ヘーゲル『哲学入門』中級 第一段 意識一般 第十四節[知覚の対象としての物]
§14
Der Gegenstand dieses Bewusstseins(※1) ist daher das Ding mit seinen Eigenschaften. Die sinnlichen Eigenschaften sind α) für sich sowohl unmittelbar in dem Gefühl, als auch zugleich bestimmt durch die Beziehung auf andere und vermittelt; (※2)β) gehören sie einem Dinge an und sind in dieser Rücksicht einerseits in der Einzelheit desselben befasst, anderseits haben sie Allgemeinheit, nach welcher sie über dies einzelne Ding hinaus gehen und zugleich von einander unabhängig sind.(※3)
第十四節[知覚の対象としての物]
この意識の対象は、したがって、さまざまな 属性 をもった 物 である。感覚的な属性は、α) それ自体が 感覚の中で直接的にあるのと同時に、また他者との関係によっても規定され、かつ、媒介されたものとしてある。β) 感覚的な属性は物に属しており、かつ、この点からすれば、物の属性は、一面おいては、個別性 それ自体にうちに把握されるが、他面においては、それらは 普遍性 をもっており、そのことによって物の属性は個別的な物を超えていき、そして同時に、互いに相切り離されて独立してある。
※1
dieses Bewusstseins 「この意識」とは「知覚としての意識」
※2
物の属性が「媒介されたものとして」あるのは、それが他者との比較、類推などによってはじめて、その物に含まれる普遍的な属性(Einzelheit)として捉えられるからである。
※3
知覚の対象としての物は、「精神の現象学」の本文の中では「塩」が事例として取り上げられているのはよく知られている。
物としての「塩」は、「白く」もあり、「辛く」もあり、「立方体」の結晶でもあるが、「白い」「辛い」「立方体」といったこれらの「塩」の属性は同時にそれぞれ普遍的であり、切り離されて独立してある。
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