うっかりユーザのパソコン奮闘記

パソコンを使っていて感じたあんなこと、こんなこと、気ままに書いていきます。

辞書くさぐさ~電子辞書

2012年12月25日 | 千差万別

Webの辞書は便利ですが、紙に印刷された辞書と大きな違いがあります。
ガラス板上の画面で見るか、綴じ合わされた紙面で見るか、眼によいか悪いか、そんなことではありません。
調べる対象を探し当てたとき、一緒に眼に入ってくる情報の種類がまったく違うのです。
Webの辞書では、同じ画面上にはせいぜい広告しか現れません。
紙に印刷された辞書で、ふと開いているページの別の場所に眼が行くと、吸収できる情報の範囲がどんどん広がります。
何十年も知らずに過ごしてきた言葉や出来事を、そこで見つけることもしばしばあります。

人間の記憶は、知ろうとして得た知識に限定されるものではありません。
瞬間眼に入ったことでも、記憶の断片として頭のどこかに残ります。
それらが、何かを売りたいだけの広告の入口にしか過ぎないものと、一見関連のないほかの分野のものではあっても何かの知識財であるものとでは、価値の違いはわざわざ書くこともないでしょう。

Webの辞書でなく専用の電子辞書機では、周りの情報には広告すらありません。
そこには一対一の問いと答えしかないのです。
単刀直入、単純明快、その何が悪いと電子辞書愛好者は言うでしょう。
それも結構です。
しかし、単純明快だけを求めていれば、頭の働き、心の持ち方もそうなっていきます。
自分が正しいと思ったことはみなそう思ってもらわなければ気がすまない、正しいことには例外は認めない、純こそが善、雑は悪、ということになっていきます。
「この言葉は正しいですか」知恵袋に出す質問でも、そんな問いかけしかできなくなります。

電子辞書は、多分ゲーム機よりもごみになるまでの寿命が短いでしょう。学ぶこと、調べることは、遊ぶことより手が伸びにくく、長続きしないからです。


辞書
折口 信夫