ウェブサイトは、訪れた人を迷わせてはいけません。
迷路あそびのサイトや、いったん迷ってもらわないとその先の話が面白くないとかいう場合は、話は別ですが。
どこかをクリックすると、急に挿絵が入れ替わるようにして、見る人に驚いてもらう手法もありますが、あまり大げさにそれを使うのは、見るほうにとって快いものではありません。
使うにしても、どこか隅のほうでひっそりと、オヤ、と軽く思うぐらいにしておきたいものです。
いちばん困るのは、画面が入れ替わってから戻りたいところに一度に戻れない場合です。
ブラウザには「戻る」ボタンがあって、前の表示に戻ることができるようになっていますが、たどってきた分かれ道や、サイトの入り口には、ワンクリックで戻れるようにしておかないと、もと来た道をたどりながら一画面ずつ戻っていかなければなりません。
人間が徒歩で歩く道しかない山道なら、戻るにはその方法しかないでしょう。
しかし、それでも急いで戻らなければ命にかかわるような急場では、もと来た道を引き返すというわけには必ずしもいきません。
近道があればそちらを選ぶか、ヘリを頼むか、そんなことになるでしょう。
ウェブサイトを見る人が、常に急場に立っていることはありませんが、帰る場所がわかっていれば、そこにひと飛びに行きたいのは、誰も同じでしょう。
この操作を、「戻る」とみるから、順にたどればということを考えてしまうのですが、「戻る」のではなく「行く」とみれば、余計な回り道はしようと思わないでしょう。
「行く」というより「ジャンプする」のです。
早く帰りたい気分を「飛んで帰りたい」と言います。
訪問者を迷子にしない、そして、帰りたければすぐ飛んで帰れるように、ウェブサイトの組み立て方を工夫しておきましょう。
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迷い道 |
倉持 れい子 | |
文芸社 |