元外務官僚、河東哲夫氏の「皇室観」
たまたまネット上で次のような文章を読みました。元外交官の河東哲夫氏がご自身のホームページの中に書かれたらしいもので、現在の日本の国家公務員、官僚の意識、思想の断片でも知る上で参考になると思い取り上げました。
Japan and World Trends [日本語]: メルマガ文明の万華鏡第85号刊行
http://www.japan-world-trends.com/ja/cat-1/post_1871.php
引用
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はじめに
今月も話題の多い月ではありました。まず「令和」が一番なのでしょうが、これはもう1ヶ月も経つと日常化してしまいました。これからは新天皇・皇后、そして皇嗣ご一家も、世間から容赦ない目で見られていくことになるでしょう。退任の自由もなく、特別の権限もなく、ただ世論の批判の目にさらされる仕事というのは、酷なものです。
>> <<引用終わり
上記の文章は、元外交官の河東哲夫氏が自身のホームページの中に書かれたもので、令和の時代が始まったことにちなみ、気楽に書かれたものだと思いますが、逆に言えば、ここに河東哲夫氏の皇室観、さらには氏の国家観が率直に現れていると思います。そこから読み取れる、河東哲夫氏の皇室観、国家観についての感想を述べておきたいと思います。
結論から言えば、率直にいって、この河東哲夫氏のような皇室観、国家観しか持ち得ない人物が、外務省などで官僚をやっていたということです。最近では国家公務員、官僚たちの資質能力も低下したらしく文科省や経産省など様々な不祥事も絶えないようです。
それはとにかく、上に引用した河東哲夫氏が現在の皇室について明らかにされている認識とは、つまり
「これからは新天皇・皇后、そして皇嗣ご一家も、世間から容赦ない目で見られていくことになるでしょう。退任の自由もなく、特別の権限もなく、ただ世論の批判の目にさらされる仕事というのは、酷なものです。」とのことです。
このような皇室観は、河東哲夫氏のみならず、世のいわゆる「人権教」信者の主張に共通するもので、その論理的な帰結は「天皇には人権がない」したがって「天皇制を廃止すべきだ」ということにでもなるのでしょうか。
河東哲夫氏は、それでは天皇陛下をはじめとする日本の皇室にどうあってほしいと思われるのでしょうか。河東氏の皇室観、国家観をぜひ具体的に明らかにしていただければありがたいものです。
また、河東哲夫氏にお伺いしたいのは、「新天皇・皇后、そして皇嗣ご一家」を「容赦のない目で見つめる」「世間」とは一体誰のことなのでしょうか、少なくとも私や私の周辺に知る限りに関してはそんな「容赦のない」目で皇室を見つめてはいないと断言できますし、
また「退任の自由もなく、特別の権限もなく、ただ世論の批判の目にさらされる仕事というのは、酷なものです。」と河東氏が言われるところの、皇族の方々に対して「批判の目をさらす」ところの「世論」とは一体に具体的に誰のことなのでしょう。まさか、「週刊文春」やその他の週刊誌の記者や読者のことを「世論」だとおっしゃているのではないと思いますが。
ここで河東哲夫氏は「世論の批判の目にさらされる仕事というのは、酷なものです。」などとひとかどの同情心を示しておられますが、氏は皇室の方々を我々一般国民と同列にしか見ることしかできないようです。少なくとも、私などは皇室の使命を果たされておられる皇族の方々に敬意を感じることしかないですが。また、皇族の方々がより良くお仕事のできるように環境を用意するのは国民の義務であると思っています。
天皇、皇后陛下のご良心が、私たち日本国民の「人権」(「人権教」信者の好きな「人権」という言葉をあえてここで使いますが)の下支えになっていることにどうして気づかないのでしょうか。
とは言え、河東哲夫氏のような皇室観、国家観をもった国家公務員、官僚は少なくないと思います。なぜなら、彼らの多くが、「天皇制と民主主義は両立しない」と東京大学で長年にわたって主張してこられた憲法学者、故奥平康弘氏や「天皇ロボット論」の憲法学者、樋口陽一氏らの「皇室観」「国家観」で教育されたままに上級公務員職についているからです。
それどころか、さらに彼らは皇室の官庁である「宮内庁」にさへ天下っているということです。いったいどうしたことでしょうか。
( ついでにと言っては何ですが、河東氏の メルマガ文明の万華鏡第85号刊行 での論考のその他の「日米同盟基軸論」などは、ほぼ同意できるものです。)
※追記20190528
上記の論考を書いた後に、さらに河東哲夫氏のホームページの中に、「天皇に人権はあるのか 令和を前に」 https://is.gd/ck1wMO と題された、河東氏の皇室観をより明らかにされた論考のあることに気づき、それも読ませていただきました。しかし、河東哲夫氏の「皇室観」に対する感想は基本的には変わらないので、上の私の論考もそのままにしておきました。
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