花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

想いを届けるアイデアと技術

2020年04月05日 | 研究
これはご存知、名久井農業高校名物の「白いリンゴ」。
フローラが当時の園芸科学科2年生の男子によって結成された2009年、
同時に担当していた生物生産科と今は閉科した生活科学科生3年女子で結成した
アップルガールズにより開発された栽培法で誕生した純白のリンゴです。
また2009年の秋、京都大学で行われたテクノ愛に「メッセージアップル」と題して出場し、
グランプリを受賞した商品開発のアイデアでもあります。
今考えても、リンゴ農家の娘たちらしい可愛らしく優れたアイデアでした。
例えばパッケージ。一般にリンゴといえばダンボールや木箱に数十個も入っているもの。
ところが彼女たちは2個しか入らないオシャレな箱を考えました。
右下のグレーの箱がそのプロトタイプで、ニコニコした笑顔マークになっています。
内側には鮮度を保つため、二酸化炭素を吸収する炭の用紙が貼られていました。
ここで注目したいのはニコニコマークの目の色。白とピンクです。
これは中には白と赤のリンゴが入っているという意味。
リンゴには黄色や緑もあるので、中を開けずに配色が確認できます。さらに使い方もユニーク。
人が配色によって受けるイメージは世界共通であるという研究報告があります。
そこで彼女たちは、おめでとうの祝福の思いを伝えるにはもちろん赤と白、
あたたかな感謝の気持ちを伝えるなら暖色系の赤と黄や黄と白、
そしてスタートなどの意気込みを伝えるならフレッシュな寒色系の緑と白などの
配色を考えました。これも赤、黄、緑に白が加わったため可能になった機能です。
贈り手の想いを込めた2個入りのリンゴを携えて、花束のように手渡してほしい。
SNSの普及で希薄になった若者のコミュニケーション不足や
秋の贈答時期しか売れないリンゴ産地の抱える課題を解決する優れたアイデアは、
テクノ愛の後、朝日新聞の天声人語に取り上げられ、さらに数々の番組にも出演。
コピーライターの糸井重里さん、東急ハンズや伊勢丹のバイヤーからも大絶賛されました。
リンゴ農家の娘たちが考案した微笑ましいアイデアは日本中を一気に駆け巡りました。
そんな思い出深い白いリンゴですが、一番大好きだったのがキャッチコピー。
「想いを届けるデザインと技術」。
デザイン工学、感性工学で誕生した白いリンゴを的確に表現しています。
さてこのところ毎日のように青森県内でコロナ感染が確認されています。
そのため20日まで休校が延長された小中学校もあるようで、
せっかくのスタートが切れなくなりました。
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黄色いサクランボ

2020年04月05日 | 研究
黄色いサクランボと聞いて歌を口ずさめるのは若い人ではないかもしれません。
なぜなら初代はスリーキャッツという女性3人グループが1959年に発表した歌、
2代目のゴールデンハーフでも1970年と今は懐かし昭和の大ヒット曲だからです。
パッと聞くとアメリカのオールデイズかと錯覚しますが、作詞も作曲も日本の方。
正真正銘メイド イン ジャパンの歌なのですね。
さてここに右が赤、左が黄色という奇妙なサクランボがあります。
色を塗ったものでも、2種類をくっつけたものでもない天然物です。
作ったのは2代目チームフローラフォトニクス。
チームの2009年に姉貴分であるアップルガールズが白いリンゴで大活躍。
しかし全国に鮮やかなセンセーションを巻き起こした4ケ月後にあっけなく卒業。
しかし問い合わせは日に日に多くなってきたので、
後輩のフローラが花の研究をしながら白いリンゴを育てていました。
そんな時に考えたのがこのサクランボ。
白いリンゴと同じように収穫まで袋の中で育てる栽培法です。
もちろんフローラが狙ったのは二匹目のドジョウ。
紅白のサクランボをプリンの上に乗せようという企みでした。
ところがびっくり。サクランボは白くならならず
ご覧のように鮮やかな黄色になるのです。
白を求めていた女子メンバーはこの結果にショックだったようです。
ところが試食していただいた年配の先生方には大ウケ。
懐かしの「黄色いサクランボ」とリンクしたからです。
世の中には月山錦という黄色いサクランボがすでに存在します。
しかし生産量が少なく、佐藤錦よりかなり高値で取引されています。
この技術を使うと佐藤錦が黄色いサクランボに変わるので
安価に提供できるとPRし、何よりも黄色いサクランボという
ネーミングがいいのではと提案しましたが、
黄色いサクランボを知らない若い娘たちにはピンときません。
年齢によってウケが大きく異なる商品となりました。
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