花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

やっぱりね

2020年04月04日 | 研究
ガラス瓶が3本。これは15年ほど前のキノコ栽培の研究です。
キノコを人工栽培する際は、オガクズと米ぬかが必須です。
ところが米ぬかやフスマなどの栄養があれば、
オガクズは必要ないという研究成果が発表されました。
当時、生物工学研究室に所属していたため、さっそく検証してみることにしました。
培地はなんと直径5mm程度のガラスビーズ。
それに米ぬかやフスマという栄養分を入れるだけです。
この方法は、まったく木材を使わないので資源を節約できる可能性があります。
そこでやってみると面白いぐらい菌糸は成長し、キノコも発生するではありませんか。
さらにガラスビーズは洗って滅菌すると何度でも使用可能です。
しかし問題点もありました。オートクレーブでも壊れないガラスビーズは
実験用のためとても高価なのです。そこで代用品を考えました。
それがハイドロボール。いわゆるレンガの粒のような発泡煉石です。
こちらは園芸店で安価に購入でき、エリンギ、タモギタケなどを栽培していました。
すると班員にも欲が出てきて、今度はナメコを育てることになりました。
どうせだったら青森県が育成した真っ白なナメコ「タモギタケ」に挑戦しました。
ところがまったく育ちません。ナメコの仲間はどうしてもオガクズが必要だったのです。
悩んだ結果、青森県でたくさん廃棄されるリンゴの剪定枝を使うことにしました。
すると大成功。ある時は発泡煉石、ある時は剪定枝というエコ栽培技術を開発できました。
写真の培地による生育比較。意外にも左側のガラス玉がよく成長しているのがわかります。
研究では人工光を照射する実験も行われました。
面白いことに青色光を照射するとナメコの軸が短くなったような気がします。
また波長で収量が変化するのです。そこで国の林業関係の研究所に問い合わせると、
キノコは植物ではないから光の波長で生育は変化しないはずとのつれない回答でした。
でも確かに変化するのです。そうしているうちにキノコ研究は終了。
すっかり忘れてしまった数年後、ニュースでキノコにも
光受容体があることが発見されたことを知りました。
やっぱりね。
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目的外使用

2020年04月04日 | 研究
かつてキノコ栽培研究を行なった際、最も困ったのが発生室。
ご存知のとおり、キノコは暗くて多湿な環境が必要です。
培養瓶で栽培しているキノコメーカーの発生室はなんと湿度90%。
室内に自動噴霧装置をつけて、まるでお風呂のような状態で育てるのです。
もちろん低温も発生の合図になるので、サウナでは無理です。
そこで考えたのが、イネの催芽室。モミの発芽を促す場所です。
この部屋には水があるうえ、真っ暗になる密室のため
加湿器でお風呂並みに湿度をあげることができたからです。
ではこのロッカーはなんでしょう。
これは発生させる前に菌糸を成長させるところ。
キノコは十分、培地内に菌糸が充満しないと発生しません。
したがっていかに早く菌糸を育てるかも大切な行程です。
培養瓶には空気は通すけれど、雑菌は通さないメンブランフィルターがついているので、
それほど気をつけることはありませんが基本、暗いところが大好きです。
そこで考えたのが、この小さなロッカー。
これは実験室に備え付けられている生徒用のロッカーですが
使っていない場所があったので、
中を70%エタノールで消毒して約1ケ月ほど培養させてもらいました。
まさに目的外使用。しかし試験区ごとにおけるので観察にはとても便利。
みんな小さな蓋をパタパタ開けながら調査したものです。
農業高校とはいえども、何かに特化した部屋などそうあるものではありません。
学校のあちこちをうろつき、ここでこれができるなど妄想するのは楽しいもの。
もし実験場所に困ったら、ぜひみなさんも校内探検してみてください。


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