作雨作晴


日々の記憶..... 哲学研究者、赤尾秀一の日記。

 

ヘーゲル『哲学入門』第一章 法 第十九節[刑事訴訟]

2020年11月16日 | 哲学一般

§19

Der andere Fall hingegen betrifft die Verletzung meiner persön­lichen äußerlichen Freiheit(※1), meines Leibes und Lebens oder auch meines Eigentums überhaupt durch  Gewalttätigkeit.

第十九節[刑事訴訟]

それに反して他の場合は、私の人格的な外的な自由や、私の身体や生命、あるいはまた私の財産一般に対する 暴力行為 による毀損にかかわるものである。

 

Erläuterung.

説明

Es gehört darunter erstens die widerrechtliche Be­raubung meiner Freiheit durch  Gefängnis  oder Sklaverei.  Es ist Beraubung der natürlichen äußerlichen Freiheit, sich nicht hin­begeben zu können, wohin man will u. dgl. m.Es gehört ferner hierher eine Verletzung des  Leibes  und  Lebens.

第一に、そこには 監禁 もしくは 奴隷制 による私の自由の不法な剥奪も含まれる。
人が自分の行きたいところにも行けない等々というのは、自然な外的な自由の剥奪である。さらに 身体 生命の毀損もここに含まれる。

Diese ist viel bedeutender, als die Beraubung meines Eigentums. Obgleich Leben und Leib etwas Äußerliches ist, wie Eigentum, so ist meine Persönlichkeit doch darunter verletzt, weil in meinem Körper selbst mein unmittelbares Selbstgefühl (※2)ist.

このことは私の財産の侵害よりもはるかに重要である。たしかに生命と身体は財産のように外的なものではあるが、そこではまさに私の人格性が傷つけられる。というのも、私の肉体そのもののうちには私の直接的な自己感情があるからである。(※3)

 

(※1)
 äußerlichen Freiheit
「外的な自由」とは生まれつきの「身体的な自由」であり、「内的な自由 der  inner­liche  Freiheit」、すなわち「精神的な自由」とは明確に区別されている。 

(※2)
私の身体も、私の財産一般と同様に、私にとっては「外的なもの」ではあるが、後者と異なるのは、そこには「私の直接的な自己感情」が存在することである。
mein unmittelbares Selbstgefühl  とは、身体にかかわる自意識である。

(※3)
民事訴訟の場合とは異なって刑事訴訟においては、被告人の行為による法一般や他者の人格に対する毀損が問題にされる。

 

ヘーゲル『哲学入門』第一章 法 第十九節[刑事訴訟] - 夕暮れのフクロウ https://is.gd/kgJNYs

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« そのかみまゐり仕うまつりけ... | トップ | ヘーゲル『哲学入門』第一章... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

哲学一般」カテゴリの最新記事