加わることができ、フェラーリ勢の前をキープした。
フレッシュタイヤを履いたフェルスタッペンはハミルトンに逆転されまいと猛プッシュし、硬いコンパウンドながら1分20秒台に入れて引き離しにかかる。一方のハミルトンもペースを上げていたが、すでに当時のタイヤセットの周回数は30周を超えており、1分21秒後半がやっと。フェルスタッペンに比べると1秒以上遅いペースだ。加えて、ブレーキに難を抱えていたようでヘビーブレーキングの区間ではタイヤをロックアップすることもあった。
マグヌッセンを抜ききれずにトラフィックにはまっていたリカルドとボッタスの間には1回目のピットストップを終えたマクラーレンのノリスが加わり、4台がコンマ数秒差で接近戦を繰り広げた。その最後尾にいたボッタスの背後にはラップリーダーとなったハミルトンが迫っていたが、32周目に入る手前でハミルトンがピットインして先頭がフェルスタッペンに変わったため、ボッタスが周回遅れになることはなかった。
ハードタイヤに履き替えたハミルトンがコースに戻った頃にはフェルスタッペンとのギャップが6秒近くに広がっていたものの、まだ第1スティントを続けていたベッテルには10秒以上のリードを築いていたため、ここでも後続の脅威は受けていない。
その間にノリスとボッタスがリカルドをオーバーテイクしてポジションを上げており、周辺のドライバーよりも新しいタイヤを履くノリスはほどなくしてターン1への飛び込みでマグヌッセンも追い抜き、9番手に浮上する。さらにマグヌッセンはボッタスにもかわされて11番手に後退し、再びリカルドとの一騎打ちとなった。
フェルスタッペンが周回遅れの集団に対応する間、タイヤ交換後に猛チャージをかけていたハミルトンが一気に差を縮めて1秒差まで接近。フェルスタッペンはバックマーカーのトウを生かしながらハミルトンのプレッシャーを退けるものの、リズムに乗ったハミルトンは攻撃の手を緩めることなく
大きな動きがあったのは39周目。周回遅れのリカルドに追いついたフェルスタッペンにハミルトンが急接近し、まずはターン1への飛び込みで追い抜きを狙う。インを取ったフェルスタッペンが前をキープしたものの、ストレートで加速したハミルトンがサイド・バイ・サイドに持ち込み、ターン3ではハミルトンが一時リードを奪った。しかしながら、巧みな走りでポジションを奪い返したフェルスタッペンはターン4にかけて襲いかかってきたハミルトンの動きも封じ込め、ハードブレーキングを強いられたハミルトンがコースオフを喫した結果、フェルスタッペンのリードは変わらず、ハミルトンは2番手に収まっている。
次のラップでメルセデスがタイヤをクールダウンさせるべくハミルトンにバックオフを命じたため、フェルスタッペンとハミルトンのギャップは1.5秒に広がった。フェルスタッペンはピットウオールにハミルトンのトラブルの有無を確認するも、レッドブルは「タイヤマネジメントと温度管理のため」だと説明している。
フェルスタッペンとハミルトンが9番手を走っていたボッタスを周回遅れにしたのが45周目。この頃には2人と3番手のルクレールとのギャップは36秒以上開いており、第1スティントを長く取ってソフトタイヤを投入したベッテルはトップのフェルスタッペンから57秒遅れだった。
ボッタスがハードからミディアムに、リカルドがハードからソフトタイヤに履き替えた直後、50周目に入るタイミングでハミルトンがピットに向かい、ユーズドのミディアムタイヤに履き替える作戦に出る。3番手のルクレールとのギャップを考えると、いわゆる"フリーストップ"が可能な状態だったため、終盤のバトルに備えてメルセデスが戦略を調整したようだ。
ピットアウトしたハミルトンと先頭のフェルスタッペンは20秒ほどのギャップがあったものの、1秒近く速いラップタイムを刻んでいたハミルトンは周回を重ねるごとに差を縮めていく。レッドブルは対応策に出ず、フェルスタッペンをステイアウトさせており、フェルスタッペンからチームにピットストップの可能性を尋ねていたが、その時点ですでにハミルトンに逆転されることが濃厚だったため、ハードタイヤをケアしながらプッシュすることに集中している。
1分21秒台のクールラップをはさみながら時折1分19秒台に入れてハミルトンに対するリードをコントロールしようとしたフェルスタッペンは残り15周で15.5秒のアドバンテージを手にしていた。
しばらくペースをコントロールしていたハミルトンは終盤に近づくにつれてペースアップし、ファステストラップを連発しながらフェルスタッペンとの距離を詰めていく。メルセデスが無線でレース終了間際にはフェルスタッペンの「ラバーがゼロになるだろう」と告げると、ハミルトンは「自分のタイヤはあとどのくらい持つ?」と尋ねるもチームからは「気にせず全力疾走せよ」との指示が飛んだ。
ハミルトンはブレーキの状態も確認しながら、フェルスタッペンより2秒ほど速いラップタイムで接近し、残り5周を迎えてギャップは1秒を切っていた。
両陣営が祈るように見守った接近戦は67周目に入ったところでハミルトンがついにフェルスタッペンをとらえ、圧倒的なペース差を生かしてオーバーテイクを決めている。リードを奪われたフェルスタッペンはピットインしてソフトタイヤに履き替え、ハミルトンから22秒差ながら2番手のポジションのまま隊列に復帰、ファステストラップを狙いにいった。
表彰台を争うことになったフェラーリ勢はベッテルが68周目にルクレールを追い抜いて3番手にポジションアップ。ハードタイヤで第2スティントを走っていたルクレールより、12周分フレッシュなソフトタイヤを履いていたベッテルの方がペースは良かったようだ。
最後はハミルトンがトップチェッカーを受け、約18秒遅れでフェルスタッペンが2位、ベッテルが3位でゴールして表彰台に上っている。ファステストラップはフェルスタッペンが刻んだ1分17秒103だ。
4位以下、入賞はルクレール、サインツ(マクラーレン)、ガスリー、ライコネン、ボッタス、ノリス、アルボンが10位で1点を獲得している。クビアトは15位完走だった。
レッドブル・ホンダのフェルスタッペンは残念ながら2位。終盤、ハミルトンがタイヤ交換でピットに入った次の周でタイヤ交換していれば、どういう結果になったか分かりませんが、これもレース。
ホンダPU勢、ガスリーが6位、アルボンが10位入賞ですが、クビアトが15位と4台入賞は次のお楽しみに!
ハンガリーGP終了とともに2019年シーズン前半戦を締めくくったF1サーカスはこの後、約1カ月の夏休みを過ごす。次回のグランプリは8月30日(金)に開幕するシーズン第13戦ベルギーGPです。どんな結果になるか楽しみですね!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます