今日は天候の移り変わりの激しい不順な一日だった。霧雨が通りすぎたかと思うと、暖かい日射しとともに、洗い流したばかりのすがすがしい青空が現れる。昨日今日は九州地方にも雪が降ったりで、荒れ模様で、冬の日が舞い戻ったような寒い一日だった。子供の頃に、レンゲ畑に横たわって春の空を見上げた心地よさが、いつの日かふたたび蘇りますように。
ここしばらく雨の日が多く、山の畑に行く機会が減っていた間に、収穫し残していたダイコンやニンジン、ネギなどが、猿にやられたらしい。去年とちがって、今年はこれまでほとんど無事だったので油断していた。もう少しニンジンやダイコンを味わえたはずなのに残念だ。この間も、林の間に二匹の猿を見掛けている。サルやイノシシ、鹿などの野生動物に対する慈悲や思いやりの心も少しは必要だということなのか。お釈迦様は、飢えた虎の親子のために、みずからの身をお与えになったとか。それに比べれば。
夕暮れ時に、ほのかな匂いに包まれながら、梅の花を見る。綻びはじめた蕾の風情は、小町や衣通姫の女性の美しさも斯くばかりと。
そんな地上の動物どうしのさまざまな思惑にもかかわらず、春は着実に近づいてくる。途中に畑の緑があまりに美しかったので、デジカメに記録する。ただ、記録されたものは、どこまでも実像の影にすぎない。実物にはとうてい及ばない。写真や記録などは、私たちが後にそれを思い起こすための単なるよすがにすぎない。色づきはじめた菜の花畑も、先に撮り損ねたのに、あらためて被写体にする。