2016年5月1日(日曜日)晴
今日から五月。大型連休だけれども、特に遠方に旅行するでもない。どこも人出でいっぱいだと思うとつい足も遠のく。この年齢のせいか旅行にもさほど新鮮さもなく、どこも似たり寄ったりというつまらない感想しか湧かない。
むしろ日々の単純な小さな行為に感慨を催すようになっていることに気づく。
先頃から『万葉集の読み方⎯ 天平の宴席歌』(梶川信行著)を読んでいる。西行の和歌に少しでも親しみ始めると、彼の和歌の秘密をさらに知りたくて、柄にもなく万葉集にも手を広げ始めている。
賀茂川の堤を散策した折、始めて小鳥たちに餌やりをした。堤に腰を下ろして持参したパンやご飯の残りを少しずつ蒔き始めると、鳩が立ちどころに見つけてまず自分たちの周囲を取り巻き始めた。五〇羽くらいも集まっただろうか。
やがて、下の川の流れには、オシドリやカモ、アオサギたちもやって来る。そこに雀らも混じって、投げるパンや米粒をついばんでゆく。食べ残した餌が川を汚すことになるかという心配も杞憂だった。一粒残さずに綺麗に片付けてゆく。
誰かがいつも餌をよくやっているせいか、鳥たちは全く慣れて自分の靴の上にまで乗ってきて餌を催促する。手のひらにくっ付いた飯粒も突っついて平らげてゆく。いつもは遠くに眺めるしかない鳥たちもすぐ手で掴める位置にいる。川の流れの中でパンをついばんでいたアオサギも、岸に上がって少し離れたところにいる。この種の鳥の習性らしくほとんど身動きもしない。