アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

オオニシキソウ2 - こまい花32

2020-09-12 21:19:45 | みんなの花図鑑
久しぶりの<こまい花>です。オオニシキソウはすでに特集で取り上げていますが、果実が少し色づいてきたので、再度取り上げました。


ニシキソウの仲間は杯状花序といって カップ型の苞葉の変化した杯の中から 雌花(めしべ)、蜜腺と付属体、雄花(おしべたち)が産出されます。




杯(カップ)の中からまず産出されるのは 雌花(めしべ)です。この雌花、子房がすごく大きいので、他の器官が杯(カップ)から産出される邪魔にならないように、 生まれるとすぐ 画像のように杯(カップ)の横にぶら下がります。
白い花びらのようなものは カップの周囲についている蜜腺の付属体です。



子房(果実)が上を向いているように見えますが、上から撮影しているので、実際は杯の前方へ水平移動している図です。





横から見ると、杯(カップ)の形状がよく分かります。カップそのものも少し色づいてきているようです。




杯(カップ)の周囲の蜜腺の付属体が、一部 白から ピンク色に色づいてきています。




果実が色づいていると思ったけれど、これは ̥無精の果実のようですね




受精した果実のほうも 色づいてきています。本格的に赤くなるのは まだまだ先ですが。



キキョウ - 奇妙なめしべ

2020-09-12 10:28:40 | みんなの花図鑑
ビリーホリディに「奇妙な果実(Strange fruit)」という重い歌がありました。
こちらは 軽~く「奇妙なめしべ」のお話。
キキョウの花は 雄性先熟といっておしべが先行して活動しますが、虫に向けて花粉を放出するのはまだ未熟なめしべのほうだということのおさらいです。


初期状態では 中心の雌しべの柱の周りを おしべたちが覆っています。
花弁の底に光っているものは たぶん蜜だと思います。




おしべの葯は内向きに付いています、つまり今 花粉が葯から放出されているのですが、外からは見えません。




おしべが張り付いている中心の「めしべのこん棒」(まだ雌しべとしての機能が無いので 仮にそう呼んでおきます)が上に向かって伸長を始めると、こん棒の表面には毛が生えているので、おしべが出した花粉がこん棒のほうに擦り付けられます。
(おしべの筒の中を めしべが花粉を擦り付けながら伸長していく動きは ヒャクニチソウの舌状花で観察しました。これとよく似ています)




こうして 雌しべのこん棒が花粉まみれになったのを見届けると おしべたちは萎れて めしべのこん棒から脱落していきます。




めしべが熟す前に 花粉を放出するので「雄性先熟」には違いないのですが、花粉は おしべではなく「めしべのこん棒」にあるのです。
いうなれば、キキョウの花は めしべがおしべのように振る舞うことによって雄性期を演出しているのです。




しばらくすると 花粉が上のほうから落ちて 中から青いめしべの柱頭(まだ閉じています)が露出してきます。




この花のばあいは 花粉のすべてが 雌しべのこん棒のほうに擦り付けられず、たくさんの花粉は おしべに残ったままおしべと一緒に倒れこんでいくようです。




おしべ期の「めしべ」(のこん棒)です。めしべの先に花粉が着いていて おしべなのか めしべなのか分からない!って、一つ前の「グレビレア」の花と同じですね (^^)/
表面にたくさんの毛が付いています。こん棒の先が 丸く膨らんできました。




めしべの先が2つに割れました。柱頭が開花します。雌性期の始まりです。




柱頭が4つに割れました。
下にぼんやり見えるのは 役目を終えた おしべたちです。




柱頭が活動しだしたのに、めしべのこん棒にはまだ 花粉が残っています。ただ 付いているのは 柱頭の側ではないので、同家授粉の心配はありません。




めしべの柱頭が5つに開いて めしべ期の真っ盛りです。 ハエが来ていますが、あまり蜜には関心ないのか?そっぽを向いていますが(´・ω・)



この花にも虫が来ています。この虫も めしべから離れたところで 花弁に向かって一心に口を動かしているようです。




手前は受粉しためしべ。




虫は 何かを食べるのに夢中で 近づいても逃げません。




再度、受粉した柱頭です。