世界遺産の「紀伊山地の霊場と参詣道」をテーマに、貴族による熊野詣(くまのもうで)の様子を伝える掛け軸などで、聖地巡礼を体験してもらおうという展示会が和歌山市で開かれています。
展示会は、熊野古道を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録から今年度(令和6年度)で20年となるのを記念して、和歌山市の和歌山県立博物館で開かれていて、38件が展示されています。
このうち、「熊野御幸図(ごこうず)」は南北朝から室町時代に描かれた掛け軸で、えぼしをかぶり白い装束を来た上皇らの一行が熊野川を船で渡り、熊野速玉大社に列をなして向かう様子が描かれ、平安後期以降に盛んとなった聖地巡礼の熱気を伝えています。
また、世界遺産の熊野本宮大社が所蔵する「神額(しんがく)」は豊臣秀頼が1613年に寄進しました。
1889年の水害で流されるまで大社の中門に掲げられていたとされ、熊野三山が時の権力者からも信仰を集めていたことがうかがえます。
和歌山県立博物館の坂本亮太 学芸課長は「古文書や仏像、彫刻などさまざまな文化財を通じて豊かな文化の残る熊野の魅力を感じてもらいたい」と話していました。
展示会は来月(3月)9日まで開かれています。