作雨作晴


日々の記憶..... 哲学研究者、赤尾秀一の日記。

 

「報道しない自由」

2017年07月21日 | ニュース・現実評論


※追記20170723


報道しない自由

森友学園問題に始まり、さらに加計学園問題への追及へと安倍政権に対するマスコミの批判は留まるところを知らないようにみえる。東京都議選では都議会自民党は、自民党の豊田真由子議員の秘書に対する暴言や、稲田朋美防衛相の都議選応援演説での自衛隊の政治利用発言疑惑なども絡み合って、小池百合子都知事の率いる「都民ファーストの会」に大敗を喫した。(しかし、あくまで都議会選挙は東京都民の都議会に対する選択と判断であって、必ずしも安倍政権に対する直接的な批判ではないと思う。)

 

いずれにしても、今年の憲法記念日に安倍晋三首相が、日本会議の改憲集会に送ったビデオメッセージで改憲への決意を明らかにして以来、いわゆる護憲派の勢力は全国的に、猛烈に反安倍キャンペーンを総力を挙げて展開しているようにも見える。森友学園や加計学園をめぐる問題も最大限に活用してマスコミも安倍政権批判を行っている。それが功を奏したのか世論における安倍内閣への支持率も急激に低下しているとのことである。

しかし、安倍首相を辞めさせたところで、今のところ本当に安倍首相以上に日本の政治を効率的に担うことのできるものがいるのだろうか。少なくとも安倍政権になって、さまざまな問題をかかえつつも長期政権として、現在の日本経済において貿易収支も雇用状況も改善され、少なくとも前の民主党政権時代よりは経済状況も改善されてきている。

こうした状況にあって、現在の安倍首相に代えて民進党や共産党に政権に就かせたとして、果たして現在の安倍政権以上に、景気や雇用政策においてさらに改善を図ることができるのだろうか。

失業を減らして雇用を改善し、賃金を向上させることは、国民に対する最大の福祉であるといえる。仕事もなく、また失業して賃金も得られないという状況ほどに国民にとって不幸はない。政治の最大の目的は、経済状況を改善して国民に仕事を創出して賃金を向上させ、生活を豊かに安定させることである。

曲がりなりにも今現在において改善しつつある雇用率や賃金を、現在の安倍政権以上に実現できるという確証があるのなら、「安倍、辞めろ」も結構だろう。しかし、常識的に考えて現在の安倍政権以上に、経済政策を実行できる政党が他に現在の日本にあるとは思えない。民進党や共産党が政権についたとして、日本経済がさらに活況を呈することになることなど、考えられないではないか。

国民の目からすれば、野党は「安倍辞めろ」云々する前に、国民の期待に応えることの出来ない自身の無能力こそを反省する事が先だということになる。現在の安倍政権以上に効率的に経済を運営し、国民の自由と福祉をさらに向上させ、傲慢にではなく民主的に政治を運営することのできる政党がもし他にあるのなら、私たち国民も躊躇なく「安倍を辞めさせる」だろう。

そうした可能性が実際には皆無の政界の中で、現在の政権を打倒することは国民の生活状況をさらに悪化させることになるだけだ。民進党にせよ共産党にせよ、ただ政治権力を握って政権につくことだけが自己目的化して、どのようにすれば国民の生活がさらに豊かに自由になるか、それを研究して実行しようとする意思も能力もない。

それにいっそう輪をかけて無責任なのはテレビ新聞などのマスコミである。とにかく、護憲信者のマスコミは改憲の安倍がとにかく嫌いで、国民生活の現状などに対する配慮や思慮もなく、安倍を失脚させることに役立つのなら手段を問わないように見える。国民生活に責任を持たない口舌の徒に過ぎないマスコミは、ただ改憲を企図する安倍首相を失脚させることさえできればいいのか。

先の7月10日に行われた参議院閉会中審議で、森友学園や加計学園をめぐって質疑が行われた。これまで一連のテレビ報道などをみていてもその実情もよくわからなかったので、少しでも参考になればと思ってテレビで参議院での質疑の中継を見ていた。

その中で加計学園をめぐるその経緯と実情について最も問題の核心に触れて腑に落ちたと感じたのは、加戸守行前愛媛県知事に質疑を行った青山繁晴氏に対する応答だった。

加戸守行前愛媛県知事は、獣医不足に悩む地方自治体の当事者として、国家戦略特区制度を活用して愛媛県今治市に大学の獣医学部を誘致し新設しようとした意図とその背景を説明していた。この加戸前愛媛県知事の応答が加計学園を今治に誘致した事情について最も説得力のあるように思えた。そこには安倍首相の私的な介入の余地などないように思えた。

この青山繁晴氏の加戸守行前愛媛県知事への質疑の様子はその日の夜のテレビでも報道されると思っていたけれど、NHKのニュース9でも、テレビ朝日の報道ステーションでも報道されることはなかった。これでは、加戸守行前愛媛県知事が愛媛県今治市に大学の獣医学部を誘致、新設しようとした思いと気持は、多くの国民には伝わらない。NHKや朝日などのテレビ、新聞のマスコミ人たちはその必要もないと判断したようだ。

 

今回の件も、報道に際して主観的な価値判断や先入見のイデオロギー(価値報道)を持ち込むことなく、 「事実」の客観的報道(事実報道)に徹することを記者たちに求めることの難しさを示している。これは、ただ単に新聞記者やテレビニュース編集者、コメンテータ、学者に限らず、人間が客観的な価値判断を示すことの絶望的なほどに困難なことを示している。ただこの困難を乗り越える道は、事実に関して、できうる限り幅広い情報を、一方に偏することなく多くの人々から集めて広く国民に伝達することである。情報公開が完全であればあるほど客観的な真実が浮かび上がってくる。

事実報道と価値報道

 

 

 

 

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